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日本ボクシング連盟の山根明会長の 辞任の理由は“嫁のOK”

2018.08.10 Vol.709

 アマチュアボクシングの都道府県連の有志らによる「日本ボクシングを再興する会」が日本オリンピック委員会(JOC)などに、アマチュアボクシングの統括団体である「日本ボクシング連盟」内で行われている助成金の流用、試合の判定の不当な操作、不正経理などを7月27日に告発した。

 助成金の流用というのは2016年リオデジャネイロ五輪に男子ライト級で出場した成松大介選手に対して日本スポーツ振興センター(JSC)が2015年度に交付した助成金240万円が、日本連盟の指示で3等分されて別の2選手に80万円ずつ渡されていたというもの。

 これについては連盟は不適切使用の事実は認めたが、他の選手を強化したい山根明会長の親心だったと主張した。山根会長も「親心から3等分に分けなさいと言った。不正という認識はなかった」とメディアに答えた。

 その一方で成松選手に対し連盟の幹部から「会長の命令っていうと、おかしくなっちゃうから」「あなたが(自分の意思で)分けてやったと言ってくれるとうれしい」などと、隠蔽を依頼するような動きもあったという。

 また不正判定というのは日本連盟の山根明会長が過去に県連盟役員を務めた奈良県の選手に有利なジャッジが行われていたというもので、メディアでは2016年の岩手国体で奈良代表の選手が2度ダウンしたのにもかかわらず相手の岩手代表の選手が敗れた試合が連日取りざたされた。

 山根会長は正式な会見こそ行わないものの、8月3日以降、メディアの取材には応じ、その中で「僕は世界からカリスマ山根と呼ばれてる男ですから」「悪いことはしていない。身体の話が出ること自体おかしい」「私は、歴史に生まれた、歴史の男でございます」などと強気の発言を繰り返していた。

 しかし6日には山根氏が約50年にわたり暴力団関係者と親しい間柄だったことを認めたことなどから、“山根派”と目された理事たちからも辞意を求める声があがり、7日に開催された緊急理事会で会長に進退を一任。8日に山根氏が一方的に声明を読み上げる形で会長を辞任した。

 声明の中では辞任の理由については「現在再婚している嫁に“私はどうなっても会長を死ぬまで面倒みるから。今は楽になってください”と言われた」と述べ、告発された問題についてはなにひとつ触れなかった。

 そして「選手の皆さん、将来、東京五輪に参加できなくても、その次の五輪もあります。頑張ってください」という謎の言葉を残し会見場を去っていった。

 今回の騒動は山根氏に権力が一極集中した結果起こったもの。山根氏は日本代表監督を長く務め、平成23年に連盟トップに就任。選手強化費を増やすなどし、2012年ロンドン五輪での複数メダル獲得につなげた。その功績をバックに発言権を強めたとされる。定款にない「終身会長」を創設。連盟から都道府県連への要求は加速し、宿泊部屋に用意する酒やつまみの細部にわたるリストもあったという。

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