SearchSearch

「プロ麻雀Mリーグ芸人」で再確認した、チームプレーの尊さ〈徳井健太の菩薩目線 第158回〉

2023.01.20 Vol.Web Original

“サイコ”の異名を持つ平成ノブシコブシ・徳井健太が、世の中のあらゆる事象を生温かい目で見通す連載企画「徳井健太の菩薩目線」。第158回目は、「プロ麻雀Mリーグ芸人」について、独自の梵鐘を鳴らす――。

 1月12日に放送された『アメトーーク!』の「プロ麻雀Mリーグ芸人」、ご覧になっていただけましたでしょうか。

「見逃した」という方は、もしかしたらTVerでご覧になっちゃったかもしれませんよね。そうです。今年から『アメトーーク!』は、TVerでも見逃し配信をスタート。その一発目が、「プロ麻雀Mリーグ芸人」だなんて、こんなに縁起がいいことってありますか?

 参加したのは、私徳井健太に加え、『アメトーーク!』初登場となる田中裕二さん(爆笑問題)、じゃいさん(インスタントジョンソン)、 山本博さん(ロバート)、じろう(シソンヌ) ともしげ(モグライダー)、前田裕太(ティモンディ)といった麻雀を愛する、「Mリーグ」に魅せられた面々。田中さんのひな壇姿なんてめったにお目にかかれるものじゃない。

 精一杯、「Mリーグ」の魅力を語らせていただきました。『アメトーーク!』の収録は、いつだって緊張する。自分が好きなジャンルや得意なくくりをプレゼンするからこそ緊張するし、頭を悩ませる。

 今回は麻雀を知らない人でも楽しんでいただけるように、たとえをいくつも考えて臨んだ。番組の中でも、「四暗刻がどれぐらいすごいのか?」ということを説明するために、「M-1グランプリとキングオブコント、どちらも王者になった上で、双方のオチの一言を同じにするくらいすごいこと」と説明してみた――ものの、あんまり伝わっていなくて、「申し訳ない」と収録中に反省したほどだった。

 もう一つ、たとえさせていただいたシーンがあった。博さんが振り返った丸山奏子さんのデビュー戦。そこで戦った相手が、多井隆晴さん、滝沢和典さん、佐々木寿人さんという超猛者揃いだったため、いかに丸山さんの置かれた状況がすさまじかったかを説明するため、俺は「松本(人志)さん、内村(光良)さん、(ビート)たけしさんと戦うようなもの」と話した。

 そして、となりのじろうが「(丸山さんは)ぱーてぃーちゃん」とアタックを決めてくれたことで笑いが生まれたわけだけど、実のところは最適なたとえが浮かばずに、俺は死にそうになっていた。

「ぱーてぃーちゃん」の前には、じゃいさんが「宮下草薙じゃない?」なんて絶妙なトスを上げてくれていたんだけど、このときの丸山さんは宮下草薙ほどの実績もないから、「いや、違うかな」と生意気にも否定してしまった。何も浮かんでいないのに。じゃいさん、ごめんなさい。

 そして、じろうの「ぱーてぃーちゃん」と起死回生の小声が発せられ、スタジオは笑いに包まれた! ……この一連の流れに、やっぱりバラエティの収録はチームプレーが欠かせないのだと痛感した。『アメトーーク!』は、そんなことを心臓にまで届かせてくれる番組なんだよね。

 実は、じろうの小声のすぐ後に、俺は「ぱーてぃーちゃん」の中で、すがちゃん最高No.1こそが丸山さんの立ち位置だと説明したかった。ところが、その名前が出てこない。すると、ティモンディの前田が「すがちゃん最高No.1」とアシストしてくれ、「そう! 丸山さんはすがちゃん最高No.1なんです!」と蛍原さんに伝えることができた。

 放送では、その部分はばっさりカットされていたけど、「それでいいのだ」。じゃいさんがヒントをくれ、じろうが小声で起死回生のシュートを決め、前田がアシストする。全員で一つの笑いを生み出すために、必死にボールに食らいつき、あるのかわからないゴールを目指して、前に進む。日韓ワールドカップのときの対ベルギー戦でゴールを上げた鈴木隆行さんのように、精一杯、足を伸ばさなきゃいけない。

 つなぐからゴールが生まれるわけであって、その大切さを、あらためて今回の『アメトーーク!』の収録で学ばせていただいた。Mリーグに魅せられるのも、チームプレーの尊さがあるからなんだ。

『アメトーーク!』には、鬼の編集力を兼ね備えるスーパースタッフ軍団がいる。ゴールを目指すために力の限り走っていたら、必ず面白いポイントを編集力によって作ってくれる。

 放送を見ると、あたかも俺が思いついたように発言している一言も、ふたを開けると、ともにひな壇に座るチームのサポートがあって、その発言に行きついている。編集力によって、ズバッと俺が笑いを取っているように見えるだけ。その後ろには、たくさんの犠牲になったしかばねともサポートとも見分けがつかないコメントが転がっている。俺の一言ではなくて、それはチームの汗の結晶だ。そういうプレーがたくさん生まれた収録の後に飲む酒の――なんて美味しいことか。

 芸歴23年目。若い頃は、ひな壇に座った芸人とつばぜり合いをして、斬り合いをして、その先に笑いが生まれると思っていた。でも、刀は人を斬るためだけのものじゃない。守ることだってできるもの。お笑いは助け合いだ。

【徳井健太の菩薩目線】第53回 セオリーや理論って、ときに説教じみている。夢中になるからゾーンに入る

2020.02.20 Vol.Web Original

“サイコ”の異名を持つ平成ノブシコブシ・徳井健太が、世の中のあらゆる事象を生温かい目で見通す連載企画「徳井健太の菩薩目線」。第53回目は、麻雀から得たチャクラ開眼のヒントについて、独自の梵鐘を鳴らす――。

【徳井健太の菩薩目線】第44回 40歳になったら年上の言うことよりも、年下の言うことを聞いたほうがいい

2019.11.20 Vol.Web Original

“サイコ”の異名を持つ平成ノブシコブシ・徳井健太が、世の中のあらゆる事象を生温かい目で見通す連載企画「徳井健太の菩薩目線」。第44回目は、年下から言われたある指摘について独自の梵鐘を鳴らす――。

Copyrighted Image