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時代をとらえた写真家たち『日本の原影』

2019.11.16 Vol.724

「日本とはなにか」を問い続けた芸術家・岡本太郎。日本で闘うことを決意してパリから戻った太郎は、1951年11月、上野の東京国立博物館で偶然、縄文土器を目にし、大きな衝撃を受けた。獲物を追い、闘争する狩猟の民が持っていた原始のたくましさと豊かさ、ふつふつとたぎる生命力、見えない力と対話する呪術の精神…。わびさび型の日本の伝統美とは真逆の美意識を見出した太郎は、これこそが“ほんとうの日本”なのだと直観した太郎は、それから5年あまり、日本文化の本質を探す旅に出た。最初に訪れた東北で“呪術の心”が息づく「原始日本」と遭遇。

 2年後の1959年には返還前の沖縄を訪問。東北や沖縄をめぐり、高度経済成長の陰で現代人が失っていたオリジナルの日本、忘れられた日本、すなわち「ほんとうの日本」を見出しながら、太郎はその片影を写真に収めていった。

 本展では、岡本太郎が1950年代から60年代にかけて撮影した縄文、東北、沖縄の写真を一堂に展示。やがてその成果を太陽の塔をはじめ自らの芸術創作に結実させていくことになる、日本再発見の旅を太郎のまなざしとともに追体験してみては。

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