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1137日間にわたる国立競技場建設ドキュメント『国立競技場 Construction』

2021.07.19 Vol.743

 いよいよ始まる東京オリンピック・パラリンピック。その主会場となるのが、建築家の隈研吾氏が設計を手がけた「国立競技場」(=オリンピックスタジアム、新国立競技場)である。同所が誕生するまでの一部始終を、定点カメラにより撮影した写真集が『国立競技場 Construction(コンストラクション)』(一般社団法人共同通信社著、河出書房新社刊)だ。

 刊行する河出書房新社の所在地は、新しい国立競技場の目の前。同社の好立地を生かし、共同通信社が建設に向けた準備工事の始まった2016年10月から完成した2019年11月まで24時間、1137日間にわたって屋上にて定点撮影した。トータルで約16万枚にも及ぶ膨大な写真の中から厳選し、日本を代表するスタジアムが完成するまでのドラマを克明に描き出す。

酷暑の国立競技場でみんなが 携帯扇風機を使ったらどうなるのか? 気になるか気にならないかはあなた次第!?

2021.07.08 Vol.743

 東京都議会議員選挙で「東京オリンピックの中止」を掲げた共産党が議席を増やし、「無観客開催」を訴えた都民ファーストの会が戦前の予想を大きく上回る議席を獲得し、都議会第2党に踏みとどまった。よもやこの期に至って中止ということはないだろうが、五輪開催までは山あり谷あり…と思った矢先、7月7日に東京の新型コロナウイルスの新規感染者数が一気に920人に跳ね上がり、8日には政府が分科会を開き、東京都に4回目となる緊急事態宣言を12日から発令する方針を専門家に示し、了承された。

競泳の池江璃花子が世界にメッセージ「1年後の今日、この場所で希望の炎が輝いてほしい」

2020.07.23 Vol.Web Original

「東京2020」1年前イベント開催

 東京2020組織委員会が7月23日、ちょうど1年後に行われる東京オリンピック2020の開会式の開始時刻の20時に合わせ、世界に向けてのメッセージを発信した。

「一年後へ。一歩進む。〜+1(プラスワン)メッセージ〜TOKYO2020」と名付けられたこの日のイベントでは競泳の2016年リオ五輪代表の池江璃花子(ルネサンス/日本大学)が新国立競技場のピッチからメッセージを届けた。

 池江がピッチにあるランタンを拾い上げ掲げるとそれを合図に会場の照明が点灯。その中で池江は約4分にも及ぶメッセージを朗読した。

 そのメッセージの中で池江は「オリンピックやパラリンピックはアスリートにとって特別なもの」として、オリンピック・パラリンピックが延期になったことでのアスリートたちの喪失感について語り、また自らの白血病との闘病とそれを支え、今は新型コロナウイルスの感染症とも闘う医療従事者への感謝の気持ちを伝えた。

「屋根なし」新国立競技場に見る日本の病【鈴木寛の「2020年への篤行録」第76回】

2020.01.13 Vol.726

 あけましておめでとうございます。いよいよ東京オリンピック・パラリンピックイヤーです。メイン競技場である新国立競技場も完成し、12月15日の竣工式に出席しました。隈研吾先生の見事な設計と、のべ150万人の方々の昼夜徹しての作業のたまもので、世界に誇れる競技場になりました。

 私が文科副大臣時代に建て替えを決断し、明治神宮をはじめ近隣の組織団体にご協力をお願いに回りました。財政難を理由に建設に反対した財務省を納得させるため、toto.法を改正してサッカーくじの収益の一部を財源に充てるように調整したことなど、思い出が尽きません。完成した競技場をみて感無量です。

 ただ1点だけ残念な思いもあります。竣工式の天気は幸いにも目の覚めるような青天でしたが、もし強い雨に見舞われていれば、せっかくの門出に水を差すところでした。新しい競技場には当初の構想にあった可動式の屋根がありません。皆様ご記憶の通り、建設費の高騰を巡る騒動でデザインを変更した際に屋根の設置は見送られました。

 屋根の問題は散々批判されましたが、東日本大震災当時、都内の帰宅難民を対策に携わった経験から、帰宅難民の収容に極めて有効な屋根をつける案を強く主張し、当初は30万人の帰宅難民を収容できるよう計画しました。屋根があれば、大規模なコンサートも天候に左右されずに開催可能で、収益改善にも大きな効果があり、オリンピック後の維持費の問題をクリアできるはずでした。

 竣工式後の懇親会で建設を進めてきた皆さんと屋根の追加工事について議論し、引き続き実現の道を探っていく思いで一致しました。ただし、今度は税金を投入しない形で進めます。税金が絡むと、この国は、マスコミが異様に問題を炎上させ、世論が怪物化して物事が何も解決しない宿痾を抱えています。

 あらためて言いますが、帰宅難民対策としても収益改善にも屋根は本当に重要です。複雑な問題を解決するには知恵の出し合いしかありません。

 私の教え子や友人もメディアに大勢おりますし、一人一人はいい人も多いのですが、組織となると、ひたすら炎上させて、対案は出さず、視聴率稼ぎに執心しがちです。心あるメディアの方だけでも、改心していただき、視聴率の前に、地味で落ち着いた大事な議論の積み重ねを見守ってください。皆でワンチームとなれば、よい社会はなんとか作れます。

(東大・慶応大教授)

6万人の国立競技場、東北の熱気がスタジアムに集結

2019.12.21 Vol.Web original

新しい国立競技場の一般向けお披露目イベント「国立競技場オープニングイベント 〜HELLO, OUR STADIUM〜」が21日、東京・国立競技場で行われ、東北を代表する6つの祭り「東北絆まつり」が集結。新スタジアムの幕開けを祝った。

東北絆まつりは、東日本大震災の鎮魂と復興を目的に2011年に始まった「東北六魂祭」の後継となるイベントで、毎年8月に青森ねぶた祭、秋田竿燈まつり、盛岡さんさ踊り、山形花笠まつり、仙台七夕まつり、福島わらじまつりが行われている。今回は、国立競技場の完成を祝い、総勢約460名が東京で特別演舞を披露した。

天皇杯サッカーの組み合わせ発表。5月25日から1回戦スタート

2019.05.13 Vol.Web Original

決勝は新国立競技場の杮落し
 日本サッカー協会が5月13日、都内で会見を開き12日に都道府県代表47チームすべてが決定した「第99回全日本サッカー選手権大会」(天皇杯サッカー)の開催概要を発表した。

 1回戦は5月25、26日にスタート。2回戦は7月3、10日、3回戦は8月14日、ラウンド16(4回戦)は9月18日、準々決勝は10月23日、準決勝は12月21日。そして決勝は来年1月1日に新国立競技場で開催される。

 2回戦からはJ1とJ2の40チームが出場。計88チームのノックアウト方式で行われ、優勝チームには「AFCチャンピオンズリーグ2020」の出場権が与えられる。

 現在3回戦までの組み合わせが発表され、ラウンド16以降については8月中旬に組み合わせ抽選会が行われる予定。

 例年、大学チームやJFLのチームがJリーグのチームを破るといった番狂わせが起きるのが天皇杯のひとつの見どころとなっている。昨年大会では関西学院大学が2回戦でガンバ大阪を破り、一昨年は筑波大学がJのクラブから2勝を挙げラウンド16に駒を進めた。

 今年は高原直泰が監督兼選手としてチームを引っ張る沖縄SVが初出場。1回戦を勝てば1回戦でサンフレッチェ広島と対戦することになる。

 また新国立競技場でスポーツの大会が開催されるのはこの決勝が初めてとなる。日本サッカー協会の田嶋幸三会長は「名誉なことだと思っている。天皇杯の決勝はどのチームが来ても常に満員になるということを新国立競技場でも実現し、伝説にしていきたい。そして五輪の決勝までにこういった(大人数での運営を試せる)機会はない。そういう意味では天皇杯の決勝は大きな意味を持つ」などと話した。

新国立競技場建築案は隈研吾氏の案に決定 決め手は「工期短縮」

2015.12.25 Vol.657

 2020年東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアムとなる新国立競技場の新たな建設計画で、設計・施工業者を決める日本スポーツ振興センター(JSC)が14日、2つの「技術提案書」を業者選定前に公表した。A案、B案とされた2案は「選定の公正さを保つため」という理由で名前などは非公表となった。

 JSC は19日には技術提案等審査委員会を開き、2陣営に対するヒアリングを実施。その後、審査委で独自の評価基準にのっとって採点を行った。審査は委員長の村上周三・東大名誉教授はじめ建築や景観を専門とする7人の委員がそれぞれ140点満点で採点。審査委としての結論をまとめた。

 22日には政府が、関係閣僚会議を開き、2案のうち建築家の隈研吾氏(61)が手掛けたA案の採用を決めた。B案は建築家の伊東豊雄氏(74)だった。

 菅義偉官房長官は記者会見で「A案のほうが今後の業務の実施方式、工期短縮の実現性、環境計画などが高く評価されたと聞いている」と発言。安倍晋三首相は「工期やコストなどの要求を満たす素晴らしい案だと考えている」と述べた。

 A案は総工費は約1490億円、完成時期は国際オリンピック委員会(IOC)が求める平成32年1月より早い31年11月。日本の伝統建築に用いられる「垂木」を想起させるひさしが特徴。隈氏は22日の会見で、自己主張を抑え周囲の木々と一体化した今回の設計を「日本らしさ」と表現。「建物の形ではなく森と融合した建築。それがレガシー(遺産)になり、日本らしさではないかと思う」と語った。

 JSCの7人の審査委員が19日に実施した採点で、隈氏のA案は980点満点で610点、伊東氏のB案は602点と8点差の小差だった。項目ごとの採点では、逆に伊東氏が5項目で勝り、建築計画では70点満点中60点となるなど高い評価を受けた。

 B案優勢の流れをひっくり返したのは「工期短縮」の評価。採点の結果、A案は177点でB案に27点の大差をつけ、“一発逆転”する形となった。

 伊東氏は22日、報道陣の取材に応じ、多くの審査項目の点数でA案を上回りながら、「工期短縮」の項目だけで大きく差がつき、逆転されたことについて「この大差は解せない」と割り切れない表情を浮かべた。

 この問題では東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が15日に「B案がスマートに見える」などと発言。馳浩文科相が同日の会見で、「そんなこと言ってもいいのかな」と疑問を呈していた。

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