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青山円劇カウンシル#4~Re~「その族の名は『家族』」

2011.04.11 Vol.505
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 2008年に初演、2009年には東京芸術劇場の「芸劇eyes」でも上演された『て』は劇団ハイバイの代表作ともいえる作品だ。岩井秀人(脚本・演出)初となる円形劇場でキャスティングを一新、タイトルも変えてプロデュース公演で上演する。

 認知症の祖母をめぐっての家族の葛藤が描かれる本作は、岩井の実体験でもあるという。ストーリーの切なさと個々のキャラクターににじみ出るおかしさ。そして巧みな演出でうならされたり、ほろりとさせられたり。

 大きなウエイトを占める母親役はユースケ・サンタマリア。母親役を男優がやるというと「なにっ?」って思う人もいるだろうが、そういう違和感は全くなし。 祖母役には舞台初出演となる研ナオコ。研ナオコでおばあちゃん役というと、かつての大ヒット番組「カックラキン大放送」のナオコおばあちゃんを思い浮かべる人は今どれくらいいるのだろうか…。

 ほかに荒川良々、滝藤賢一などキャスティングの妙が光る話題作だ。

【日時】4月13日(水)〜28日(木)(開演は平日19時、土14時/19時、日14時。20日(木)と25日(月)は14時の回あり。28日(木)は14時/18時。15・19・22・26日休演。開場は開演30分前。当日券は開演40分前から発売) 【会場】青山円形劇場(表参道) 【料金】全席指定 前売・当日5800円 【チケット問い合わせ】サンライズプロモーション東京(TEL:0570-00-3337 〔特設HP〕http://hi-bye.net/kazoku/) 【作・演出】岩井秀人 【出演】ユースケ・サンタマリア、荒川良々、滝藤賢一、内田慈、ノゾエ征爾、古澤裕介、浅野千鶴、小河原康二、田村健太郎、師岡広明、大鷹明良、研ナオコ


虚構の劇団『アンダー・ザ・ロウズ』

2011.04.04 Vol.504
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 鴻上尚史は今現代、社会を騒がせる問題を等身大の視点で描き出してくれる作家だ。そしてそれを踏まえたうえで、もう少し先の世界の情景やあり方といったものを示唆してくれる。

 今回の作品は阪神大震災の後に日本社会は変わったというパラレルワールドの設定だった。そしてまさかのタイミングで3月11日に地震が起こる。世間では自粛ムードが漂うなか、鴻上はいち早く上演を決めた。

 多少の修正はあるものの、際どい表現もあるかもしれない。それでも彼らは公演を行う。それは演劇の使命は人々に何かを届けることだから。ゆえに今回はいつにも増して、演劇の持つ力を感じさせられる作品となる。

 彼らが伝えたかったものを観客はどう受け止め、そしてまた発信していくのか。今回は普段より見る側のアンテナの感度を良くしていかないといけないかもしれない。

【日時】4月8日(金)〜24日(日)(開演は火〜金19時30分、土14時/19時30分、日14時。9日(土)は19時30分の回のみ。13日(水)は14時の回あり。月曜休演。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前から発売) 【会場】座・高円寺1(高円寺) 【料金】全席指定 4500円(13日(水)14時の回のみ4000円) 【問い合わせ】サードステージ(TEL:03-5772-7474 〔HP〕http://kyokou.thirdstage.com/) 【作・演出】鴻上尚史 【出演】大久保綾乃、大杉さほり、小沢道成、小野川晶、杉浦一輝、高橋奈津季、三上陽永、山崎雄介、渡辺芳博/古河耕史


ままごと『わが星』

2011.03.28 Vol.503
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『わが星』初演より(撮影/青木司)

 2009年秋に、ここ三鷹の星のホールで上演され、翌年の岸田戯曲賞を受賞した作品が待望の再演。

 作・演出の柴幸男はループやサンプリング、ラップといったそれまでの演劇では見られない演出を持ち込み、その斬新な作品作りが話題を呼び、現在、若手演劇人の中で最注目といっても過言ではない存在だ。

 初演時は、それまで劇団というくくりでは活動していなかった柴が、初めて自らの作品を上演するための団体を立ち上げたということもあって、公演前から大きな期待を集めていたのだが、同時に、口コミによる動員もケタ外れ。後半はチケットの取れない人も多かった。見逃した人は今回はぜひとも押さえておきたい公演だ。

 作品はソーントン・ワイルダーが『わが町』で描いた「時間と日常の再体験」を「星」でやろうというもの。団地に住む一家をモチーフに、ある女の子の一生と星の一生を重ね合わせて描く。

 今まで見たことのない斬新な演出に驚く。

【日時】4月15日(金)〜5月1日(日)(開演は火〜金19時30分、20日(水)と27日(水)は15時の回あり。土日15時。16日(土)は19時の回のみ。30日(土)は19時の回あり。24日(日)は18時の回のみ。月曜休演。※23日は特別公演。HPで発表。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前から発売) 【会場】三鷹市芸術文化センター 星のホール(三鷹) 【料金】全席自由 日時指定 整理番号付 一般 前売3000円、当日3500円/高校生以下1000円(前売・当日とも) 【問い合わせ】三鷹市芸術文化センター(TEL:0422-47-5122 〔HP〕http://mitaka.jpn.org/ 〔劇団HP〕http://www.mamagoto.org/) 【作・演出】柴幸男 【出演】青木宏幸、大柿友哉(害獣芝居)、黒岩三佳(あひるなんちゃら)、斎藤淳子(中野成樹+フランケンズ)、永井秀樹(青年団)、中島佳子、端田新菜(青年団)、三浦俊輔


パルコ・プロデュース『欲望という名の電車』

2011.03.28 Vol.503
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『欲望という名の電車』が久しぶりに舞台化される。主演のブランチは、かつて文学座で杉村春子が十八番として長く演じ、最近では大竹しのぶ、樋口可南子といった個性的な女優をはじめ、女形としては篠井英介が演じて話題を集めた。今回は今や日本の演劇界を代表する女優、秋山菜津子が満を持してこの役に挑む。

 そして演出は大人計画の松尾スズキ。現在「台本は一切変えずに、ト書きに忠実に」稽古は進んでいるという。この名作中の名作をどのような作品に仕上げてくれるのか? 全く予想がつかない。

 地主階級から落ちぶれ結婚した妹の家に居候することとなったブランチをめぐりさまざまな問題が巻き起こる。

 女性としての生き方、貧富の問題など、当時の社会問題を通じて、さまざまな対比の構図が含まれる問題作でもある。

【日時】4月12日(火)〜5月1日(日)(開演は月〜土19時、日14時。木土は14時の回あり。水曜休演。※19日(火)と29日(金・祝)は14時開演。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前から発売予定) 【会場】パルコ劇場(渋谷) 【料金】全席指定7700円 【問い合わせ】パルコ劇場(TEL:03-3477-5858 〔HP〕http://www.parco-play.com/) 【作】テネシー・ウィリアムズ 【訳】小田島恒志 【演出】松尾スズキ 【出演】秋山菜津子、池内博之、鈴木砂羽、オクイシュージ、猫背 椿、村杉蝉之介、顔田顔彦、河井克夫、小林麻子、桔川友嘉、井上 尚


ニットキャップシアター『ピラカタ・ノート』

2011.03.21 Vol.502
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 京都を拠点に活動するニットキャップシアター。作・演出のごまのはえはOMS戯曲賞を2度受賞、劇団としても関西で多くの賞を受賞するなど、作品のクオリティーは文句なし。関西の演劇界を引っ張る劇団だ。

 ごまのはえは大阪府枚方で生まれ育った。枚方という街、そこに暮らす人々、その風景にこだわりを持つ彼の書く作品には、少年期、学生時代のエピソードや団地の記憶をもとにした「ヒラカタもの」と呼ばれる短編やコントがいくつもあった。そして2004年にそういった作品をもとに出来上がったのが『ヒラカタ・ノート』。一人の男の、明るく暗く、そしてちょっとばかり泣ける青春とそれを包み込む「町」の物語は、第12回OMS戯曲賞特別賞、新・KYOTO演劇大賞を受賞するなど、高い評価を受けた。

 今回の作品はその続編となる。前回と共通するエピソードや設定も交えながら、街と人との関係をより長い歴史の中で描くという。

【日時】4月9日(土)〜11日(月)(開演は19時。日曜は14時の回あり。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前から発売予定) 【会場】ザ・スズナリ(下北沢) 【料金】一般前売2800円、当日3000円/学生前売2000円、当日2500円/高校生以下前売1000円、当日1500円 【問い合わせ】ニットキャップシアター(TEL:090-7118-3396 〔HP〕http://knitcap.jp/) 【作・演出】ごまのはえ 【出演】門脇俊輔、高原綾子、澤村喜一郎、市川愛里、織田圭祐、藤田かもめ、ごまのはえ


燐光群『裏屋根裏』

2011.03.21 Vol.502
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前回『屋根裏』公演より(撮影=古元道広)

 日本の「現実」に向き合い、硬質な作品を作り出してきた坂手洋二と燐光群。

 彼らが2002年に発表した『屋根裏』は、現代社会の問題のひとつとなっている「ひきこもり」を題材とし大きな注目を集め、国内外で上演を続ける代表作となった。今回は海外俳優とのコラボレーションによるインターナショナル・リミックス・バージョンとしてリニューアル。『裏屋根裏』として上演する。

 現在、あるいは近未来。誰が発明したのか、世間から「ひきこもり」とされる人々が、それぞれ自ら閉じこもるための「パッケージ空間」である「屋根裏」が商品として、秘密情報による譲渡の対象として世間に流通し始める。それぞれの屋根裏から発信されるメッセージ、呼応しあうように起きる事件、引きこもる者たち同士の奇妙な連帯感。「屋根裏」発明者を探索する男。そしてさまざまな場所で、それぞれの事件が巻き起こる。

 物語の大半は屋根裏という本当にミニマムな空間で展開されるのだが、そこからわきあがるイマジネーションは限りなく大きい。演劇という表現手段の不思議さ、奥深さを実感させられる作品。

【日時】〜3月31日(木)(開演は22・23・25・28・29日19時、21・27・31日14時、24・26・30日14時/19時。開場は開演30分前。当日券は開演45分前から発売) 【会場】ザ・スズナリ(下北沢) 【料金】日時指定 一般前売3500円、ペア前売6600円、当日3800円、大学・専門学校生2500円、高校生以下1,500円(学生券は前売・当日共通料金。受付で要学生証提示) 【問い合わせ】燐光群/(有)グッドフェローズ(TEL:03-3426-6294 〔HP〕http://rinkogun.com/) 【作・演出】坂手洋二 【出演】トニー・ブルール、ユン・サンファ、イ・ジュウォン、洪明花、小山萌子、中山マリ、猪熊恒和、大西孝洋、鴨川てんし、川中健次郎、杉山英之、松岡洋子、樋尾麻衣子、安仁屋美峰、武山尚史、鈴木陽介、橋本浩明、桐畑理佳、横山展子、根兵さやか


自転車キンクリートSTORE『〆』

2011.03.14 Vol.501
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「自転車キンクリートSTORE」とは自転車キンクリーツカンパニーがプロデュースする公演のこと。劇団「自転車キンクリート」が女性ばかりのメンバーで構成・上演していた形とは違う、さまざまな舞台を上演している。

 今回は飯島早苗が作・演出を務める奇想天外なスラップスティックコメディー。

 とっくに過ぎた締め切りを抱え途方に暮れているライトノベル作家のところに、ゾンビになりかかったファンたちが押しかけてくる。作家が自宅にこもってあれこれ頭を悩ませているうちに、彼以外の世界は一変。いきなり世間の人々がゾンビになってしまったのだ。一風変わったファンゾンビが「100%ゾンビになって、人間らしい理性をなくさないうちに新作を読ませてください」と作家に迫る。さあ、追い込まれた作家はどうなる!?恐怖の中で、書けない原稿を書かされる羽目になる作家だったが…。

 なんとなく…作家・飯島の日常だったりして。

【日時】3月16日(水)〜27日(日)(開演は水〜金19時、土〜月14時。※26日(土)は19時の回あり。火曜休演。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前から発売予定) 【会場】赤坂 RED/THEATER(赤坂) 【料金】全席指定 オープニング料金(16〜18日)3300円/通常料金(19〜27日)3800円 【問い合わせ】自転車キンクリーツカンパニー(TEL:03-5489-4434 〔HP〕http://www.jitekin.com/) 【作・演出】飯島早苗 【出演】瀧川英次(七里ガ浜オールスターズ)、星野園美、和田ひろこ(ONEOR8)、松坂早苗、平塚真介


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