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東京グランプリは3冠の傑作『ザ・ビースト』第35回東京国際映画祭閉幕

2022.11.02 Vol.web original

 

 第35回東京国際映画祭クロージングセレモニーが2日、都内にて行われ、スペイン/フランス合作の『ザ・ビースト』(ロドリゴ・ソロゴイェン監督)が東京グランプリ/東京都知事賞はじめ3冠に輝いた。

『ザ・ビースト』はスペイン・ガリシア地方の村を舞台に、移住してきたフランス人夫婦と、村の有力者である兄弟との緊迫していく関係を描く作品。

 東京グランプリ/東京都知事賞、最優秀監督賞(ロドリゴ・ソロゴイェン監督)、最優秀男優賞(ドゥニ・メノーシェ)の3冠に輝いた『ザ・ビースト』ソロゴイェン監督もメッセージビデオで「複数も賞を頂けるなんてとてもうれしいです」と感激のコメントを寄せた。

 小池百合子東京都知事も「毎年新しい才能がここ東京から羽ばたいていること大変うれしく思います」と笑顔で東京都知事賞を授与した。

 コンペティション部門では審査委員特別賞に『第三次世界大戦』(ホウマン・セイエディ監督)、最優秀女優賞にアリン・クーペンヘイム(『1976』)、最優秀芸術貢献賞に『孔雀の嘆き』(サンジーワ・プシュパクマーラ監督)が輝いた。

 一般の観客からの投票で決まる観客賞は今泉力哉監督の『窓辺にて』が受賞。今泉監督は「私の作品は個人的な、とるに足らない問題を恋愛を通して描いてきました」と受賞を喜びつつ、主演・稲垣吾郎がコロナに罹患中であることを明かし、セレモニー後の会見では「たぶんスタッフから(受賞を)聞いて力になっているのではないかと思います」と稲垣を思いやった。

 Amazon Prime Video テイクワン賞は該当者なし。2年連続で審査委員長を務めた行定勲監督は、応募規定の変更が影響したことも考慮しつつ「次に長編映画を撮るべき才能を見いだせなかった。でも希望を見出せる作品もありました。Amazonスタジオは強じんな長編を作る才能を求めていますのでぜひ来年応募してほしい」とさらなる奮起に期待した。

 セレモニー後の記者会見で、コンペティション部門審査委員長を務めたジュリー・テイモアは「ハリウッドのような商業性の高い映画だけでなく多様な作品を集めてくれたこの映画祭に感謝したい。映画祭という場だからこその素晴らしい物語を紹介してくれた。多様な物語と出会える場は決してなくしてはならないと思っています」と、芸術性の高い作品からエンターテインメント大作までを紹介する東京国際映画祭の姿勢をたたえた。

TIFFグランプリはコソボの女性監督作!ユペール審査委員長も映画祭の多様性を評価

2021.11.08 Vol.Web original

 第34回東京国際映画祭クロージングセレモニーが8日、TOHO シネマズ日比谷にて行われ、コソボの女性監督カルトリナ・クラスニチによる『ヴェラは海の夢を見る』が東京グランプリ/東京都知事賞を受賞した。

  コンペティション部門では、多様な国々の作品が受賞。観客賞を受賞した『ちょっと思い出しただけ』の松居大悟監督は「東京国際映画祭に参加して4年。この重みを感じるのは初めてです」とトロフィーを握りしめ、ときおり声をつまらせながら感激のスピーチ。また、イザベル・ユペール審査委員長は、受賞には至らなかったが優れた評価を得たスペシャルメンションとして、松居監督やキャストの伊藤沙莉らをたたえた。

 また、受賞後会見に登壇した松居監督は、急きょ表彰されたスペシャルメンションの受賞に「作られた賞とは別に、ユペールさん始め審査員の方々の思いによって作られた賞なのかなと、ジーンと来てます」と感激。

 メキシコのカルテルが人々の生活に影響を及ぼしていく様子を描き、審査委員特別賞を受賞した『市民』のテオドラ・アナ・ミハイ監督は「本作は7年かけて作った作品。非常にデリケートなテーマですがメキシコではタイムリーなものです。この作品を通して海外の方にメキシコの現状を知ってもらえれば」とビデオでコメントを寄せた。

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