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「今のままで可能」の声もある中なぜ特措法改正なのか…

2020.03.05 Vol.728

 一向に収束する気配が見られない新型コロナウイルス問題で政府の専門家会議(座長・脇田隆字国立感染症研究所長)は2月24日、「これから1~2週間が急速な拡大に進むか、収束できるかの瀬戸際だ」との見解をまとめた。これを受け、安倍晋三首相は26日、「多数の方が集まる全国的なスポーツ、文化イベントに関し、大規模な感染リスクがあることを勘案し、今後2週間は中止、延期、規模縮小の対応を要請する」と表明。27日には全国すべての小中高校や特別支援学校を週明け月曜日の3月2日から休校とするよう要請すると表明した。

 29日には会見を開いたのだが、自らの見解を示した後、「あらかじめいただいていた」(3月2日に開かれた参議院予算委員会での答弁)質問に答えるのみで、フリージャーナリストの江川紹子氏の「まだ質問があります」という声がありながらも会見を打ち切り、官邸に戻るなどしたことから波紋を広げた。

 そんな中、2日には「緊急事態宣言」を実施する可能性に言及し、新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正を検討すると明言。4日には主要5野党の党首と国会内でそれぞれ会談。緊急事態を宣言できる「新型インフルエンザ等対策特別措置法」の対象に新型コロナウイルス感染症を追加する改正案に野党の協力を求めたのだが、野党側からは「協力できることは最大限協力する。特措法を現行法のまま新型コロナウイルスに適用すべきだと強く申し入れた。法案審議を急ぐことは協力する」(立憲民主党・枝野幸男代表)、「特措法は今のままで適用可能だ。景気が相当悪くなっており、10兆円の家計減税が必要。消費税の減税を検討すべきだ。終息に向け協力したい」(国民民主党・玉木雄一郎代表)、「政府は特措法に基づく措置を新型コロナウイルス対策に適用したことが国会審議で明らかになった。政府の立法事由がなくなった。法改正は断念すべきだ」(共産党・志位和夫委員長)といった意見が出た。

 安倍首相がイベント等の自粛を求めた「2週間」について、多くの企業やイベント主催者は3月15日までと解釈。法改正に果たしてどれだけの効果があるのかは疑問視されている。

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