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政権を担い得る野党なくして、二大政党政治なし【長島昭久のリアリズム】

2019.06.10 Vol.719

 衆参ダブル選挙の声が喧しくなってきましたが、衆院解散は総理の専権事項ですから、私たち議員は「まな板の上の鯉」に他ならず、じたばたしても仕方ありません。「常在戦場」を胸に刻み、何があっても対応できるように準備だけは怠りなく進めるのみです。(苦笑)

 そのような中、小沢一郎さんなどは、「今のままでは野党は壊滅する」しかし、「野党が一つになれば政権交代は可能」と盛んに発破をかけています。さすが、小選挙区制度導入の立役者にして、平成時代を通じてあらゆる政局をつくり上げてきた方だけに、その言には迫力があります。

 私自身も、かつて小沢さんの『日本改造計画』に魅了され、政権交代可能な二大政党制を日本に定着させるとの強い思いを抱き、平成12年(2000年)10月の衆院補欠選挙に当時の野党第一党だった民主党から立候補しました。一敗地にまみれ、3年間の浪人を経て15年11月の総選挙で初当選し、以来お陰さまで6期連続当選し今日に至っております。その間の平成21年、悲願の政権交代を果たし、3年3か月という短い期間でありましたが政権を担わせていただきました。しかし、24年12月の総選挙に敗れ下野して以来、旧民主党は四分五裂、一昨年の「希望の党の反乱」もあえなく鎮圧されて今日の体たらくです。

 そのような中で飛び出したのが、先ほどの小沢発言です。しかし、二大政党(あるいは政治勢力)による政権交代可能な政治を標榜することについては人後に落ちぬと自負する私でも、小沢氏の発言には違和感しかありません。なぜなら、「二大政党制」というのは、とにかく大きな政治勢力が二つあればいいという話ではなく、いつでも政権党に取って代わって政権を担い得る野党の存在が大前提だと考えるからです。

「野党が一つにまとまれば政権党を倒せる」というのは、たしかに小選挙区制度の本質を突いた話ではありますが、「二大政党が切磋琢磨してより良い政治を行う」という二大政党制とは無関係であり、それは「より良い政治」ではなく政権打倒のみを目的にした「野合のすゝめ」に他ならず、無責任極まりないと考えるからです。

 現に、いまの野党は、現時点で多少勢いのある左派勢力を中心として、とにかく「アンチ安倍」で一つにまとまろうとする余り、憲法や安全保障やエネルギー政策など国家の基本問題に対する極論のオンパレードで、政権を担うことは到底考えられません。

 私は、そういった野合とは一線を画し、今後とも「政権を担い得るど真ん中の政治勢力」再結集をめざし、愚直に政策競争と熟議の国会を追求してまいります。

(衆議院議員 長島昭久)

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