自家製ハーブのメニューも!池袋イケ・サンパーク「EAT GOOD PLACE」から生まれるよい循環

 東京23区で初めて「SDGs未来都市」「自治体SDGsモデル事業」のダブル選定を受けた豊島区。東池袋の造幣局跡地には昨年、区内最大級のオープンスペースとして普段は区民の憩いの場に、いざという時に災害対策拠点となるハイブリッド型パーク「としまみどりの防災公園(通称イケ・サンパーク)」がオープンした。パークに併設するカフェ「EAT GOOD PLACE(以下、イートグッドプレイス)」では、その名の通り”食べることから生まれるよいサイクル”をテーマに、食を通してさまざまな提案や取り組みが行なわれている。同店のエグゼクティブシェフの松浦亜季さんに聞いた。

池袋イケ・サンパークに併設するカフェ「EAT GOOD PLACE」のコミュニティガーデン(撮影:蔦野裕)

「私たちはSDGsという言葉が浸透する以前から飲食店を運営していますが、ご存知のようにSDGsの17の目標の中にも食に関連するさまざまな課題が扱われています。こうした問題に食を通してかかわれたらという思いがあって、”小さなことからでもよいので何かやってみよう”ということで昨年イケ・サンパークにこのお店を出店しました」

 天気のよい土曜の昼下がり、家族連れや友人同志のグループでにぎわう「イートグッドプレイス」の裏手に回ると小さな菜園が。このコミュニティガーデンについて、松浦さんは「私たちが協力できることとして、ごみの問題というのは大きいなと思っていまして、まず生ごみを焼却して捨てるだけでなく、リサイクルができないかと公園と相談してコンポスト(生ごみなどの有機物を分解して堆肥を作る容器)を設置いただけることになりました」と語る。

 ガーデンの中には、木箱を利用した大きめのコンポストを2台設置。

「日々の営業で出るコーヒーかすや野菜の皮、野菜くずなどを入れて毎日かき混ぜるんです。2つのコンポストを3カ月ごとに交代し、生ごみを溜めては寝かせ、微生物の働きで分解されて堆肥になります。その堆肥をガーデンの土にすき込んで野菜やハーブを育てたり、お花もたくさん咲いて、そのお花を使ったワークショップを開いたり。思ったより上手に堆肥ができているみたいで、パークの芝生の張り替えにも使えるんじゃないかということでした。コーヒーかすは毎日大量に出るのですが、乾燥させてサラサラな状態にしてからコンポストに投入して、1日で15リットル分くらいの生ごみが減りました」

 そうしてできたコミュニティガーデンには、夏はアーティチョークやナス、トマトなど、秋はシソやローズマリー、タイム、ローズゼラニウムなど四季折々の野菜やハーブが生き生きと育つ。

「10月からは、ガーデンで生まれた野菜やハーブを使ったメニューを提供しています。メニューにのせたのは今回が初めてですが、お店でハーブをたくさん使うんですけど、ここ3カ月ほどは一切仕入れを行っていません。ローズマリーなどはかなりの数を植えていて、間引きするほうが植物の育成にもよいということで、毎日チョキチョキ切っています。ハーブを購入すると、どうしてもプラスチックのパックに入っているので、プラスチックごみの削減にもつながっています」

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