SearchSearch

2019年、オススメの旅行先・中国「成都」 Vol.2「悪魔的に美味しい四川料理&散策・お土産スポット」

2019.03.10 Vol.Web Original

 4月27日から5月6日までの10連休を含め、2019年の“訪れてみてほしい旅行先”として中国四川省・成都をオススメするTOKYO HEADLINE編集部。前回、Vol.1「効率よく四川省に行くには?」では、効率的かつ低価格でアクセスする方法をお伝えした。いやはや、ホント、成都まで行くのって簡単なんですよ。Vol.2の今回は、成都中心地の観光スポットをいくつか紹介していこうと思う。

そもそも成都市は、11区4市4県から構成される広大な市。政治や文化、商業の中心的役割を担う金牛区、青羊区、成華区、錦江区、武侯区の5つの区(五城区)を周れば、大方、成都らしさは堪能できると言えるだろう。五城区は、山手線を一回り小さくした程度の規模感なので、地下鉄とバスで楽々と移動できることも◎。

ちなみに、地下鉄の初乗りは、2元(約34円)。1時間ほどかかる駅まで移動しても8元(約140円)程度なので乗りまくっていただきたい。市内バスも基本一律2元。ただし、お釣りを持ち合わせていないこともあるので、こまめに1元単位で所有しておくことが望ましい。中国と聞くと、「QRコード決済しか使えないんじゃないの?」と思われがちだが、現金も普通に使えます。地下鉄の切符を、現金で購入している人も意外と多い。というか、「全然、現金使えんじゃん」とビックリするくらい。

お金の事情に加え、もう一点だけ付言を。中国では、政府のネット検閲システム「金盾(グレートファイアウォール)」により、Google、Facebook、Twitterなどの欧米系サービスがことごとく使用できない環境下に置かれてしまう。これを回避するために「VPNサービス」「シャドーソックス」といった接続方式を渡航前に契約しておくこと。接続サービスは期間によって料金(安い!)も変わるため、自分にあったものを。昨今は、「シャドーソックス」が登場したことで接続方法や設定も簡単&便利に。ここで詳しく説明することは割愛したい。Google先生に聞いてちょうだい。

■成都の街並みや雰囲気から伝わるダイバーシティ

前置きが長くて、正直、すまんかった。

まずはベタなところから。成都には、東京でいうところの「浅草」や、京都でいうところの「先斗町」のような古都を感じることができるスポットがいくつかある。

 

その最たる例が、武侯区にある成都屈指の繁華街、「錦里(ジンリ)」。2004年にオープンした錦里は、明清代の中国の建物を再現させた計画的繁華街で、毎夜多くの現地人と観光客で賑わっている。飲食店をはじめ、お土産店、劇場、屋台で食べる中華の一品料理が揃う小吃(シャオチー)が数多く集まった“食と文化の(プチ)テーマパーク”といったところ。

「浅草の浅草寺&仲見世通り界隈」、「鎌倉の鶴岡八幡宮&小町通り界隈」を、より洗練したような雰囲気と解釈していただければ分かりやすいかもしれない。「錦里」の隣には、諸葛亮孔明の祠堂「武侯祠博物館」がある歴史的スポットでもあるため、単なる繁華街的テーマパークとは、趣を異にするとだけは補足しておきたい。

2008年に完成した青羊区に位置する「寛窄巷子(カンサクコウシ)」も、成都を代表する観光スポット。約300年前の清代に築かれた古い街並みをリノベーションし、若者が集うモダンなエリアへと変身させ、土日ともなると多くの観光客が押し寄せる。「錦里」と比べると、「寛窄巷子」の方がシックかつ落ち着いた雰囲気が漂うため、昼の散策にこそ最適と言える。一方、「錦里」の妖しい世界観は、夜にこそ訪れてほしい。お酒を飲めるラウンジや流しが演奏するステージと、夜市的な雰囲気が重なり、とかく心地よい。

EDMのようなノリ重視の音楽が流れるのではなく、CHAGE and ASKAの「ひとり咲き」「万里の河」系のフォークソングが、どこからともなく聞こえてくる。生演奏の郷愁漂うフォークソングが耳に響く繁華街というのは、東洋の片隅に暮らす我々日本人の胸にも刺さる。家族連れやカップルが、家に帰って眠るまでの時間を、全身で楽しんでいる姿は、何か大切なものを思い出させてくれるほどだ。

何気ないオモチャや他愛もないものに対しても、過剰なほどリアクションを取り、写真に自らが収まるときは体全身でポーズをとる。なんでこんな変哲もない場所で? そういう場所でも楽しそうに全身でポーズをとる。結果、そこには家族や恋人たちが、純粋に生活を楽しんでいる姿があると気が付かされる。日本人もかつて、全身でポーズを取っていた時代があったはずなんだけどな。

なお、「錦里」の向かいには、「チベット人街」がある。チベットの仏教装具や衣服、日用雑貨、食料品などが揃うため、歩いて良し、見て良し、お土産に良し、と何かと面白いので是非とも行ってみてほしい。四川省の南は、多くの少数民族で形成される雲南省があり、西にはチベットが位置する。四川省の西方は、“東チベット”と呼ばれている独自の文化圏が形成され、圧倒的な大自然の中で、人々が暮らしている。「チベット人街」に足を運ぶと、成都は極めてダイバーな街並みや生活が混在していることを教えてくれる。

■市場にほど近い、素朴な中華料理店こそ名店

ここ成都にも、市場(農貿市場)はたくさんあり、お土産としてスパイスなどを購入するなら安価で上質なものをゲットできるのでオススメしたい。特に、四川産の山椒と花椒は極上。日本で買おうものなら100グラム数千円するが、本場で買うと、100グラム300円ほどで購入できる。帰国時、税関職員による手荷物検査で、「この(怪しい)粉は?」といぶかしげに尋問されることを除けば、最高の二文字以外に見当たらない。間違いなく言えるのは、本場四川の花椒は、「悪魔的に美味しい」ということ。豊かな香りに加え、ほのかな塩味、そして数秒後に襲ってくるびりびりと舌をしびれさせる感覚は、天使のような悪魔の笑顔。「まるで味のミッドナイトシャッフルやで~」である。

個人的にオススメしたいのは、四川大学華西校の北にある「大学路総合市場」だ。山のように多種多様なスパイスが売っているだけではなく、周辺の食堂が、ことごとく美味しい。「天府飯店」(天府が四川を意味する)や「川菜」と看板に掲げられてれば四川料理を扱っているお店なので、賑わっているお店にアタックしてみてほしい。皆さんの、「今までで美味しかった中華料理ランキング」を100%刷新するはずだ。しかも、一品の平均価格は150~300円前後。大瓶のビールが150円ほどなので、500円もあれば“一人饗宴”ができる。

もちろん、高級感の漂う四川料理店に入るのも四川旅の醍醐味。ただ、少々、味が辛すぎるきらいがあったのでご注意を。一方、「川菜」と掲げている庶民的なお店は、“辛すぎない”お店が多かったように思う。「辛くて食べられない!」と感じた人は、市場に根差しているような「川菜」と掲げるお店で食べてみてほしい。炒める際の、ジェット機の轟音のような火力の音。あの音を聴きながら、絶品を待つ瞬間がたまらない。あんな火力で炒めたら、美味いに決まってるじゃないですか。

最後に、2014年にオープンした“成都のミッドタウン”と形容したくなる「太古里」を紹介しようと思う。「GUCCI」「Apple Store」など外資系の企業も数多く出店し、成都で最も洗練されているエリアと言っても過言ではない。

外資系のレストランやバーもあるため、「大学路総合市場」などを訪れた後にアクセスすると、そのギャップに戸惑うほどだ。なにせ前回訪問した際は、ハロウィン当日ということもあり、ゾンビナースがサーブをしていたほど。中国にもハロウィン文化はあったんだ。なお、地下一階には成城石井チックなオシャレなスーパーが広がっているので、雑貨や食料品を含め、ワンランク上のお土産を買う場所としても重宝すると思う。

次回は、「パンダに会いに行く!」と題して、アクセス方法や施設の魅力をお届けしようと思う。

(写真・文 我妻弘崇)

Copyrighted Image