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鈴木寛の「2020年への篤行録」  第2回 高校生がソーシャルプロデュース

2013.12.09 Vol.606

 都心部はイルミネーションがきらめき、いよいよ年末モードに入ってきました。皆さんもそろそろ来年に向けた展望を描き始めていることでしょうが、ソーシャルプロデュースで新しい息吹を感じさせるイベントがあります。NPO法人カタリバ(杉並区)が12月14日、『全国高校生MY PROJECT AWARD 2013』を日本橋で開催します(http://www.katariba.or.jp/news/2013/11/22/2427/)。
 この催しは、全国各地の地域社会が抱える課題を解決しようと奮闘している高校生の取り組みを評価し、特に優れた実績のある生徒には表彰します。米国では80年代から学校での学びを生かした社会貢献活動が普及していましたが、日本でも近年、松蔭高校(兵庫県神戸市)が「ブルーアースプロジェクト」と銘打ち、ウォームビズや食品ロス削減の推進といった環境保護活動をするなどソーシャルプロデュースを行う高校生が着実に増えております。メディアに注目されるような事例は私立校が多く、公立校にももっと広げていくことが課題ですが、今回のアワードを機に高校生世代のソーシャルプロデュース活動がさらに注目されてほしいものです。
 それにしても、私が慶応SFCで教えていた90年代を振り返ると、高校生の社会起業志向が広がりを見せていることには隔世の感があります。当時は、阪神大震災を機にNPOの存在が注目され始めたものの、社会貢献活動の大半はボランティアベース。ビジネス的な持続可能性を追求した動きは本当に少なく、私の教え子を始めとする大学生たちがパイオニアでした。アワードを主催するカタリバは教育格差の解消に取り組んでいますが、代表理事である今村久美さんはまさにそうした学生たちのリーダー的存在。同世代である駒崎弘樹君(NPO法人フローレンス代表理事)は、今や子育て問題の「論客」として活躍中です。
 高校生や大学生の間にソーシャルプロデュースを経験することで、利害や矛盾といった社会の複雑な構造を肌で感じることができ、問題解決のために自分の頭で思考する貴重な機会になります。卒業後の進路が、社会起業家にはならなかったとしても、正解や前例のないプロジェクトに挑む地力が身に着きます。

(元文部科学副大臣・前参議院議員)

社会コラム 鈴木寛の「2020年への篤行録」 

2013.11.10 Vol.604

 今回の記事からタイトルを変更しました。政治の世界から距離を置いたのを機に、社会コラムに視点をシフトします。タイトルの「篤行録(とくこうろく)」は、私が好きな古代中国の「中庸」に書かれた文章「博学之、審門之、慎思之、明弁之、篤行之」から名付けました。博学を机上の空論に終わらせず、それを篤く実行する、まさに真心をこめてやり遂げるところまで、しっかりとしたプロセスをまっとうすることが大事という意味です。五輪が開かれる2020年を変革の節目に、21世紀の日本や東京の社会をどう変革していくかその筋道を色々書いていきたいと思っています。

 本コラムの重要な論点の一つがソーシャルプロデュースです。子育て支援、復興支援、キャリア教育、クラウドファンディング、地場産業の活性化……慶応SFC助教授時代から送り出した多くの教え子がおかげさまで社会起業家として活躍中です。

 彼らは、役所では担い切れない、公共的な財・サービスの提供をしています。いわゆる「新しい公共」の担い手です。ただ、福祉や教育の分野が目立つ中で、ほぼ手付かずの領域も残されています。それはメディアです。公共性が高い割に、既存メディアがその商業性故に視聴率や販売部数につながる情報を優先しがちです。広告収入が主体の民間放送ならばスポンサーの顔色も窺わざるを得ないという構造的な問題もあります。そうしたことで、生活者の視点で大事なことが抜け落ちる。選挙報道で憲法や経済政策などが三大争点として取り上げられるのに、教育や社会保障のような地味でも生活に直結する問題が後回しになっていることがよくあります。

 今年に入り、NHKを退社された堀潤さんが市民メディアの動画サイトを起業し、NPO法人として運営を始めました。役所や企業発の「上」からの情報ではなく、生活者が「下」からもたらす情報にプロのジャーナリストの見識を組み合わせて発信する試みです。堀さんのような動きが増えるよう私としても研究・発信していきたいと思います。

(情報社会学者、元文部科学副大臣・前参議院議員)

政治コラム 鈴木寛の政策のツボ

2013.05.27 Vol.592

「先生はいつ離党するんですか?」
 他党からのお誘いでも政治記者の質問でもありません。この4月から始めたニコニコ生放送によるトーク番組へのすずかんファンの視聴者から、何度も寄せられるコメントです。テレビと違って本音がビシビシ伝わるネットの世界。辛辣なご意見も多いですが、丁々発止のやり取りが楽しめるのもネットならではの面白さです。

 この番組は、新宿タカシマヤ近くにこのほど開設したトレーラーハウスのネット中継スタジオからお送りしています。最近タカシマヤへお買い物された際、オレンジの目立つ外観の建物にお気付きになられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。今夏の参院選から選挙戦でのネット利用が解禁されることを受け、新たな発信拠点として考案しました。

 番組のゲストは各界のオピニオンをお招きしています。朝日新聞政治部のエース記者だった早野透さん、都内で初めて民間出身の公立中学校長を務めた藤原和博さん、NPO法人フローレンス代表の駒崎弘樹さんらが来てくださり、駒崎さんの回には3000人を超える方々にアクセスいただきました。テレビと違い、時間や局の都合といった制約を気にせず、大胆なことも発信できるので、予想以上の手ごたえを感じています。

 一方で、ネット選挙というとバーチャルな印象がありますが、むしろリアルの対話に活用することも始めました。6月の都議選に向け、街頭でスタッフがiPadを使った「デジタル・アンケート」を始め、都政への注文やどんな問題に関心があるか有権者の皆さんにお尋ねしています。党への厳しいご意見もいただいていますが、集めた意見をデータ化して政策づくりに生かしていけると思います。

 さて最後に冒頭のご質問に対しての答えです。「すずかんは離党せず、しかしこれまでどおり“超党派のすずかん”としてがんばっていきます。そして初のネット選挙で有権者との熟議を深めます」。面白味のないオチで申し訳ありませんが、建前を嫌うネット視聴者の皆様に向けた私の本音です。      
(元文部科学副大臣・参議院議員)

鈴木寛の政策のツボ 第十六回

2012.06.04 Vol.554


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五輪招致でニッポン復活!


 5月23日、IOC(国際オリンピック委員会)理事会により東京が2020年の夏期オリンピック・パラリンピック大会候補都市として一次選考を通過しました。同じく選定されたスペインのマドリード、トルコのイスタンブールと来年9月の最終選考に向けて競うことになります。
 2016年夏期オリンピック・パラリンピック招致に東京が他の都市に惜しくも敗れたことはみなさんのご記憶にも新しいと思います。前回の反省を生かし、今回は招致委員会の組織、超党派の招致議連、国会での招致決議など、政府による支援の速やかさが高く評価されました。昨年成立したスポーツ基本法、国立競技場の建て替えもこれを後押しする結果となりました。招致委員会の評議員の一人として大変うれしく思います。
 しかし最終選考に勝ち残るにはいくつか課題もあります。一つは昨年の震災に端を発するエネルギー不安や地震への不安です。「開催に伴い増える電力消費量は都全体の0.1%程度」と東京都は説明していますが、政府によるエネルギー基本計画の取りまとめを慎重に進めていくことが求められています。
 また、招致に対する市民の支持率が低いことも懸念です。IOCによる都市の世論調査の結果、東京の支持率は47%でした。他の候補都市は70%以上の市民の支持率があり、大きく水を空けられています。都民、国民のみなさまにご協力いただくために、招致の目的をきちんと伝えていく努力が求められています。
 今回のテーマである「ニッポン復活」は、まさに全国民が手を取り合って目指すべきものです。大変心強いことに、EXILEの皆さんが招致の主旨に深く賛同し、今年3月より無償協力でキャンペーンキャラクターを務めてくださっています。オリンピック・パラリンピックの開催がニッポン復活の明るい兆しになるよう、これからも招致の準備を進めていきます。

鈴木寛の政策のツボ 第一回「コンクリートから人へ」ついに実現!!

2011.03.07 Vol.500

 

「コンクリートから人へ」ついに実現!!

 皆様、こんにちは。参議院議員の鈴木寛です。

 このコーナーでは、政策に関するお話、特に、マスコミ等ではあまり触れられることのないお話をさせていただければと思っています。

 早速ですが、政権交代により予算配分構造が劇的に変わったことは、ご存知でしょうか。政権交代後の二度にわたる予算編成で、社会保障関係は16%増、文教・科学振興関係は6%増、公共事業関係は30%減と大幅な組み替えを行い、平成23年度一般会計予算では、文部科学省の予算も平成23年度には5兆5428億円となり、初めて国土交通省の予算5兆193億円を逆転しました。

 これまでは、予算をはじめ政府の重要政策は実質「事務次官会議」で決められてきました。同会議では各省全会一致主義がとられており、予算額を減らされる側の省庁の事務次官は反対するため、各省の予算額の順位が変わることはありませんでした。しかし、政権交代により、「事務次官会議」は廃止され、国民主導の政策づくりが行えるようになりました。

 文部科学省予算が国土交通省を上回ったのは、国民の皆様の声を政治家が直接受け、それを政治主導で予算編成したからです。今回の予算編制においては政策コンテストを行った結果、国民の皆様から全体で36万通のメールが寄せられました。そのうち、「教育や研究予算を充実してほしい」という28万通もの切実な声をいただきました。その結果、30年ぶりに小中学校の一学級の人数を40人から引き下げる「35人以下学級」の実現に小学校第1学年から着手することとなりました。

 また、大学については、法人化後削減され続けてきた国立大学の基盤的な経費の削減をストップするとともに、国・私立大学の授業料減免は9000人増の7万5000人、科学研究費補助金は一部基金化するとともに、制度創設以来最高となる633億円(32%)増の2633億円を計上するなど、大学の教育・研究活動を支える予算を充実しています。

 我が国のこれまでの発展を支えてきたのも、また今後の発展の礎となるのも「人と知恵」です。資源小国である我が国においては、教育、科学技術・学術、スポーツ、文化芸術の振興を通じたソフトパワーの増進こそがまさに国家戦略そのものであることを念頭にさらに邁進してまいります。

(参議院議員/文部科学副大臣)


※政策について触れてほしいテーマやご質問がございましたら、編集部までご一報ください。

 

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