平均で何年続ける?実態から見る不妊治療の期間
厚生労働省の調査や医療機関の統計によれば、不妊治療の平均的な期間は1年半〜3年
がボリュームゾーンとされています。ただし、これは「治療開始から妊娠まで」の期間であり、「子どもを望んでから病院に行くまでの期間」や「治療を始めるまでの迷い」も含めると、平均6年近くになるという調査結果もあります。
不妊治療は段階的に進むのが一般的です。それぞれの治療法で、ある程度の目安期間が存在します。
治療法別:ステップごとの目安期間
- タイミング法
排卵日に合わせた性交の指導を受ける方法で、3〜6周期(3〜6ヶ月)が目安です。 - 人工授精(AIH)
精子を子宮内に注入する治療。成功率は1回あたり5〜10%程度。3〜6回(約半年)行って妊娠しなければ、次のステップへ移行するケースが多いです。 - 体外受精(IVF)
卵子と精子を体外で受精させ、胚を子宮に戻す治療。1周期に約1〜2ヶ月を要し、複数回にわたって治療が継続されることが一般的。1〜2年に及ぶケースも珍しくありません。
年齢によって変わる治療期間の現実
治療期間に大きく影響するのが、女性の年齢です。30代前半までは比較的妊娠率が高く、タイミング法や人工授精で結果が出ることもあります。しかし、35歳を超えると妊娠率は緩やかに下がり、40歳を超えるとさらに顕著に低下します。
- 30代前半:平均1〜2年で妊娠するケースが多い
- 30代後半:治療ステップが早まり、約2年〜
- 40代前半:体外受精が中心になり、2〜3年以上かかることも
年齢が上がると、治療の成功率が下がるだけでなく、回数も増える傾向があるため、治療期間は自然と長くなります。
「何年まで続ける?」やめどきのサインとは
医師との相談が第一の判断材料
妊娠の可能性や体の状態は、医師がもっとも正確に把握しています。通院時に定期的に治療の継続可否について相談し、「これ以上の治療は負担が大きい」と判断される場合には、今後の方針を見直すべきタイミングです。
経済的・精神的な限界も考慮して
治療が長期化すれば、医療費は数十万円〜数百万円にのぼることもあります。また、「いつ結果が出るかわからない」というストレスが蓄積し、心が疲弊するケースも。その際は、一度治療を「休む」という選択も視野に入れるべきです。
夫婦での話し合いが何より大切
目標や限界をパートナーと共有することが、後悔しないための重要なポイントです。「何年までに結果が出なければ一度区切ろう」と話しておくだけでも、精神的な負担は軽減されます。
治療の先にある選択肢たち
- DINKsを選ぶ
あえて子どもを持たない人生を選ぶ夫婦もいます。パートナーシップを軸に、新たな幸せの形を見つける人も増えています。
- 特別養子縁組
生みの親のもとで育てられない子どもを家庭に迎え入れる制度。「育てる」ことを大切にした選択肢です。 - 一時的な治療中断
心身ともに疲れたときは、期間を決めて治療を休むのも方法の一つ。リフレッシュ後に再開することで、気持ちの切り替えができることもあります。
まとめ:治療期間に正解はない、だからこそ
「不妊治療は何年続ければいいのか?」という問いに、明確な答えはありません。人それぞれ体質も、考え方も、生活環境も違うからです。平均としては2〜3年という声もありますが、重要なのは「自分たちにとって納得できる選択」をしているかどうか。
どのタイミングで終えるにしても、そこでの決断が未来の自分たちを支えてくれるはずです。大切なのは、焦らず、他人と比べず、夫婦でしっかり話し合いながら歩んでいくこと。時間をかけてでも、自分たちらしい答えを見つけていきましょう。