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五輪パラの感染対策、国内の人流が課題。パブリックビューイングやスポーツバー観戦など

2021.05.28 Vol.Web original

 東京五輪パラリンピックの感染症対策を話し合う専門家ラウンドテーブルが28日、都内で開かれ、選手村の感染症対策についての講評や、医療体制、関係者の行動管理についての取り組みなどが話し合われた。その中では、日本に暮らす人たちの人流が課題となっていることも示された。

 ラウンドテーブルに先立ち、東京大学大学院経済学研究科・公共政策大学院の仲田泰祐准教授らは「五輪開催の感染への影響・定量分析」を公表。海外からやってくるアスリートや大会関係者10万人の来日における感染への影響は、限定的ではないかとの分析結果を示した。

 この日、ラウンドテーブルに出席した仲田氏はその理由の1つとして、「分析に当たっては、悲観的な仮定をおいた。例えば、海外からアスリートや大会関係者が入国して、次の日から東京に出て日常を過ごすという仮定や、10万人のうちワクチン2回摂取を完了したのは5割など、想定される現実より悲観的・低い数字で試算している。“海外から10万人”という数を聞くと、大きな数字だと思われるが、東京都の人口約1400万人のうち、相対的には1%未満。さらに、この方々は、おそらくその時点で日本に暮らす人よりもはるかにワクチン接種が進んでいる人たちということを考えると、僕たちが出した数字は、ある程度、確信的なものだと見込んでいる」と話した。

 一方で、「五輪パラリンピックの開催に伴って全国で人流が活発になってしまうことは、感染拡大につながりかねない」と、国内での人流拡大には懸念があることを示した。「人流が活発になると感染が拡大するというのは、これまで何度も経験していること。年末年始の会食、3月の花見・歓送迎会のシーズンには、やはり日本国内で感染が拡大した。もちろん分析では、これからワクチン接種が進むことも考慮しているが、それでも、五輪パラに関わらず、夏の花火やお祭りで人流が活発になると、感染が拡大してしまうことが予想される。開催方法については、しっかり議論しないといけないと思う」と、意見した。

 組織委の中村英正ゲームズ・デリバリー・オフィサーは「“日本居住者の人流の影響”はきちんと分析すべきとのご指摘をいただいた。これは観客だけではなくて、ライブサイト等のイベントや、街中のスポーツバーなども含まれる。トータルで人流がどのように動いていくのかを見なければいけない」と分析を受け止めた。

パラ内定選手が国立競技場で初レース。本番会場の感触確かめる

2021.05.11 Vol.Web original

 東京パラリンピックのテストイベント「READY STEADY TOKYO パラ陸上競技」が11日、国立競技場で行われ、男女117名の選手が参加した。

 テストイベントに先立ち10日、日本パラ陸上競技連盟は、東京パラリンピック推薦内定選手を発表。イベントには内定が報告されたばかりの顔ぶれも揃った。

 辻沙絵(日本体育大学)は女子400m(T47クラス)で出場し、1分00秒55でフィニッシュ。「とてもワクワクしながら、緊張もしました。タイムが(トラックの)4ヶ所で見える形になっていたので、自分が何秒くらいで通過しているのかを確認しながら走れました」と、聖地での初レースを振り返る。リオ大会に続き2大会目の出場を決めた辻。「リオの時は勢いで行った感じ。この4年間、上手くいったり、いかなかったりしたことを経験して、自分が本当に何を目指しているのかを考えました。東京大会では出場で終わらせず、メダルを掴み取れれば」と、本番での活躍を誓う。

北京パラへ本格始動!今季初のアルペン大会が長野で開催

2021.03.08 Vol.Web original

 今季初のパラアルペン大会「2021ワールドパラアルペンスキー アジアカップ~菅平高原シリーズ~」が3月9日から13日まで、長野県・菅平高原パインビークスキー場で開催される。それに先立ち8日、オンラインで出場選手による記者会見が行われ、強化指定選手の森井大輝(トヨタ自動車)、村岡桃佳(トヨタ自動車)、狩野亮(マルハン)が出席した。

 本大会は今季国内で初めて開催されるパラアルペンの大会で、2022年3月開催の北京パラリンピック国別出場権を得るためのポイント獲得の対象でもある。今年2月にノルウェーで開催予定だった世界選手権、3月に北京で予定されていたワールドカップファイナルが中止・延期を余儀なくされたなか、パラリンピック出場を見据えた実戦の場として貴重なレースとなる。

 日本障害者スキー連盟の大日方邦子強化本部長はまず、チームJAPANの活動方針を説明。この冬は体調管理の徹底やPCR検査、オンラインを活用したミーティングやトレーニング、研修のほか、合宿や遠征は少人数で実施し、宿泊は個室、食事はビュッフェを回避するなどの感染防止策を行なってきた。また、海外遠征は自主参加の形とした。家族の状況や暮らす地域、健康リスクによって感染症に対する受け止めはそれぞれ違うとし、選手自身に判断を委ねた。

パラ陸上・佐藤がプロ転向会見。新チーム名は元SMAP香取が名付け親

2021.02.22 Vol.Web original

 リオパラリンピック銀メダリストのパラ陸上・佐藤友祈がプロに転向し、22日、所属先の株式会社モリサワとオンライン会見に出席。プロ転向の経緯や東京パラリンピックに向けた意気込みを語った。

 2016年のリオパラリンピックで400mと1500mの2種目で銀メダルを獲得した佐藤。現在、4種目で世界記録を保持し、東京パラリンピックでは「最も金メダルに近い選手」として活躍が期待されている。5年半に渡り岡山県の実業団に所属していたが、大会半年前のプロ転向で、さらなる飛躍を目指す。

 「今までは企業に勤めて実業団選手として活動していましたが、今は練習に割ける時間が2倍になりました」と佐藤。練習拠点は岡山のままで、1ヵ月に1〜2週間、東京の競技場を使って個人合宿を行う予定だという。

橋本聖子新会長が「女性理事40%」「東京モデル」など目標掲げる

2021.02.18 Vol.Web Original

就任会見で開催に向け意欲

 東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会が2月18日、東京都内で会見を開き、女性蔑視発言で辞任した森喜朗前会長の後任に橋本聖子五輪担当大臣が就任することを発表した。

 森会長の後任を選ぶ「候補者検討委員会」は16日に第1回を開催して、新会長に求められる5つの資質を決定。17日の第2回で各委員が具体的な候補者を挙げたうえで審議を行い、橋本氏に一本化され就任を要請した。18日の第3回では橋本氏が受諾の意思があることを確認したうえで、改めて全員一致で理事会に新会長候補として橋本氏を推薦することを確認した。

 組織委は18日に理事会を開催。午後に行われた臨時評議員会で橋本氏を理事に選任した。

 非公表とされていた検討委員会のメンバーについてはこの日改めて、座長であるキヤノン会長兼社長最高経営責任者(CEO)で組織委名誉会長の御手洗冨士夫氏(以下、日本オリンピック委員会(JOC)会長の山下泰裕氏、都副知事の多羅尾光睦氏、元バレーボール選手の荒木田裕子氏、元体操選手の田中理恵氏、元柔道選手の谷本歩実氏、パラリンピック競泳選手の成田真由美氏、スポーツ庁長官の室伏広治氏の8人であることが発表された。

 夕方から行われた会見は2部制で行われ、まず新会長となった橋本氏が出席。

 冒頭、橋本氏は理事会で「コロナ対策について、ジェンダーについて、そして延期に伴った初めての経験となる東京大会に向けての抱負などをお話させてもらった」としたうえで「オリンピック・パラリンピックも社会の一部であり、何よりもコロナで厳しい状況にある社会の1日も早い回復を願っているところ。政府、東京都、関係自治体による一連の対応で状況が改善することを期待しながら、オリンピック・パラリンピックの在り方というものをしっかりと進めていきたいと思っている」などと抱負を語った。

 そして「1月からのコロナの状況により、今年の開催を不安に思う方も増えていると思う。加えて今回の新会長を選ばざるを得なくなった一連の経緯はさらに国民の皆さん、都民の皆さんの気持ちを困惑させるものだったのではないかと思う。コロナを取り巻く状況はまだ厳しいが、これまでオリンピック・パラリンピック担当大臣として、政府の立場から大会のコロナ対策に取り組んできた。今後は組織委員会の会長の立場で引き続き万全な体制を敷き、どのように安全を優先する大会であるかということをしっかりと大会関係者だけでなく、国民や都民の皆さんに丁寧な説明をしていきたいと思う」と開催に向けての意欲を見せた。

東京2020開閉会式の野村萬斎氏統括の演出チームを解散。佐々木宏氏が新たに総合統括に就任

2020.12.23 Vol.Web Original

コロナ禍で迅速さと効率化を最優先

 東京2020組織委員会が12月23日、東京2020 大会の開・閉会式に関する記者会見を開催した。

 狂言師の野村萬斎氏が統括していた7人で構成されていた演出チームを解散し、パラリンピックの演出統括だったクリエーテイブディレクターの佐々木宏氏が新たな総合統括となることとなった。

 会見の冒頭、武藤敏郎事務総長が「新型コロナウイルスによる大会の延期、それに伴う社会状況の変化を踏まえ、国民の理解と共感を得られる大会の在り方について議論をしてきた。大会の簡素化を推進し、最大の課題であるコロナ対策を踏まえて準備の見直しをしてきた。開会式、閉会式の演出企画について、コロナ禍による社会状況の変化、簡素化等の観点からゼロベースでの見直し、再構築を進めてきた。限られた時間の中でより迅速、かつ効率的に準備を進めていくために、新たな体制を構築していくことが必要との結論に至った」として、野村氏、映画監督の山崎貴氏、佐々木氏、映画プロデューサーの川村元気氏、クリエーティブプロデューサーの栗栖良依氏、ミュージシャンの椎名林檎氏、振付家のMIKIKO氏の7人の演出企画チームについて「任を終え、新たな体制に引き継ぐことになった」とその経緯を説明した。

 そして「延期後の大会全体のコンセプトに鑑み、簡素化、コロナを経たイベントの在り方を踏まえて開閉会式を計画してくために、今年7月に大会1年前イベントの演出企画を担った佐々木氏を両式典の総合企画エグゼクティブクリエイティブディレクターとして迎える。野村氏については組織委のアドバイザーとして、大会の持つ文化的な意味づけ等にご支援をいただきたいと思っている」と今後の体制を発表した。

ブラサカ日本代表監督、パラリンピックは「無観客でもやりたい」。コンディションは過去最高

2020.12.21 Vol.Web original

 日本ブラインドサッカー協会は21日、男子日本代表の高田敏志監督によるオンライン活動説明会を行い、2020年の活動総括や来年のパラリンピックに向けた思いを語った。

 ブラインドサッカー男子日本代表チームがかねてより重視しているのが、数値による「見える化」。緊急事態宣言が解除された6月から本格的な活動を再開し、夏の合宿では、昨年の国際大会初戦時と比べた選手たちの走行距離や心拍数などを数値化して、コンディションの回復状況を確認した。この日の説明会では、その後も負荷をコントロールしながらトレーニングを継続したことが示され、10月合宿での体力測定では、ほとんどの選手が過去最高の数値をマーク。高田監督は「トレーニングの成果です」と手応えを口にし、こうした数値の裏付けをもとにトレーニングの負荷、戦術プランのバリエーションを検討するなど、ポジティブな方向に進んでいるとした。

谷真海「前代未聞の五輪パラリンピック延期」【2020年重大ニュース】

2020.12.19 Vol.736

気になるあの人の2020年重大ニュース

12人の識者が激動の2020年を振り返る
 2020年が終わろうとしている。今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響による緊急事態宣言などで「時間が止まった」こともあり、あっという間の1年だったと思う人も多いのでは? 本来だったら今年は夏に東京オリンピック・パラリンピックが開催され、今頃は「beyond2020」を旗印に2020年以降の日本のあり方が議論されていたころだろう。ところが現在は新型コロナウイルスの猛威のせいで日本どころか世界中が「withコロナ」の新しい時代を模索している。後世、語り継がれることになるであろう2020年の重大ニュースを各界の著名人の方々に挙げてもらった。

東京2020の追加経費は合計2940億円。IOCが7.5%のロイヤリティーを放棄

2020.12.04 Vol.Web Original

新型コロナ対策には960億円

 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の追加経費の負担に関して、12月4日、東京2020組織委員会、東京都、国の代表による三者会談が行われ、組織委の森喜朗会長、東京都の小池百合子知事、 橋本聖子東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当大臣が出席した。

 東京2020大会の予算については昨年12月に出された組織委員会予算V4で組織委、東京都、国の経費分担について計上されていたのだが、大会は延期。それに伴う追加経費については大会の簡素化、経費の削減、合理化などの作業が進められてきた。

 延期の大きな要因となった新型コロナウイルスによる感染症対策に伴う費用についても「東京オリンピック・パラリンピック競技大会における新型コロナウイルス感染症対策調整会議」で12月2日に中間整理が取りまとめられたことからこの日の発表に至った。

 追加経費の負担については新型コロナ対策関連の経費以外の経費については、組織委員が最小限のものとなるよう抑制・削減に取り組み、大枠の合意に基づき、組織委、東京都及び国がそれぞれ費用を負担することになる。組織委の負担のうち、組織委の増収努力によっても賄いきれない費用については、東京都が負担するという。

 また新型コロナ対策関連の経費については東京都及び国が、それぞれ2分の1相当額を負担することが基本となる。ただし、アスリート等に係る検査体制の整備や組織委員会が設置する感染症対策センターなどに要する経費については、国が実施する水際対策と同様、大会の感染症対策の中心的機能を果たすことから、国が全額を負担することとなった。

 この基本的なコンセプトのもと追加経費の負担額は組織委が760億円程度、都が1200億円程度(うちコロナ対策は400億円程度)、国は710億円程度(同560億円程度)の合計2940億円程度となることとなった。

 組織委の森喜朗会長は「徹底した経費削減に取り組むとともに、パートナーを回り追加拠出をお願いするなど努力を重ねてきた」と話した。またそのスポンサー企業からの追加料についてはIOCが開催都市契約に記された7.5%のロイヤリティーを放棄する異例の決断をしたことを明かした。

 これについては武藤敏郎事務総長が「契約上は当然支払うことが前提」としながらも「延期に伴ってスポンサーにお願いして、確保したら7.5%とはいえIOCに払わないといけないのは納得がいかない話。今回に限り免除してもらえないかと交渉した。最後はバッハ会場の決断で免除するということになった」と説明。その金額については総額がまだ決まっていないため示されなかったが、「金額の多寡というより、そういう気持ちでIOCも東京大会をサポートしたいという意味合いが重要かと思っている」と話した。

森会長が開会式の行進について「選手に一度話を聞いてみては」と提案

2020.11.18 Vol.Web Original

IOC・IPC合同プロジェクトレビュー記者会見

 来夏に延期された東京五輪・パラリンピックの準備状況を確認する大会組織委員会と国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)による合同プロジェクトレビューが11月16日から3日間の日程で行われ、最終日の18日、東京都内で会見が行われた。

 会見にはIOC調整委員会のジョン・コーツ委員長、組織委の森喜朗会長、武藤敏郎総長らが都内で、IPCのアンドリュー・パーソンズ会長らはオンラインで参加した。

 武藤総長によると今回の協議では「メディアやスポンサー、IOCファミリーといった大会関係者の出入国について」「アスリート向けの検査について」「競技ごとの感染防止策の整理について」「フィジカルディスタンスについて」「選手の滞在期間について」といったことについての論点整理が行われたとのこと。そのほとんどに「検討を進める必要があるのではないか」という言葉が付くように、武藤氏は「今回は結論が出たものではない。議論の整理を行った。これを踏まえ、引き続き5者で緊密に連携を取っていくことが確認された。この議論を踏まえ、コロナ対策調整会議において中間整理の取りまとめが行われることになっているということ」と語った。

 その中で観客席の上限については「日本国政府の定めるルールに準ずるということ」と一つの結論は出ているよう。

 またフィジカルディスタンスについては開催国である日本の基準をベースにアスリートとの距離は原則2メートルとするが「運用上そうした距離が確保できない場合は別途の安全上の施策を講じることとしてはどうか」と、こちらも検討対象になっている。

IOCバッハ会長、観客受け入れは「妥当な数字で」

2020.11.16 Vol.Web original

 来日したIOCのトーマス・バッハ会長は16日、都内で記者会見に出席し、「開催に全面的にコミットしている」と五輪パラリンピック開催に向け改めて決意を示した。

 この日、森喜朗会長らとの会見に出席したバッハ会長は、プロ野球や体操の国際大会を例に挙げ、「日本では安全なスポーツイベントが成功裏に行われている。人々に希望と確信を与えることができたのではないか」と大規模なスポーツイベントや国際大会の開催を高く評価した。その上で、感染症対策をはじめとした開催準備を「ツールボックス(道具箱)」と例え、「道具箱の中にはコロナ対策が入っている。今後さらに洗練された迅速な検査やワクチンが入手可能になるだろう。安全な開催のための道具箱はきちんと整っている」と、開催に向けた意欲を示した。

 大会開催において焦点の一つとなっている観客受け入れについては「満員が望ましいが、安全な環境を提供することが最優先なので安心してほしい」とし、「今後来年の夏の状況を見極める中で、合理的な数値が出てくると思う。満員かもしれないし、場合によっては数値は低いかもしれない」と観客を減らしての開催も示唆した。また、無観客での開催については当初否定的だったが、「我々は大会時に妥当な数字にする」と明確な否定はしなかった。最終判断は「WHOなど専門家の助言に基づいて決定したい」とし、決定時期の明言はなかった。

 ワクチン接種への言及もあった。感染症対策では、アスリートへのワクチン接種の義務化は否定したものの、「海外からの参加者には説得し、多くの人にワクチンを受けてもらいたい。最優先は医療従事者だが、ワクチンが手に入る場合、IOCは各国のオリンピック委員会と協力し、そのコストを見る」と費用負担にも言及した。一方で、観客のワクチン接種については「組織委員会や政府、都のタスクフォース(作業部会)が考えること。(接種が)必要と判断されれば適切な措置が取られると思う」とした。

 バッハ会長は1週間の自主隔離を経てチャーター機で15日に来日し、菅総理や小池都知事と会談。16~18日に行われるIOC・IPC合同プロジェクトレビューに参加し、選手村、国立競技場の視察、組織委員会との合同記者会見などに臨む。

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