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「のれんの向こう側」【36歳のLOVE&SEX】#17

2021.09.10 Vol.web Original

 今の事業に関わってから長いので、なんとなく私には「女性向けのひと」というイメージがあるかもしれないが、入社当時は男性向けAVを扱っていた。

 大学を卒業してそのままソフト・オン・デマンドに入社したが、最初に配属されたのは営業部だった。といっても、実際に販売店に出向いて営業をするというようなことは最初の4ヶ月くらいしかやっておらず、その後は電話営業や営業事務など社内でできる業務を担当していたのだが、それでも自分の足でお店に行った経験は印象深く残っている。

 ある時は先輩について日帰りで群馬県まで出向いて棚を作ったり、都内の人気店に行ったときは昼の時間にも関わらず「いまお客さんが多いから女性は入らないでくれ」と私だけ外で待っていたということもあった。ひたすら棚に並ぶAVの品番と数を数えては、会社に戻ってExcelに入力して在庫表を作りまくっていたのが、入社一年目の夏の思い出だ。

 

 アダルト商材を取り扱うお店には、独特の雰囲気がある。

 私が営業としてセル店(=DVD販売専門店)に行っていた時期は、女性向けのAVなどなかったし、AV女優さんがテレビに出たりすることもほとんどなかった。AV自体非常にアンダーグラウンドな世界だった。

 セル店もそんなアンダーグラウンドな空気をまとっていて、秘密めいた、それでいてその奥にはギラギラとした宝物が待っている感じがする、人を惹きつける存在だった。お店に入ると、女優さんたちの美しい裸体や恍惚とした表情にあふれかえっており、DVDも販促品も各メーカーの「うちが一番面白い」「うちが一番ヌケる」という熱がこもっていて、ビビッドな色使いや面白い惹き句に目を奪われる。

 そんな、妙な高揚感を感じる場所だった。

 

 ただ、すごく場違いなところに来ているという感じも否めなかった。

 まわりの男性からしたら、「なんで男だけの楽園に女が?」「買いにくいなぁ」と思っていたことだろう。目線からヒシヒシと伝わってくる。

 18禁のれんの向こう側は男性たちだけの世界で、私たち女性が入ることは許されないのだ。

 

 それから15年後、私は意外な場所で18禁ののれんを見ることになる。

 それは、ラフォーレ原宿だった。

 大学の頃友達が言っていた。「山手線の駅で2つだけ、ラブホテルが駅前にない駅がある。それが代々木と原宿だ」と。代々木は受験生の街、原宿はファッションの街、エロと結びつきが弱いはずのこの場所の、最先端の建物の中になぜか。

 その答えは、irohaのPOP UPストアだ。

 irohaはアダルトグッズからアパレルまで幅広く手掛けるTENGA社の、女性向けのプロダクトである。和菓子やメイク道具のような、一見してアダルトグッズだとわからないデザインで注目を浴び、今では女性向けアダルトグッズの定番商品のひとつとなっている。

 以前このコラムで、ラフォーレ原宿にラブピースクラブの常設店がオープンしたということを書いたが( https://www.tokyoheadline.com/546337/ )このPOP UPストアもそれと同じフロアで8/20~9/5まで開催されていた。

 

 ラブピースクラブのほうは普通の雑貨屋さんのような作りの、オープンな入りやすいお店だったので、irohaのPOP UPストアもそういうお店なのかと勝手にイメージしていたのだが、全く違った。

 店頭にはデリケートゾーン専用ソープなど、誰でも使えるものが並んでいたが、その奥に真っ白なのれんがあったのだ。

 irohaの商品はのれんの向こうだ…行きたい、けど、のれんの向こうに、入っていいのだろうか?

 セル店での記憶がよぎった。

 

 そんなときに、おしゃれな背の高い女性が、すっとのれんの向こうに入っていった。何の躊躇もなく。そうだ、ここはラフォーレ原宿なのだ。気を取り直して、私ものれんをくぐった。

 

 のれんの中の空間は思っていたよりも広く、白を基調とした壁には、女性たちの「あなたにとってのセルフプレジャーとは?」に対する答えが並び、irohaに興味があるのは自分一人だけじゃないんだと勇気づけてくれる。

 棚にはiroha全商品が並んでおり、手に取って触ることができる。irohaの商品は写真で見ただけでは使い方がわかりづらいものもあるので、操作方法や実際に使うイメージがわきやすかった。もちろん、独特のふわふわした触感を感じられることも店頭の醍醐味だ。

 GIRL’S CHを担当していた頃、サイトでもirohaの取り扱いがあったので商品について知ってはいるものの、こうしてお店で見て選ぶことで、自分のために使うにあたって性能や価格を比較するという貴重な経験をすることができた。

 もしかしたら1時間くらいその場にいたかもしれない。店員さんの意見も聞きつつ、実際に商品にも触れながら、今日は何を買って帰ろうかを楽しく真剣に選んだ。

「さらば青春の光」の森田哲矢が制作総指揮の『ペンション殺人事件』が完成。「エロと他の分野の融合はまだいける」と手応え

2021.09.04 Vol.Web Original

「自分のネタが自分の元から離れたな、とうとうエロ側にいったなという感じ」

 お笑いコンビ「さらば青春の光」の森田哲矢とSODのコラボによるプロジェクトで制作された『ペンション殺人事件』の完成披露試写会と舞台挨拶が9月3日、都内で開催された。

 このプロジェクトは森田が制作総指揮を務め「笑ってヌケる!」をコンセプトに自身のコントをセクシー動画化しようというもの。主演を務める新人女優オーディションの開催も話題となり、制作過程はU-NEXTで配信されている。

 この日の試写ではR18シーンを除く、物語の部分を上映。会場内は笑いに包まれた。試写会の後に舞台挨拶が行われ、森田、主演女優の川村ゆい、出演のしみけん、結城結弦、ひょうろくと監督を務めたイージー松本が登壇した。

 森田は今回の企画が実現した背景として「物語の部分を早送りしないような作品を作れないかなという話をSODの方としていまして、たまたま僕たちのネタで『ペンション殺人事件』というものがあったので“これをそのまま落とし込んだらどうでしょう”と相談したら、次の日に“企画書を通しました”という連絡が来まして“ではやりましょう”ということになりました」というやりとりがあったことを明かした。

 出来上がった作品を見て「自分のネタが自分の元から離れたな、とうとうエロ側にいったなという感じがしました(笑)。でも、監督がいい演出をしてくださって、満足のいく作品に仕上がったと思う」と満足げ。

「36歳、結婚相談所に行く」【36歳のLOVE&SEX】#16

2021.08.27 Vol.web Original

 もはや連休なんて何も嬉しくない。

 どこにも出かけられないし、誰とも会わないし、家から一歩も出ず一言も発しないまま、ただただ時間が経過する。

 暇だから仕事をする。

 結局寝るか仕事をするかで一日が終わる。

 

 地方に住む家族に今どうしても会いに行く用事はないし、友達もいないことはないが、もし私がコロナにかかっていたとして彼ら彼女らを濃厚接触者にするのは気がひける。どうせ一人の人生だから、なるべく他人に迷惑はかけたくない。

 オリンピックは面白かった。どの時間帯にテレビをつけても、最高峰のスポーツが観戦できるのはすごく楽しかった。でもその前の4連休と、終わってからの3連休、私はただ家で麺類をすすり、誰とも会話をせず、どこにも出かけなかった。

 SNSには家族や友達と楽しく過ごしている人々の写真があがっていて、なぜ自分はこんなに孤独なのだろうかと思った。

 遊んでいることが羨ましいのではなくて、このご時世だからこそ一緒にいたいと思える家族や仲間がいることが羨ましく、また、そう思える人がいない、そう思ってくれる人が身近にいない自分の人生が、空虚に思えた。

 

 そうだ、無理やりにでも家族を作れば、私の孤独はなくなるのではないか。

 そう思い、三連休の最終日、結婚相談所に行ったのだ!

 結婚がしたいわけではない、新しい恋がしたいわけでもない、ただ、人生を変えたい。

 本当に恋愛や結婚がしたい人には申し訳ないけれど、結婚したら人生が変わるかもしれないというわがままな動機で。

 

 通りに面した大きなビルの1フロアの一角、某結婚相談所は、コロナ禍の三連休最終日にも関わらず、活気づいていた。

 と言っても、一人一人ブースで区切られているので、視界には誰一人見えないのだが、何人もの人が同時に話している声だけは認識できた。

 ブースに案内されると、50代くらいの落ち着いた女性がやってきて挨拶をし、まっすぐに私の目を見つめながらこの相談所のことを丁寧に説明し、今日どんな思いがあってこの場に来たのか質問してきた。

 連休で誰とも話さず孤独感が募ったこと、孤独から自分の人生は本当にこれでいいのかを迷い、自分を変えたくて来たこと。

 そんなことを言われても困るであろう私の話を、担当の方は真剣に耳を傾けて、そして、私の身を案じてくれた。

 こんなに人に優しくされたのはいつぶりだろうと思い、涙がこぼれそうになったのを我慢した。

 

 ただ、私はどうしてもここで言っておかなければいけないことがあった。

 それは、私の仕事のことだ。

 ソフト・オン・デマンドは意外とちゃんとした会社だし、クレジットカードも作れるし、賃貸契約だって問題ない。

 ただ、結婚をするにあたって、アダルトビデオや風俗の仕事に関わっていて(関わるどころかどっぷり浸かっている)、ましてや本名も顔も出しているので、相手にも迷惑をかけることがあるかもしれないということを了承してもらう必要があると思った。

 さらに結婚相談所の信用にも関わることだし、大人として真正面から確認するべきだと思ったのだ。

 

「職業に貴賤はないと私は思うんだけど……」

 その相談所の案内動画を15分見たところで、担当の方が上司に確認を取ってきてくれて、私は正式に入会をお断りされた。

 転職する予定はないのか、転職したらもう一度検討してほしい、もうこれからどんどん成婚しにくくなるから一日でも早く始めたほうがいい、とのことだった。

 自分の職業が差別されたとか、ショックだとかは思わないが、自分のひとつひとつの選択の積み重ねがもう「結婚相談所に入会する」という選択肢を消してしまったんだなと思い、なんだか呆然として帰り道に泣いてしまった。

 

 自分の人生を変えるにはもう、仕事で成果を出すか、仕事を辞めるかしかないようだ。

 

 タイミングは重なるものだ。

 この結婚相談所に行ったエピソードをTwitterでつぶやいた矢先、「コラム読みました、エロいですね」というDMを頂いてしまった。

 今までのコラムを読んで、なぜそう思ったのか、なぜそう思わせてしまったのか、生理のこととか仕事のこととか、悩んで迷って考えたことを言葉にしていることが、なぜ「エロい」という表現につながるのか。

 アダルトの仕事をしていて、普段から下世話な話をしている一部分しか見られていないのではないか。

 そんな私が何を書いても無意味なのではないか、何を書いても伝わらないのではないか。

 もう何も書けなくなってしまうじゃないか。

 本当に、自分の人生を変えられるんだろうか?

 

 ……なんて、今の私はそんな絶望感も含めて、文章を書けるくらいには強くなったようだ。

 結婚相談所に再び顔を出すことは、もうないと思いたい。

異色プロレス団体「P.P.P.TOKYO」がプロレス界初のマジックミラー号内で記者会見

2021.08.24 Vol.Web Original

元WWEのMEN’Sテイオーと藤田峰雄が特殊ルールで対戦

 博報堂出身の異色プロレスラー・三富兜翔率いる新進気鋭のプロレス団体「P.P.P.TOKYO」とSODのコラボによるプロレス興行「SOD×P.P.P.TOKYO」(9月14日、東京・新宿FACE)の全対戦カードが8月24日、発表された。この日の会見は知る人ぞ知る、SODのマジックミラー号の車内で開催された。

 SODBASARApresentsとして行われる「エクストリームメンズエクスタシースペシャルシングルマッチ」で元WWEスーパースターのMEN’Sテイオーと藤田峰雄が対戦する。

 P.P.P.TOKYOは「“令和のバブル”を創り出す」をコンセプトに旗揚げされたのだが、今大会は「セクシー」というコンセプトをプラス。藤田はセクシーな試合運びで定評があり、P.P.P.TOKYOの旗揚げ戦ではしみけんをセコンドに就け、フェロモンむんむんの試合を見せたうえで、ゴージャス松野に勝利を収めている。P.P.P.TOKYOのセクシー担当ともいえる存在

 MEN’Sテイオーとはこのリングで「カミングアウトマッチ」という特殊ルールで一度対戦し敗れており、今回はリベンジマッチとなる。

 この試合には「SODBASARAを持ったゲストが来て、勝者はリング上で昇天させていただくというプレミアムなプレゼントがついている」と三富が説明。この日はそのゲストのうちの一人のイケマッチョがふんどし姿で登場し、大会をPRした。当日はイケマッチョが5人リングサイドに控えるという。

K-1ファイターの京太郎がプロレスデビューのちゃんよたに強烈な右フックを伝授

2021.08.17 Vol.Web Original

9・14「P.P.P.TOKYO」新宿FACE公演でデビュー

「P.P.P.TOKYO」の新宿FACE公演(9月14日)でプロレスデビューを果たす筋肉女子YouTuberのちゃんよたが8月17日、東京都内で公開特訓を行った。

 筋肉女子YouTuberとして活躍するちゃんよたは今年5月には東京都パワーリフティング協会の「新人限定TOKYOパワーリフティング選手権大会」の63kg級で優勝。その一方でセクシー女優としても活動。6月に「P.P.P.TOKYO」とSODがコラボして開催する大会の会見が行われ、そこでバンビと組んで松本都、真琴組を相手にプロレスデビューすることが発表されている。

 常日頃から「エロいとデカいは褒め言葉」を標榜するちゃんよたにこの日用意されたのはK-1のヘビー級ファイター京太郎。京太郎の持つミットにパンチ、ミドルキックを打ち込むと京太郎は「おお」「いいすね!」「蹴りは完璧」と感嘆の声。京太郎がプロレス技のラリアットの強化としてフックの打ち込みを提案すると、ちゃんよたはラリアット気味のフックもすぐに体得。京太郎の持つミットに威力抜群のフックを何発も打ち込んだ。そして京太郎は次戦で対戦するシナ・カリミアンの得意技であるバックブロー、そしてパンチからキックのコンビネーションも伝授した。

「30代の生理の悩み」【36歳のLOVE&SEX】#15

2021.08.13 Vol.web Original

 仲のいい友達に第二子が生まれた。

 第一子のときは自然分娩で、今回は無痛分娩を選択したそうだ。

 私の周りでは無痛分娩を選択した友人がこれで二人目である。

 無痛分娩について、聞きなれない人もいるかもしれない。

 私も友人から話を聞いただけで詳しくはないのだが、麻酔を使ってお産の痛みをやわらげるもので、全く痛みがなくなるわけではないらしい。

 友人曰く、無痛分娩でもまだ相当な痛さで、子宮口を広げるためにバルーンを挿入するのも違和感が強く、痛かったとのこと……経験のない私にとっては想像するのも怖い。

 出産経験のある女性たちの行動や覚悟を尊敬する。

 

 友達がそんな大偉業を成し遂げていた裏で、私は今月も生理に苦しんでいた。

 生理に影響されるなというのは、身長を10㎝伸ばせというくらい無理なもので、自分の体のことなのに、自分の意志ではコントロールできない。

 しかも30歳過ぎてから、生理痛や、生理の前の気分の落ち込みが特に激しくなった。

 最近30歳を過ぎた後輩も同じことを言っていたので、どうやら私だけがそう感じているわけではなさそうなのだが、年齢とともに体のあらゆるところに不調が出始め、それに伴うように生理に関する体調不良もつらいものになってきた。

 

 でも、今回の生理は、いつもと違う。

 私には新しいアイテム・ムーンパンツがあったからだ!

 

 ムーンパンツは、吸水ショーツのブランドのひとつ。以前こちらのコラム( https://www.tokyoheadline.com/546337/ )でも紹介したように、最近新しい生理用アイテムとして注目されている吸水ショーツは、ショーツそのものが経血を吸収するという製品だ。

 コラム内で取り上げているGUのトリプルガードショーツを使い始めて、ナプキンを持ち歩き取り替えたり、布ナプキンのように何枚も洗う必要がなくなって、あまりのラクチンさに驚いた一方、おむつを履いているようなもっさりした感じが気になった。

 日常生活ではそれほど問題はないが、ダンスのレッスンなどでピッタリしたボトムを履くと、他人から見ても「この人、生理だ」と思われそうなのが、個人的には嫌だった。

 まぁ仕方ない、1,490円ならこんなものか……では吸水ショーツを専門に作っているブランドならどうだろう?

 そう思って、以前の記事にも登場した駆け込み寺こと、ラブピースクラブラフォーレ原宿店へ。実際に商品を手に取ってみると、GUのそれとは比べものにならない薄さで、そしてデザインが可愛い。

 今回も店員の方が丁寧に、しかも実体験を交えて話してくださり、商品を選ぶことができた。楽しい……。

 そんなわけで、早くムーンパンツを使いたくて、人生で初めて「生理が来るのが楽しみ!」という気持ちになっていたのだ。

 

 値段はGUのものよりだいぶ高い5,290円だが、実際に使ってみたら、同じ吸水ショーツとは思えないほどの素晴らしい使い心地!

 肌触りも良いし、何より通気性がいい。

 普通のショーツとほとんど変わらないような薄さなのに、しっかり吸収してくれるし、すぐ乾く。

 使用後も、簡単に手洗いして洗濯機に放り込めばいいという簡単さ。

 これは買い足したい、同じ価格帯の他のブランドもぜひ試してみたい。

 あまりの快適さに、今までいかに生理に手こずらされていたのかを実感した。もちろん吸水ショーツで生理痛が緩和されるわけではないが、圧倒的にラク。使わないのは人生損しているとさえ言い切れる。

 

 友人の出産の裏で、私は、そんなことに興奮したり感動したりしていた。

 この気持ちを誰かに伝えたいと思ったのだが、そういえば私と同じくらいの年齢の女性は、妊娠や出産があったりして、妊娠中は当然生理が来ない。

 出産後も、育児や家事、職場復帰の準備など、とてもじゃないが自分のことに構う余裕もないはず。情報収集したり発信したりするには時間もエネルギーも必要だ。

 日頃から30代以上の生理の情報が少ないと感じていたのだが、そういう部分も影響しているのではないだろうか。

 もちろん、近年フェムテックが盛り上がっていることによって価値観の変化があったり、情報に敏感な若い世代が話題に取り上げているという相対的なことも大きいと思うが。

 

 性の悩みもそうであるように、30代には30代なりの、いや、女性には人それぞれの生理の悩みもあるだろう。

 もっと多くの女性に、このような快適な製品があることを知ってほしいし、知る機会や購入できる場所が増えてほしい。もっと選択肢が広がるといいのにと心の底から思ったのだった。

顔出しNGの漫画家・松浦だるまと匿名デビューのセクシー女優・夏目響が異色対談

2021.08.06 Vol.Web Original

「顔に出る」「会社の顔」といった言葉があるように、顔は対社会においても大きな意味を持つ…のではあるが、現在、日本では新型コロナウイルスによる感染症の拡大防止のため、ほとんどの人がマスクをして人に会っている。顔のほとんどを隠し、表情すらも見えない状況の中で取るコミュニケーションにすっかり慣れてしまい、さほど不便も感じなくなった人も多いのではないだろうか。となると「顔」っていったいなんだろうとも思えてくる。特に美醜で一喜一憂することについてはなおさらだ。ということで漫画家の松浦だるまとセクシー女優の夏目響という異色の顔合わせとなった対談で「顔」や「美醜」について語ってもらった。

「おひとり様宇宙」【36歳のLOVE&SEX】#14

2021.07.23 Vol.web Original

 会社で同僚と、自分が女性向け風俗を呼ぶとして、テクニックがそれなりのイケメンと、テクニックがあるフツメンならどちらがいいか、という話になった。
同僚はテクニックがそれなりでもイケメンがいい、という答えだった。

 では普通のリラクゼーション目的のマッサージではどうか。

 技術がないイケメンと、技術があるフツメン。それなら技術があるほうがいい、と同僚は話していた。イケメンではなくても技術があればいいし、会話も楽しければなおのこと外見は関係ないそうだ。

 ちなみに私は全く逆で、風俗ならテクニックがあるフツメン、マッサージなら女性がいい。そしてできれば会話はしたくない。

 

 マッサージや美容院に行くときに、担当者との会話がとにかく億劫だ。

 仕事の話とか、聞かないでほしい。

「お仕事はデスクワークですか?」程度ならいいが、それ以上に掘り下げないでほしい。

「何系の会社ですか?」なんて絶対に聞かないでほしい。

 そこで私が素直に「ソフト・オン・デマンドっていう会社で~映像系なんですよ。会社としてはアダルトビデオをメインに扱ってて、私は今は女性向け風俗を担当していて……」なんて話し始めたら、疲れも取れない。

 かといって趣味の話も聞かないでほしい。

「何系のダンスですか?」という話になったら、「いや~サンバをやってまして。10年くらいなんですけど。サンバってわかりますか? 毎年夏に浅草とかでカーニバルやってて……」とこれまたこちらが気を遣う展開だ。

「いや、社交ダンスとはちょっと違ってまして、ブラジルの音楽なんですが……」とどこまで説明させる気なんだ。

 しかもダンスをしていることは、マッサージをする人が私の足を触れば、通常よりも筋肉が発達しているから気付くらしい。逃げられない。

 

 居酒屋でもそうだ。

 最近は行く機会もないが、一人で飲んでいるとお店の人が気を遣って話しかけてくれる。

 一人で飲んでいるアラフォー女性は必ず寂しいはずだと思われているのだろうか。余計なお世話である。

 毎回一人で来て生ビール3杯、アジフライとザーサイを頼む常連客の私。確かに傍から見たら素性が気になるかもしれない。なぜ一人なのか、なぜそのメニューなのか。

 ただここでうっかり自分のことを話したら、それこそ会社の話で盛り上がってしまう。というか盛り上がってしまった。気付いたら家の近所の居酒屋には、私がどこの会社で働いているかが知れ渡っている。

 でも私は、居酒屋の雰囲気が好きなんじゃなくて、ただ単に家では飲めない酒や自分では作れない料理を欲しているだけなんだ。

 

 そうして思い返せば、美容院は15年くらい同じ人にお願いしているし、マッサージも極力狭くて静かな、会話をしなくてもいいところを選ぶようになった。
人間関係の輪が狭まり、会話を避けるようになって、他人との接点はものすごく少なくなってきた。

 家には誰もいないし、在宅勤務の日は一言も言葉を発しないまま一日を終えることもある。

 仕事が終わったら好きな映画やアニメを見ることに忙しく、負け惜しみではなく一人で退屈だとか寂しいとか思う瞬間など来ない。

 同年代の人たちが家庭や社会と関わり合いながら生きているのとまったく別次元の、SFの世界に生きているのではないか?自分は。

 もしかしたらそれを「ずれている」とか「寂しい」とか世間では呼ぶのかもしれないが、でも、これが私の宇宙なのだ。広い宇宙を、誰にも邪魔されず一人で泳ぐ、この気持ち良さよ。

「さみしくて孤独なオナニー」【36歳のLOVE&SEX】#13

2021.07.09 Vol.web Original

 7月21日は「オナニーの日」です。

 0721の語呂合わせなので、ただのジョークです。

 個人的には、0721は「オナニィ」という感じがして、7月2日の072で「オナニー」のほうがしっくりくるので、7月は2回の「オナニーの日」があるということにしています。

 

 いきなり「オナニー」を繰り返してしまって申し訳ないんですが、皆さんはなんて呼びますか?

 自慰? ひとりエッチ? セルフプレジャー?

 いろんな言い方がありますが、表立ってオナニーについて話し合う機会は多くないと思うので、普段なんて言ってるか無自覚な方がほとんどかもしれないですね。

 でもここはあえてちゃんと「オナニー」と言いたい気持ちが私にはあります。

 

 オナニーという行為はあなたにとってどんなものですか?

 パートナーがいないから、または、パートナーに満たされないから行う行為でしょうか。

 たぎってたぎってしょうがない性欲を解消するための行為でしょうか。

 それともトレーニングのように自分を向上させる目的の行為でしょうか。

 そのどれもが正解だと思います。

 

 9年前から女性向けのアダルト産業に携わってきましたが、当初女性にとってのオナニーは本当にタブー視されていました。

 女性には性欲がない、女性はオナニーをしない、それが男性にとっても女性にとっても当たり前でした。

 オナニーをしていることを知られるのは社会的に終わるんじゃないか、というくらい思い詰めていた女性も多くて、罪悪感を伴う行為でした。

 2021年の今、信じられなくないですか? 私はちょっと信じられないです。

 まだまだ完全にオープンになったとは言えないけど、伊勢丹やラフォーレ原宿にバイブが並ぶ時代です。テレビでもYoutubeでもTwitterでも、女性の性が語られることが肯定される時代ですよ。

 

 当時は「オナニー=寂しい女性がするもの」というイメージが付きまとっていたことも、女性たちを不安にさせた原因だと思います。

 男性中心の社会において、誰にも求められないことやパートナーがいないことは、女性にとって、社会的な居場所を感じづらい状況をもたらしていたように思います。

 でも少しずつ、女性は女性としてしっかり自立し始めている。

 誰かに求められないことは恥ずかしいことでもないし、誰かと一緒にいないとこの社会を生き抜けないほど無力ではなくなってきました。

 私はそういう意味でも、「自慰」という言葉があまり好きではないのです。

 他者に癒してもらえないから、自分で自分をしかたなく慰めているというニュアンスが、前時代的な感じがしませんか?

 だから、しっかり「オナニー」と言いたいんです。

 

 あとこれは、アダルトグッズの販売に携わって思ったことですが、オナニーをすることのメリットもあります。自分の体の感覚を知ることができるということです。

 これは私自身がグッズのレビューをしたり商品をオススメしたりする過程で、実際に体験したことですが、どこを触ればとかどのように動かせばということはもちろんのこと、どう力を入れれば(抜けば)いいのかを知るタイミングは、オナニーしかないと思います。

 人間の体は一人一人違っているし、自分の体がどういうものなのか、あなたはどのくらい知っていますか?

 自分の体のどこに力が入りがちで、どんな癖があるかなんて、自分が知らないことを他人が最初から知ってるはずがありません。自分が知らなければ、パートナーに説明することもできませんよね。

 だからオナニーは寂しいとか、オナニーしている自分は孤独だとか思わないで、自分の人生をよりよく生きるためにも、パートナーのためにも、プラスになることだと思ってほしいんです。

 

 というか、そもそも、オナニーしている人生がさみしくて孤独だったとして、いったいそれの何が悪いのか。

 さみしくても自分の人生を生きていけるのが、本当の自立ではないでしょうか。

 他人と比較する必要がなく、判断基準を自分自身の中に持つことができるなら、孤独もすばらしいことではないでしょうか。

 ならば、さみしさも孤独も大歓迎です。

 

 だから、女性にとってのオナニーは、自立の証でもあるし、自分の人生を楽しむ手段を知っている、肯定的な行為だと思うんですよ。

「ウーマナイザー」【36歳のLOVE&SEX】#12

2021.06.25 Vol.web Original

 ウーマナイザーの何がそんなに面白いのか。

 この数週間、ネットでウーマナイザーが大きく話題になった。

 某女性タレントの不倫疑惑のニュースで、彼女の持ち物に大人のおもちゃがあったということから、検索する人が増えたそうだ。

 さらに、検索数が増えたことを受けてメーカーでは、その女性タレントの名前と「おもちゃ」のキーワードで検索した日本の女性に、製品をプレゼントするというキャンペーンまで実施された。

 

 ウーマナイザーというのは女性用のアダルトグッズの一種で、この2~3年で大きく話題になっている「吸引グッズ」に分類される商品。

 ご存知ない方もいると思うので簡単に説明しておくと、女性向けのアダルトグッズは大きく分けると、振動する「ローター」、男性器をモチーフにした非振動型の「ディルド」、それらをまぜた「バイブ」の3種類に分類される。その大きなカテゴリーの中で、素材やデザインの良いものが出たり、機能が追加されたりして、新商品が作られてきた。

 ウーマナイザーに代表される「吸引グッズ」はそこに彗星のごとく現れた第四のアダルトグッズである。ローターに近いのだが、大きな違いは吸い付くということ。ローターのようにただ単に震えるのではなく、クリトリスをしっかりと覆い吸い付くという、未知の体験ができるグッズなのだ!

(知らない方は写真を参考にイメージしてみてください。)

 

 と、ここまで語ってきて私にはひとつ違和感があった。

 最初に見た記事には、「ウーマナイザー」という記載はなかったような気がするのだ。改めて記事を確認したらやはり「大人のおもちゃ」とだけ書かれていて、商品名までは記載されていなかった。

 もしかしたら印刷された週刊誌のほうには載っているかもしれないが、ここまで話題になったのはネットで拡散されたことが大きいと思うので、それはあまり重要ではないだろう。

 彼女が使った大人のおもちゃは何かを推測する関係者の発言や、このスキャンダルの影響でウーマナイザーの検索数が大きく伸びたというトピックスはよく見かけるが、憶測の記事しか見つからない。

 

 それでもネットはウーマナイザーで大盛り上がりだ。

 

 きっと、記事に出てきた大人のおもちゃがウーマナイザーであるかどうかは、大きな問題ではないのだろう。

 それよりも、今まで「大人のおもちゃ」としか表現できなかったものを、「ウーマナイザー」というキーワードに置き換えることができたことで、一気に言いやすくなったのがこの盛り上がりの理由だと思う。

 たとえば、オナホールとは言えないけどTENGAとは言えるとか。

 AVを見るとは直接的に言えないけどFANZAを見るとは言えるとか。

 それと同じ文脈で、バイブやローターとは言えないけどウーマナイザーなら言える。

 アダルトグッズを直接的に想起させないネーミングだし、話題になっているし、女性タレントも使っているらしいし。

 ウーマナイザーは、女性向けアダルトグッズを、機能だけでなく文化まで変えた革命グッズだと私は思うのだ。

 

 実際にこの女性タレントはウーマナイザーを持ち歩いていたのかもしれないし、そうではなく名もなきバイブを持っていたのかもしれない、もしかしたらこの報道自体が嘘かもしれない。いずれにせよ、こんな形で話題になることは彼女自身も避けたかっただろう。

 大人の女性がアダルトグッズを持っていることも、持ち歩いていることも責められることではない。そんなことがいちいち話題になるのはなんだか残念な気もするのだが、そのくらい、潜在的に興味を持っていた人や、ウーマナイザーという言葉がなければ気持ちを表現できなかった人が多かったのだろうと思う。

 

 だから、世間にとってウーマナイザーは面白くて面白くて仕方がないのだ。

 

 おそらく私が出世できないのは、前の部署で「女性向けAV」に変わる単語を生み出せなかったからで、これから先は「女性向け風俗」に変わる単語を生み出せるかどうかにかかっているような気がする。

 何かいいアイディアを思いついた方は、田口までご連絡ください。

「声をあげる女性たち」【36歳のLOVE&SEX】#11

2021.06.11 Vol.web Original

 このTOKYO HEADLINEでのコラムは2015年6月に始まったので、なんと今月で7年目に突入ということになる。体感として、さすがに2~3年よりは長くやってきたような気もするけど、まあ4~5年くらいかなと思っていたので、思ったよりも長かった。自分、よく頑張ってる。

 と言っても連載の最初の頃は「脱・こじらせへの道」というタイトルで、当時担当していた女性向け動画サイトGIRL’S CH( http://girls-ch.jp/ )の中でとったユーザーの皆様へのアンケートをもとに、編集部の方にご協力いただいて記事を作成していた。その後はアンケートの内容だけでなく、女性向けアダルトのことや性のことで、自分が感じたこと考えたことなどを、自分の言葉で幅広く書かせていただいていている。いつも好きなように書かせてくれるTOKYO HEADLINEの編集部の皆様には感謝だ。

 2015年当時どんな記事を書いていたっけな……と当時の記事を見てみると、意外にも今よりエロやAVに直結した題材が多く、「イク・イカないにとらわれるべきではない」とか「女性同士でエロの話どこまでできる?」なんていう話題も。出会い系サイトをテーマにした回では、「男は課金でチャンスを買っていたが、女の場合は課金で安全を買う」とも言ってて、自分の意見の根本や運営しているサービスの基礎ってあんまり変わっていないなとも思った。

 少し横道にそれるが、女性向けアダルトの歴史を振り返ると、SODグループとしては2006年にananのSEX特集のDVD監修を行っており、2008年にSILK LABOという女性向けAVメーカーを立ち上げた。私が女性向けアダルトに関わり始めたのはそのもっとあとで、2013年GIRL’S CHの立ち上げの時から。

 女性向けに関わる前は男性向けAVの売上予測や分析などを行う部署におり、上司から声をかけられて女性向けに異動したのがきっかけ。だからもともと「女性の性を解放しよう!」というような強い意志があったわけではない。自分はこういうところが視野が狭いのだが、AVは見たいと思ったら見るし、だから自分自身は困ってないし、見ていない人は見たくない人なのだろうという考えで、特に女性向けのアダルトを広げていきたいと思って入社したわけではなかったのだ。

 自分自身は困ってないしという考え方は、先日フェムテックについての記事( https://www.tokyoheadline.com/546337/ )を書いたときにも触れたが、悩みや問題が潜んでいる可能性をつぶしてしまう、危険な考え方だ。我々は可視化されることで、そこに悩みがあること、問題があることに気付くことができる。たとえば生理の悩みも、様々なアイテムで快適に過ごせることを知らなければ、それまで我慢してきたことはわからない。性欲もアダルトビデオなどを通して意識することで、「自分に性欲があるかどうか」について考えることができるはずだ。

 このように可視化することはとても重要で、私たちの会社が女性向けのAVや風俗など様々なサービスを提案していくことは、女性の欲求や潜在的な要望を可視化するひとつのツールになり得ると思うのだ。

 

 連載を始めた頃と大きく違うのは、SNSなどで性について発信している女性が非常に増えたということ。

 AVを紹介する人、グッズを紹介する人、カップル向けのサービスを作る人、性教育を広めようとする人、性の悩みや性被害の救済に取り組む人、など挙げればきりがない。私のように企業でそういった取り組みをしている女性もいれば、個人で発信するパワフルな女性も多い。また、直接的なアダルトではないが、テレビドラマを通して性をカジュアルにしていきたいとチャレンジングな作品を作り続けている女性もいる。

 そして何より、大々的に発信はせずとも、日々のツイートで少しずつ意見を言う女性はもっともっと多くなった。女性が自分の性について考えることは当たり前だし、性や性教育のことで悩みを持っていること、もっと知りたいと思っていることが、SNSを通して可視化されたと言える。

 

 取材を受けたときによく言っていたことだが、GIRL’S CHが成長を遂げた理由のひとつがスマートフォンの普及だ。それまでは家のテレビやパソコンで見るしかなかったAVが、誰でももっているスマートフォンで、誰にも知られずこっそり視聴することができるようになった。それに伴い、女性は家族を含むまわりの人の目を気にせず、AVを楽しむことができるようになり、多くの女性たちにサイトを利用していただくことができた。

 私たちはスマートフォンとSNSで、「女性が性のことを大っぴらに語ったり楽しむべきではない」という偏見をかいくぐって、アダルトのエンターテインメントを楽しみ、可視化された悩みや問題を認識し、同じように問題を抱えている女性同士で連帯することができるようになった。

 この10年ばかりの女性の性の歴史は、まさにスマートフォンとともにあると言っても過言ではないだろう。

 

 一方で、この間女友達と会ったときにこんな会話があった。

「まだ周りの男の人は、女性に性欲がないって思ってるよ」

「ありますよーって言っても、それは〇〇さんが特殊なんでしょって」

 

 私自身この6年間、文章を通して女性の性についてさまざまなことを書いてきたし、社会的にも女性の性の悩みを解決するサービスが多く生み出され、世界はガラッと変わったような気がしていた。

 ではなぜそのような意見が出るのだろうか。それはまだ「女性向け」が「女性のため」にしか機能しておらず、「男女のため」「すべての人のため」へ向かう途中であることを示しているのかもしれない。

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