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約1年3カ月ぶりの本公演を初進出となるザ・スズナリで ゴジゲン『朱春』

2021.03.25 Vol.739

 

 脚本家・演出家・映画監督、そして俳優としても活躍する松居大悟が主宰を務めるゴジゲンが約1年3カ月ぶりの本公演を初進出となるザ・スズナリで行う。

 その1年3カ月前の作品は昨年行われるはずだった東京オリンピック・パラリンピックをモチーフとした作品で、今から考えると別な意味でのそのタイムリーさに驚かざるを得ない。

 今回は「家から出られなくなった男たちのパーティーのお話」ということで、昨年の新型コロナウイルスによる緊急事態宣言により不要不急の外出の自粛を要請されたことをヒントに描かれる作品のよう。

 松居の作る作品は実体験を基にした作品も多い。こう書くと生々しさを連想する人もいるかもしれないが、生々しさもあるにはあるが、むしを共感を呼ぶ類のもので、ついつい登場人物に感情移入をしてしまう。

 今回はかねてから上演を希望していたスズナリへの初進出ということもあり、客演なしで劇団のみの公演。

 ちなみにゴジゲンは訳あって一時劇団活動を休止していた時期もあるのだが、その活動休止から復活にまつわるドキュメント映像をYouTubeチャンネルで公開しているので、ちょっとのぞいてから彼らの公演を見てみるのもいい。

【下北沢で観劇始め!!】J-WAVE30周年×ゴジゲン10周年企画公演『みみばしる』

2019.01.28 Vol.714

 本作はFMラジオ局のJ-WAVEが開局30周年プロジェクトとして、松居大悟率いる劇団ゴジゲンとコラボレートしたもの。松居がナビゲーターを務める同局の番組「JUMP OVER」(毎週日曜23:00-23:54OA)を “稽古場ラジオ”と題し、時にリスナーの声を創作に反映させながら舞台制作の過程を公開。出演者もリスナーから公募するなど、ラジオ番組発の舞台作品となっている。

 作・演出を務める松居はかねてから舞台とか映像という発信手段についてはこだわりがなく、「面白いことを好きな人とやりたい。一緒にやる人が大事」というスタンスを公言。今回の作品はいわば演劇と音楽、劇場とラジオの境界線を越えた作品なのだが、そんな松居だからこそできた試みと言えそうだ。

 30歳になった途端会社をクビになったOL妙子は自分は誰にも必要とされていないのではないかと思う日々の中、妹の影響でラジオを聴き始める。音楽と共に、リスナーから送られてくる愚痴や悲しみを全力で励ましてくれるラジオに妙子はのめり込み、メッセージを投稿するようになるのだが——。

 プレビュー公演以外のすべての公演でアフタートークが開催されるとのこと。特殊な成り立ちの作品だけに、こちらも興味深いものになりそう。

結成10周年!ゴジゲン『君が君で君で君を君を君を』

2018.09.25 Vol.710

 劇作家で演出家、そして映画監督も務める松居大悟が主宰を務めるゴジゲンが今年、結成10周年を迎える。

 松居は今年、監督した映画が2本公開された。そのうちの1本である『君が君で君だ』は池松壮亮を主演に全国公開され、大きな話題を呼んだ。同作はゴジゲンで2011年に上演された「極めてやわらかい道」を原作とした作品なのだが、今回はこのテーマをリブートし完全新作の『君が君で君で君を君を君を』として上演する。

 映画では“愛の向こう側”をテーマに、彼女を愛するがゆえに彼女の好きな人物になりきり、名前も自分の人格すらも捨てた3人の男たちの超純愛を描いたのだが、舞台ではそれを6人の男たちでやってしまうという。

 公演に先駆け7月28日には新宿・LOFT/PLUS ONEでオールナイトイベントを開催。公演自体も「10 周年&映画化だよ!全員集合ツアー」と題し、東京公演後の10月19〜21日には北九州ツアーも敢行。その道すがらの10月16日には京都でイベント開催。公演中はアフターイベントも多数開催とお祭り感満載。

 舞台はもとより、映画、コラムの執筆と幅広い創作活動を続ける松居だが、やはり心のベースはゴジゲンなのだと納得させられる公演となっている。

3年ぶり復活の劇団、ゴジゲンがなにやら突拍子もないことをするらしい

2014.11.09 Vol.630

 2010年に吉祥寺シアターに進出。2011年には2000人以上の観客を動員するという順調な歩みを遂げていたのにその公演をもって活動を休止していた劇団、ゴジゲンが3年ぶりに復活するという。

「演劇はずっとやりたいと思っていました。演劇をやるならゴジゲンで。ゴジゲンをやるなら目次がいないと、と思っていました」というのは作・演出の松居大悟。目次というのは松居が厚い信頼を寄せる、俳優の目次立樹のこと。「3年前の活動休止は目次の離脱が決定打となった」(松居)というくらいの存在。その目次は「今は地元の島根で農業をやりながら、演劇もやっています」という。

松居「年に1回くらい様子を探っていたんですが、目次はまだまだ演劇をやる気分にはなっていなかったようでした。でも昨年の夏、深夜2時くらいに電話をしたら、“岩松了の戯曲を読んでた”って言うんです。じゃあ演劇やろうよって」

「活動休止中も劇団ブログを更新し続けていました」という元劇団員の東迎昂史郎にとっても待ちに待った再開だ。

 再開となる今回の作品はどんなもの?

松居「もう脚本を書く事はやめたんです。“作る”ことすらやめました。息を吸うように駅前劇場の真ん中に立っているというだけの状態にしたいと思っています。ただ生きるだけ。作らないことがテーマになってます。稽古場でいろいろ話して、ご飯を食べてというふうにみんなで過ごしているんですが、13日からは駅前劇場に来てくれた150人とその空気を共有するというだけのものになると思います。もう演劇といっていいのかどうか」

 エチュードみたいな感じ?

松居「生きることが長いエチュードと言うならば、それはエチュードなのかもしれないです」
目次「……収まったね(笑)」
松居「この作り方、作品がみんなに受け入れられたら、僕は演劇を続けられるような気がします。そして今後のゴジゲンは目次次第。目次がやると言えば、復活。じゃあさよなら、と帰れば解散です」
目次「そうなの? 責任重大じゃない。帰るよ、普通に(笑)」

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