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格闘家イケメンファイル Vol.64 壊しのベビーフェイス 武居由樹(たけい・よしき)

2017.01.09 Vol.682

 昨年の12月、後楽園ホールで行われたKrush.71で、見事初防衛を果たした武居由樹。リング上では鋭い目つきで相手を追い詰めるハードパンチャーだが、その素顔は今年20歳になったばかりの気持ちの優しい青年。格闘技を始めたきっかけは…。

「小学校の高学年から足立区の竹ノ塚に住んでいるんですけど、その頃ちょっと悪い子で(笑)。それで母親が、10歳の時、僕をキックボクシングジムに入れました。最初は全然好きじゃなくて…。もともと運動もそんなに好きじゃなかったんです。みんなでやる体育とかは好きでしたが、一人で黙々と走ったりとか、筋トレをやったりとかが面白くなくて。だからやる気も起きないし練習もサボってばかり。でもそのジムの会長さんが、家まで来て無理やり家から僕を引っ張り出した(笑)。それでなんとか続けてこられました」

 最初は嫌々通っていたジムだが、だんだんと格闘技にのめり込んでいく。

「中学生になってジュニアの大会に出るようになり、そこで優勝とかできるようになってから、好きになりました。その頃は“俺ってもしかして強いんじゃないか?”って勘違いが入っていましたね、今思うと(笑)」

 しかし、すぐに挫折を味わうことに。

「プロデビューした後、2連敗したんです。それでちょっと、もしかして向いてないんじゃないかと。去年の初め頃だったんですけど、負けた西京選手も佐野選手も1個下なんです。年下の選手だから余計へこんじゃって、もう1回やって負けたら本当に辞めちゃおうとまで考えていました。でも、階級を下げたら、どんどん勝てるようになり、いつの間にか辞めるのを忘れていました(笑)」

 そして、ついに初代Krush-53㎏王者になった。

「小学校4年生から始めて、10年目だったので、やっとチャンピオンになれたか…という思いでした。僕の通っていたジムは結構厳しくて、遊んじゃいけないとか制約も多く、しかも毎日練習があったので、ほんと“やっと”という感じですね。でもジュニアの頃から毎日練習してきたというのが自信につながり、それが強みになっていると思います」

 そして初防衛戦。相手は1度対戦し勝っている隆聖選手。しかし、1Rにダウンを奪われてしまう。

「周りの応援もすごくプレッシャーでしたし、防衛しなきゃというのも大きかった。もちろん、その試合でメインイベントを任されたという責任もありました。なんだかんだいろいろ重なり緊張していたのかも知れません。相手は、以前対戦し勝った選手だったので、普通にやれば勝てるだろうという甘さもあった。1Rでダウンを取られ、ずっとダメージがあり、インターバルでやっと抜けたという感じでした。2Rは最低でも相手からダウンを取らなきゃと内心焦っていましたが3Rは、開き直って夢中で倒しにいきました。相手は、しっかりトレーニングしてきたのが分かりましたし、何より気持ちが強いと感じた。でも3Rで何とか倒し、防衛することができて良かったです」

 試合後のマイクパフォーマンスでは、K-1参戦も直訴。

「やはり格闘技、キックボクシングをやっている以上、K-1は憧れの舞台です。実は1回、K-1のリングに立ったことがあるんですが、会場に飲み込まれちゃって…。そこで西京選手に負けてしまって、全然いい思い出がない。だからもう1回、あのリングに立って、今度はK-1の世界チャンピオンのベルトを取りたいと思っています。Krushのベルトはもちろんすごく大事なので2本持ちたい。そして誰も僕に勝てないんじゃないかって言われるような絶対王者になりたいんです」

 貪欲にベルトを取りに行くと語る武居。嫌々始めた格闘技でここまで来るとは想像もしていなかった。

「あの頃は本当に将来の夢とかまったくなくて、悪さばかりしていた。そういう意味では格闘技がなければ、自分はどうなっていたか…。心から格闘技に出会えて良かったと思っています。格闘技は努力次第で強くなれるし、上に行けるスポーツ。礼儀や言葉遣いも覚えられるので、反抗期の少年におススメです(笑)。僕は小柄なほうですが、どんな相手だろうと真っ向勝負で倒しに行くのが自分のスタイル。そういう試合をお見せしますので、ぜひ1度会場に来て下さい」

格闘家イケメンファイル Vol.62 一度引退した激闘王 石橋佳大(いしばし・けいた)

2016.12.12 Vol.680

 先月行われたプロフェッショナル修斗公式戦 環太平洋フェザー級チャンピオンシップで岡田遼に勝利、王座を獲得した石橋佳大。今年のベストバウトとも称される激しい試合は、背水の陣で臨んだものだった。

「2度目のチャンピオンシップだったので、2回挑戦してダメだったら多分3回目はもう回ってこないだろうなと思っていた。これで負けたら引退かなと。ですから、今までで一番強い覚悟を持って挑めましたし、それまでの練習も本当に充実していました」と石橋。「1度目のチャンピオンシップは根津優太選手。その時は、試合後倒れてしまって全く動けなくなり、人生の中で一番苦しい思いをしたんです。でもそれがあったから、どれだけ疲れ果てても、ウオーミングアップだと思える。あの時は倒れたまま、このまま死ぬんじゃないかと思ってましたから。根津戦以上の苦しみはないと思い練習してきて、それが今のファイトスタイルにつながっているような気がします。今回対戦した岡田選手も前評判通り強くて、僕がどう攻めてもうまくいなされた。とにかく全局面で対処され、なかなか突破口が見つからない。今でもトータルの総合格闘家としての能力は岡田選手のほうが上だと思いますもん。勝因? うーん、場数ですかね。くぐってきた修羅場の数が違いますから(笑)」

 あくまで謙虚な石橋だが、その背景には大きな挫折があった。

「2009年にデビューしたんですが、5戦やって1勝4敗と成績がまったく振るわなかった。それで負けすぎて嫌になって2年間格闘技をやめていたんです。週に1回柔術クラスの指導をしていたので、現場監督のようにジムに顔を出すだけで、気持ちはやさぐれていた(笑)。本当にそれ以外は何にもやっていなくて…。しかし、2013年の夏にミヤオ兄弟という柔術の世界チャンピオンが日本のトーナメントに出場したのを見て、柔術ならちょっとやりたいなっていう気持ちになった。MMAはまだやる気にならなかったんですけど、柔術を始めると楽しくなってきて。それからまず体作りから始めていた時に、先日引退した菅原(雅顕/前世界バンタム級王者)選手からスパーリングの相手になってくれないかと頼まれて、パートナーを務めているうちに、それも楽しくなってきて(笑)。もう1試合ぐらいやってみて、それでダメだったら引退すればいいかと思って復帰しました」

 復帰後は気持ちの面で大きく変わったという。

「今思うと、デビューしてからの試合は“これで勝てるでしょ”ぐらいの気持ちで試合に出ていたような気がします。しかし、復帰してからは負けたら終わり、負けたら今後一切格闘技はやらないという覚悟でやっています。練習でも全部出し切ってやる。そいういう覚悟が以前とは変わったところですね。また、以前は秒殺してやろうと思って試合に臨んでいましが、今は全部出し切って判定ギリギリでもいいから勝とうという意識に変わりました。そう思うと不思議なことに、秒殺で勝っちゃったりする(笑)。復帰戦で1分ほどで勝ててから、それから5連勝してチャンピオンシップまで行けたので、気持ちの問題ってすごく大きいなと。常にあと1回負けたら辞めようと思い続けて、気がついたら勝ちを積み上げていたという感じです」

 デビュー後の敗戦がトラウマなのか、チャンピオンになっても、やすやすと実力を過信しない性格に。

「僕は戦績がいいほうじゃないんです。ランキングを見てもまだまだ自分が強いという自覚がない。確かにチャンピオンになってベルトは取りましたが、ベルトを巻いたからといって、自分が一番強いとは思っていないです。逆に、自分が最強だと思ったら、それ以上強くはなれない気がする。1勝4敗から這い上がってきた負け犬根性で戦ってきた気持ちは忘れないですね」

 今後は挑戦される立場だ。

「そうは言ってもこれからは狙われる立場だというのは、しっかり自覚しているので、常に戦える準備はしておきたいなと思います。地味な選手ですがベルトを譲る気は毛頭ないので、また激しい試合をして最後は絶対に極めて勝つ。自分では全然期待されていないチャンピオンだと思うので、これからも挑戦者の気持ちで頑張っていきたいと思います」

格闘家イケメンファイル Vol.43 ZSTの体操のお兄さん 上田 貴央(うえだ たかお)

2016.02.22 Vol.661

 小さなころから空手や柔道を習ったり、成長して格闘家にあこがれジムに通ったりした結果、総合格闘技の道へ入る選手が多い中、異色の経歴を持つ選手がいる。それが“ZSTの体操のお兄さん”こと上田貴央。その名の通り、器械体操出身の選手だ。

「小学校から大学までずっと体操をやっていました。総合格闘技を始めて約8年、体操は10年以上やっていたので、僕の今の格闘技のスキルは、体操以下だと思う。全然まだへたくそです(笑)。でも体操をやっていたことで、格闘技で生かせることもあります。一番は柔軟性。そして、体操では空中感覚と言うのですが、寝っ転がっていても自分がどういう状態なのか三次元的に分かる。これは寝技をやるにあたってはすごく有利です。それ以外で、体操をやっていたおかげで得したことはあまりありませんね(笑)」

 10年以上も体操漬けの毎日を送っていた上田少年。なぜ格闘技の道へ。

「中学生ぐらいまでは、無邪気に体操でオリンピックを夢見てられましたが、高校、大学になると分かるんです。オリンピックとなるとレベルが違うぞって(笑)。でも自分はやれることを精一杯やればいいと思っていましたし、楽しくできたので悔いはありません。格闘技の入り口はプロレス。高校生の時にドラゴンゲートという団体を見て、かっこいいなって。でもこの人たちって本当に強いのかなって疑問が起きて…。で、K-1とか他の格闘技をいろいろ見ているうちに総合格闘技が一番強いんじゃないかと。でも自分でやるとは思っていなかった。DNAも違うし、性格的にも向いていないと思っていましたので。それで、大学を卒業した時に、某舞浜の巨大テーマパークでショータレントになったんです。3年ほど続けていたのですが、今後もずっとショーマンをやっていくのかと考えた時に、格闘技に1回はチャレンジしないと、将来ずっと愚痴を言い続けるような気がして…。で、家が近いという理由で現在のジムに入門しました」
 プロデビュー8年にして、まだまだ伸びしろがあると語る。

「年間360日、1日5〜6時間も練習をやる体操に比べれば、週に2日も休みがあったので、練習は精神的にはきつくなかったです。でも体ができていたし、よく動くので初心者と思われず、スパーで思い切りやられた揚げ句、大したことないじゃんって(笑)。それに、今が一番強いのは間違いない。ただ、全部追い込んでいないので、伸びしろは全然ある。だって体がどこも痛くないんだもん(笑)。格闘家ってみなさん満身創痍でやっているじゃないですか。でも僕はどこも痛くないし、何も辛いところがない。完全に中学生の時と変わらないので、あと5年ぐらいはずっと伸び続けると思う。練習を休めない体操は、ケガをしないことが最重要事項。僕はそれが格闘家の中でも長けているし、自分の能力の上限を知っているから壊れない。それも強みだと思っています」

 4月17日(日)新宿FACEで開催される「ZST51.」で現バンタム級王座の柏崎剛と対戦する。

「彼と対戦したバンタム級の選手の中で、彼が勝っていないのは僕だけなんです。僕だけ引き分けている。決着がつかなかったらドローというルールだったんですけど、彼は勝ったと思っていると思います。確かに彼の支配する時間は長かったけど、こちらもポジションあげるよっていう感じでやっていたので、勝っていたと思われると、ちょっと困っちゃいますね(笑)。だから向こうは全力でやってくると思います。彼は本当に真剣に格闘技に取り組んでいますし、あの若さですべてのスキルがすごく高い。でも僕はウルトラマンですから、ピンチ、ピンチ、大逆転みたいな展開になると思う。大逆転の僕のスペシウム光線が当たれば勝ちます。当たらなかったら? ボコボコにされちゃうでしょうね(笑)。一か八か。それが一番面白いと思っている。生意気なことを言うようですが、今ZSTに出ている全選手の中で、一番僕がZSTです。彼はチャンピオンですが、僕がZSTですので、ZSTらしいしびれるような試合をお見せします! 

格闘家イケメンファイル Vol.20 秒速のNEW AGE 西京春馬(さいきょうはるま)

2015.03.09 Vol.638

 20回目を迎えるこの連載に最年少のイケメンが登場! 昨年、鮮烈なデビューを飾り、その試合を見ていた関根勤が「すごい子が現れた」と絶賛したという。強くてかっこいい16歳の高校2年生はさぞや学校でもモテモテだろうと思いきや…。

「全然モテないです! 学校で? まったくない。格闘技をやっていることは友達も先生もみんな知っていて、応援に来てくれたりしますが、個人的にとか話しかけられることもないですね。バレンタインデーもチョコレートは、1個ももらってないです。ゼロ。あっ、お婆ちゃんからはもらいましたけど(笑)」

 頑なにモテ説を否定する西京だが、1日のスケジュールを聞くとそれも納得。

「学校とジムがすごく近いので、毎日練習です。朝走って、その後学校に行って、授業終わったらすぐにジムで練習。さらに夜もトレーニングジムに行って練習するという毎日です。休みは月曜だけ。休みの日は一日家で犬と戯れながら、ダラダラと過ごしています(笑)」

 中学生の弟も格闘技をやっている。

「今、中学2年生なんですけど、ちょっと前にK-1チャレンジというトーナメントに出て、3回勝って優勝しました。弟とは同じタイミングで格闘技を始めたんです。僕が小学校4年生で弟が小学校1年生の時です。もともとはお父さんが格闘技好きで、テレビでK-1とかをよく見ていて、自分も自然に見るようになり。そこで選手たちがかっこいいなって思って、最初はキックボクシングをやりたいって言ったんですよ。お父さんは好きだから、いいじゃんっていう感じだったけど、お母さんにすごく反対されて。でも何度も何度も説得して、近所のムエタイジムに弟と一緒に入ったのが始まりです。K-1ではブアカーオ選手が好きでした。2回ぐらい優勝していると思うんですけど、強くてかっこいいところにあこがれていました。圧倒的に強い選手が好きなんです」

 圧倒的な強さといえば、前回の試合(1月4日に行われたKrush.49の「Krush —55kg Fight」)では、1R7秒KO勝ちという驚異のスピードで勝利。

「すごく気持ち良かったです(笑)。ジムの先輩とかには、 “すごかったよ”とか“かっこよかったよ”って褒められてうれしかった。でも応援に来てくれた人には、“もうちょっと試合が見たかった”とも。せっかくチケットを買ってきたのに、すぐ終わったらもったいないみたいな(笑)。 “いつ何が当たったの?”とかも聞かれましたし(笑)。始まった瞬間にハイキックを打ったらそれが当たって、相手が倒れたんですけど、それをたまたまとか書いてある記事があって、それを見た時はちょっと…ね(笑)」

 次回の試合は4月19日に国立代々木競技場第二体育館行われる「K-1 WORLD GP 2015 〜−55kg初代王座決定トーナメント〜」の「プレリミナリーファイト/K-1 −55kg Fight」。

「トーナメント大会のオープニングファイトのような感じなんですけど、2つ上の相手の武居選手にはアマチュアの時に負けているので、リベンジのつもりで挑みます。アマチュアの時といっても小学生の時ですが(笑)。前回7秒KOという倒し方をしましたが、たまたまじゃないかって思っている人もいると思うので、次もみんながあっと驚くような試合ができればと思っています。自分の武器はスピードとテクニック。トーナメントは自分と同じ−55kgですが、トーナメントに出ている人を含めて、スピードで負ける気がしない。スピードで驚かせて、前回ぐらいのインパクトを残せれば、トーナメントに出ていなくても、印象に残る試合ができると思う。そうしたら、どんどん強い人と対戦させてもらえるし、それぐらい目立てればいいですね。最終的な目標は世界チャンピオンですが、絶対的に強いチャンピオンでありたい。西京は最強のまま、“ちょっとレベルが違うな”って言われたいです。そしてできれば弟とWチャンピオンとかかっこいいですよね。 “最強の西京兄弟”。ちょっと言いにくい。もっと言いやすい名前、何か考えます(笑)」

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