あなたの枕、古くなったらどう処分する?「睡眠の日」に考えたい「SDGsと寝具」の話

 9月3日は睡眠の日。さらなる安眠のために新しい寝具の購入を考えたとき、意外と手間取るのがこれまで使っていた寝具の処分。環境のためにも正しく処分したいが、枕一つをとっても素材や大きさ、自治体のルールごとに捨て方はそれぞれあり、迷ってしまう場合も少なくない。

 近年、企業の間でSDGsに向けた取り組みが広がるなか、寝具業界において初めて「100%リサイクル」を目指す企業も現れた。古くなった枕をリサイクルして新しい商品をサービス価格で購入できる「ゼロ・ウェイスト・システム」を始めた株式会社ブレインスリープの道端孝助代表に話を聞いた。

株式会社ブレインスリープ 道端孝助代表取締役(撮影:蔦野裕)

―「ゼロ・ウェイスト・システム」とはどのようなサービスか。

「自社製品の〈ブレインスリープピロー〉(以下:ピロー)を対象に、ご使用になっていたピローとの交換で、新しいピローをお得に購入できるというサービスをD2Cブランド初の試みとして今年5月から始めました。生産工場の設備で素材の100%を新たな素材として再生することができ、今後のピローの製造に使用できるというシステムになっています」

―素材を100%リサイクル可能にするという、寝具業界では画期的な取り組み。業界において、これまでリサイクルが一般的ではなかった背景とは。

「寝具のリサイクル、とくに枕などの場合、本来そこまで技術的に難しいことではないんです。ですが現実には、ほとんどの大手メーカーが“販売して終わり”という状況だと思います。できるのにやれない理由、それは、既存のビジネスモデルを変えることが難しいからです」

―リサイクル・回収のシステムを持たずに、さまざまな種類のアイテムを大量に生産、販売するという従来のビジネスモデルを、新たに循環型に転換するのは非常に難しいこと。

「私も今の仕事に携わる前は、古くなった寝具はゴミとして捨てるしかないものという感覚でした。しかし、枕は1人1つ、人によっては何個も使うもの。これがほぼ廃棄されると考えたとき、リサイクルを踏まえたシステムを作れないかと思いました。どんなものであれ作り手側がリサイクルを無視しては、負しか生まれない。もはや、リサイクルを前提としないと、メーカーとして成り立たないタイミングが来ていると思います。既存のビジネスモデルを転換するのは難しいと思いますが、寝具業界では新しい企業となる私たちが新たなプロジェクトを立ち上げるなら、100%再生可能なシステムを目指したいと思ったんです」

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