SearchSearch

【インタビュー】キーレン・パン監督に聞く、香港の女性も敏感になる「29」という数字! 

2018.05.20 Vol.706

 30歳へのカウントダウンが始まったとたん人生の大問題が一気に降りかかってきた!? 本作は、香港を代表する女性演劇人の一人キーレン・パンが作、演出、主演(2役)を手掛けるロングラン舞台劇『29+1』を、自ら脚色し初監督した作品。

「この物語が生まれたのは私が28歳のときです。それまでは舞台女優としてお給料をもらって生きてきたんですが、いつか舞台で自分の書いた脚本で自分で演じてみたいと思ったんです」と、作品誕生のきっかけを語るキーレン・パン監督。

「ではどんな物語を書こうかと周囲を見渡してみると、同年代の女性たちが皆“もうすぐ30歳だ!”とみんな騒いでいて(笑)」

 物語の舞台は2005年の香港。30歳を目前に控えたクリスティは一見、仕事ともプライベートも順風満帆。しかし実は仕事のプレッシャーはキツく彼氏ともすれ違いばかり、実家の父には認知症の症状が…。さらにはある日突然、住み慣れたアパートから退出する羽目に。どん底の中、パリ旅行中の女性の部屋を借りることができたクリスティは、部屋の主ティンロが自分と同じ29歳ということを知り、彼女の明るく前向きな生き方に引かれていく…。

「映画では別々の女優が演じていますがもとは私が一人二役で演じていました。どちらの生き方が正しいとか間違っているとか、そんなことは誰も言えないと思うんです。映画では物語の軸を人間と人間の縁という点にシフトして出会いの中で人生におけるいくつもの選択肢や転機を見つけられるかも、ということを伝えられたら、と思いました」

“29歳”でなくとも人生の岐路でふと立ち止まることは誰にもある。

「立ち止まることも迷うこともない人生なんて、あり得ない。私はそう思います」

Copyrighted Image