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抱っこひもで赤ちゃん、下北沢の居酒屋【徳井健太の菩薩目線第188回】

2023.11.20 Vol.Web Original

“サイコ”の異名を持つ平成ノブシコブシ・徳井健太が、世の中のあらゆる事象を生温かい目で見通す連載企画「徳井健太の菩薩目線」。第188回目は、赤ちゃんと行動することについて、独自の梵鐘を鳴らす――。

 赤ちゃんを育てている。一歳の赤ちゃん。

 僕は、ベビーカーに乗せることはほとんどせず、自分の体力が続く限り、抱っこをするようにしている。

 雀荘とパチンコをのぞいて、どこかへ一緒に行くときは抱っこ。買い物をするときも抱っこ。新幹線に乗るときも抱っこだ。ライブへ行くときも抱っこをしながら音楽を聴く。なんだったらビールも飲む。赤ちゃん(子ども)がいるから、何かを制限しようという感覚は無い。もちろん、それが赤ちゃんにとって良くないことであれば、自制するようにはしているけれど。

 先日、うちの奥さんと待ち合わせをする際、合流するまで小1時間ほどかかるというから、赤ちゃんを抱きながらどこかで時間つぶしをしようと考えた。ゲームセンターは良くないよなとか、いろいろと考えた結果、居酒屋で飲みながら待つことを決めた。

 1~2杯も飲めば、奥さんも到着するだろう。目についたお店の扉を開けると、待ち合わせる身としては理想的としか言いようがない、まったくお客さんがいない状況だった。

「この後、奥さんが来るので少し飲ませてもらってもいいですか」。そう断ると、奥の席へ案内された。

 着席してメニューを眺めていると、突然不安に駆られた。

「あれ? 俺って今、めちゃくちゃヤバい奴に思われてないか?」

下北沢の夜10時。おじさん一人が赤ちゃんを抱っこしながらガラガラのお店でビールを飲む――。はたから見れば、何かしら家庭の事情に瑕疵を持つ人に思われるかもしれないし、どうしようもなく酒が好きな中毒者に見えるかもしれない。

 お店に入るとき、「この後、奥さんが合流するんで」とは伝えたものの、それが本当かどうかは分からない。店員さんが僕のことをいぶかしげに思ったとしても反論するだけの証拠は、今のところまったく持ち合わせていない。不安に思えば思うほど、僕の顔はこわばっていき、不審者レベルは上がっていく。

 いま思えば、「この後、奥さんが合流するんで」も少し言い訳がましかったように思う。無意識の自衛本能。子どもの頃、エロ本を買う際に、聞いてもいないのに「兄に頼まれたんです」と言い訳してからお金を払った自衛本能。

 競馬場に赤ちゃんを連れて行ったとしても、こんなに不安に駆られることはない。だけど、赤ちゃんを抱っこしながら一人で居酒屋で酒を飲むことの背徳感は、想像していた以上にビリビリきた。遠くから、「家で飲めよ」という店員さんの視線を感じるのは気のせいかな。

 世の中って不可思議だ。お店で一人で飲んでいる男性が、実は赤ちゃんを奥さん一人に任せて、飲みに来ている可能性だってある。だけど、その男性は「一人で飲みに来た男性客」として切り取られる。僕のように、「抱っこしながら一人で飲みに来た男性客」の方が、世の中的には「?」が付く。世界はいびつで面白い。社会のボタンは、些細なことから掛け違えられていくのかもしれない。

 奥さんの到着が遅れるらしい。ビールを飲み終え、気まずくなった僕は、そそくさと店を後にしようと思った。腰を上げた瞬間、「今出るともっとヤバい奴になるんじゃないか」。僕はぐっと深く、その腰をもとの位置に戻した。正真正銘、一杯だけ飲むためだけに、赤子を連れてまで居酒屋に来たホンモノじゃないか。

 意地でも奥さんを待つしかない。気が付くと3杯ほど飲んでいた。2杯目からは、酒の力で襲い掛かる不安をごまかしていた。たった1つパズルのピースが足りないだけで、人間はとてつもなく不安になるようにできているんだと分かった。それから少し遅れて到着した奥さんの姿を見て、僕は見つからなかったピースをようやく見つけたときのようなうれしさを感じた。

 ホッとした安堵の表情を浮かべたのは、きっと僕だけじゃない。その居酒屋で働いていたスタッフ全員、胸をなでおろしたはず。「あの人は本当に奥さんを待っていたんだ」。最後のピースが見つかると、世界は元の姿に戻るのだ。

まるでフレンチ!下北沢に新感覚の韓国料理をコースで楽しむ「HAN-CHEF」誕生

2022.12.18 Vol.Web Original

 下北線路街の全面開業で新たな魅力を発信している下北沢。そんな注目エリアにこの冬、本格韓国料理をコースで楽しむ「韓国料理 KOREAN DINING HAN-CHEF(ハンシェフ)下北沢店」が誕生した。

小田急「下北線路街」ついに全面オープン!緑の広場や園芸ショップ、アートスペースを併設

2022.05.28 Vol.Web Original

 小田急電鉄が開発を行う「下北線路街」が28日、下北沢駅南西口改札前の最終開発エリア「NANSEI PLUS」が完成したことで全面開業を迎えた。

お花や果物、もちつきまでそろう!?下北沢で春の季節市『BONUS PLAY TRACK』開催

2022.04.17 Vol.Web Oriinal

 下北沢と世田谷代田の間にある商業施設「BONUS TRACK(ボーナストラック)」。同所で春・夏・秋・冬の年に4回の季節市『BONUS PLAY TRACK』が16日、17日の2日間にわたり開催されている。今回の春市は“PLAY”をテーマに、外に出て体を動かしたり新しいことに挑戦したり、大人も子どもも一緒に楽しめるイベントが盛りだくさん。本紙イベント担当がぶらりと遊びに行ってみた。

焼き菓子、空気入れ、レモンジュース…下北沢の日曜を彩る「BONUS TRACK 朝市」

2022.02.27 Vol.Web Original

 下北沢と世田谷代田の間に誕生した新しい商店街「BONUS TRACK(ボーナストラック)」。毎週日曜の朝に開催される「BONUS TRACK 朝市」は、遊歩道沿いを中心にこだわりのごはんやおやつ、旬の野菜などさまざまなお店が集うマーケットイベント。本紙グルメ記者が気になるお店を覗いてみた。

下北沢にミニシアター「K2」が誕生した理由「好きだった名画座がなくなって…」

2022.02.24 Vol.Web Original

 今年1月、都内で一番新しい映画館として「下北沢駅」南西口に直結するミニシアター「シモキタ-エキマエ-シネマ K2(ケーツー)」が誕生した。新型コロナウイルスの影響で観客が減少し、映画館の経営環境が厳しくなっている今、下北沢に新たなミニシアターをオープンした思いとは。同館を運営するLLP(有限責任事業組合)IncLine(以下、インクライン)のひとつ、株式会社Motion Galleryの大高健志さんに聞いた。

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まさに総合芸術! Project Nyx『女歌舞伎 さんせう太夫~母恋い地獄めぐり~』

2022.02.01 Vol.749

 Project Nyxは新宿梁山泊の水嶋カンナが2006年に立ち上げた実験演劇ユニット。宇野亜喜良の総合美術、金守珍の演出を基盤に、不朽の名作から知られざる傑作までをも現代のパフォーマンスとして蘇らせている。さまざまなジャンルのアーティストが集い、演劇という枠を超え、音楽、舞踊、人形、アートが融合。新たなエンターテインメントが創造されている。

 今回は2020年に上演した女歌舞伎の第二弾。本作は不朽の名作である『さんせう太夫』を寺山修司と親交の深かった白石征が寺山の短歌を織り交ぜ書いた作品。

 この安寿と厨子王の物語は多くのドラマや映画、舞台にもなっているのだが、Project Nyxでは妖艶かつ華麗なビジュアルと個性派女優たち、さらに津軽三味線若手奏者・駒田早代、人形遣い・百鬼ゆめひなを迎え、スーパーロック・ネオ女歌舞伎として上演する。

浅草&下北沢の最高にうまい店は?かまいたち、白石麻衣、ウエンツ瑛士らで街グルメ賞レース

2022.01.30 Vol.Web Original

 浅草と下北沢の最高うまい店がついに決定する!  

 30日放送の日バラ8『街グルメをマジ探索!かまいまち』(フジテレビ、20時)は街グルメの賞レース。「ひとつの“まち(街)”に、徹底的に“かまい”まくる」との意味が込められたタイトルの通り、ひとつの街を徹底的にリサーチし、その街の“最高の店”の“最高の一品”を紹介するというもの。番組では、お笑いコンビのかまいたちが進行で、プレゼンバトルが繰り広げられる。

 今回リサーチしたのは、浅草と下北沢。浅草編では白石麻衣、下北沢編ではウエンツ瑛士がゲスト審査員として参加する。芸能人プレゼンターたちの案内で最高の店を訪れ、最高の一品を堪能する。

 昨年10月放送の前回同様に、芸能人プレゼンターたちが、リサーチからロケハン、プレゼン方法に至るまで、すべてを自らが担当。浅草編では、神田愛花、馬場典子、馬場ももこのアナウンサー3人がプレゼンターを務め、下北沢編では、酒井美紀、野呂佳代、中山忍の女優3人が登場する。テレビ初登場の店、長く愛される老舗、店名や店長の顔出しNGの名店などを熱く紹介する。

下北沢に複合施設「テフラウンジ」完成!小田急「これからあまり電車に乗らないんじゃ…」

2022.01.22 Vol.Web Original

 小田急線「下北沢駅」南西口に、駅直結の新たな複合施設「(tefu)lounge(テフラウンジ)」がオープンした。カフェ&ラウンジ、ミニシアター、食品・グローサリー、コーヒースタンド、シェアオフィス、レンタルスペースが集まり、近隣地域の人びとの「まちのラウンジ」を目指す。

下北沢にミニシアター「K2」誕生!雑誌創刊やファンコミュニティーで新たな映画館目指す

2022.01.18 Vol.Web Original

 小劇場にライブハウス、雑貨や古着、飲食店など個性的なお店が並び、英「タイムアウト」による「世界で最もクールな街」にも選出される「下北沢」。そんな下北沢に20日、新たなミニシアターとして「シモキタ-エキマエ-シネマ『K2(ケーツー)』」がオープンする。老舗ミニシアター「岩波ホール」の閉館が決定するなど、コロナ禍で映画館ビジネスが苦境に立たされる今、なぜミニシアターを設立するのか? 事前に行われた内覧会よりその思いに迫る。

首藤康之「自分の分身のように思えてきた」最新舞台で人生をダメにした男の再生描く

2021.10.18 Vol.Web Original


 人生を踏み外した男のクリスマス・イブの物語を描く舞台『ダブリンキャロル』の上演が決まった。本作が日本で上演されるのは初。出演は、首藤康之、山下リオ、小日向星一。

 アイルランドの作家、コナー・マクファーソンによる作品。酒浸りで浮気性で家族から離れ、葬儀屋で働く男ジョンのもとに、10年ぶりに娘メアリーが訪ねてくる。ジョンの妻が重い病気で、ジョンに会いたがっていて、迎えに来たのだという。ジョンは自分の過去と現在に向き合うことになって……。

 ジョンを演じる首藤は、「読み進めてみるとこの「ジョン」という男が、自身の分身のように思えてきた」といい、「この仕事をしていると、自分が抱いている感情と表現しようとしている感情の間に本当の自分がいるような気がいつもしています。ジョンと自身の心の叫び声をエネルギーの源として、僕自身初めて体験する会話劇を、精魂を注いで演じたいと思います。今年50歳を迎えるこの時にジョンに出会ったのは何かしらの運命を感じています」と意気込む。

 娘のメアリーを演じる山下は「台本を読みながら、他人の一日を覗き見しているような罪の意識を感じつつも、いつのまにか感情移入し、私自身の一日に影響を及ぼされる、不思議な感覚になりました。海外の戯曲は初めてなので、今から緊張していますが、一日一日の稽古を大切にお芝居できたらと思います」とコメントを寄せている。

 小日向は、葬儀屋を手伝っている若者、マークを演じる。

「コナー・マクファーソンが書いた『ダブリンキャロル』の世界に飛び込んでいけること、とても光栄です。台本を読み、観てくださる方の希望になれるような戯曲だと思いました。座組みの皆様と一丸となって、舞台を作っていきたいと思います」と、燃えている。

  下北沢の東演パラータで、12月3~9日に上演。

 

以下に、キャストのコメント全文。

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