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日常に“自然”をもたらすデザイン&アート『深堀隆介展「金魚鉢、地球鉢。」』

2021.12.23 Vol.748

 透明樹脂にアクリル絵具で金魚を描き、今にも動き出しそうな立体感で見る者を圧倒する、唯一無二の作品で知られる深堀隆介の展覧会。

 アーティストとしての活動を悩んでいた時期、放置していた水槽で生き続ける金魚の存在に気づき、その美しさに心打たれた彼は、金魚をモチーフとした作品を手がけるように。2002年、器の中に樹脂を流し込み、絵具で金魚を描く技法“2.5D Painting”を編み出し、大きな注目を集めた。その独自の手法で生み出される圧倒的な世界観は、国内はもとより今や世界的にも高く評価されており、近年ではライブペインティングやインスタレーションにも力を入れ、表現と活動の幅を広げている。

 本展は、約300点もの深堀作品を展示する、東京の美術館では初めてとなる本格的な展覧会。升の中を金魚が泳ぐ〈金魚酒〉シリーズをはじめ、番傘の内側にたまった水に小さな金魚たちが息づく〈雫〉、木桶の中で、紅葉と黒い金魚が日本の秋を表現する〈秋敷〉など、歴代の代表的作品から新作までが一堂に会する。

 現実では目の当たりにできないような光景を、圧倒的なリアルさと臨場感で具現化する、深掘り作品の数々。絵画でありながら立体的な躍動感にあふれ、不思議な美しさを湛えた“深堀金魚”を楽しもう。

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