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【インタビュー】伝説のバレエ舞台に挑戦。総勢350人の“第九”

2017.12.22 Vol.701

 一年の終わりを迎えるこの時期に欠かせないクラシックといえばベートーヴェンの『第九交響曲』。その“第九”を、80人以上のダンサーにオーケストラとソロ歌手、合唱団を加え、総勢350人に及ぶアーティストによってバレエ化したモーリス・ベジャールの舞台は、その壮大なスケールゆえにベジャール亡きあと公演が行われることなく伝説と化していた。ところが2014年、東京バレエ団とモーリス・ベジャール・バレエ団の共同制作によりこの伝説の舞台が復活。その空前絶後の一大プロジェクトの舞台裏を追ったドキュメンタリー『ダンシング・ベートーヴェン』が12月23日より公開となる。

 メガホンを取ったのは『ベジャール、そしてバレエはつづく』のアランチャ・アギーレ監督。

「このプロジェクトは、日本のバレエ団との共同制作ということもあり、舞台には出身や境遇の異なるさまざまな人々が参加していました。映画では、参加したアーティストたちのドラマや彼らの思いにも迫りますが、あえて深く追うことはしませんでした。本作が描くのはあくまで、まれにみる壮大な舞台を世界各国から集まった人々が一つになって作り上げていく姿なのです。合唱部分のシラーの詩は全人類へ向けた博愛を歌ったもの。この舞台は“第九”のテーマそのものを表現しているんです。私が思うにベートーヴェンは苦しみを美に転じることができるアーティストだった。ご存知のように彼はさまざまな苦しみを抱えていたけれど、それを美に転じこのような作品を生み出すことができた。私にとっては彼はまさにアーティストを体現する存在です。今回は稽古場に“密着”し、ダンサーたちがそれぞれに葛藤を抱えながら作品と向き合っていく姿をとらえています」

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