花の廃棄や高騰する石油燃料…課題抱える花き業界大手・JFTD花キューピットが新規事業案コンテストを学生を対象に行った理由

 生花の配達サービスなどを全国展開する一般社団法人JFTD花キューピット(以下、花キューピット)は昨年度、学生を対象に、新規事業案のピッチコンテストから、実際の事業化を意識したブラッシュアップまでをサポートするプロジェクトを実施。参加11チームの中から、グランプリを受賞したチーム、事業性が高いと思われるアイデアを発表したチームが、そのアイデアを企業とともにブラッシュアップさせていくという、単なるアイデアコンテストに終わらない、長期間の起業プロジェクトを行った花キューピットと、そこに参加した学生たちを取材した。

𠮷川登代表取締役と『“菊”を活用した地域循環型エネルギー創出』をプレゼンした三野流斗さん、高木大輔さん(撮影・辰根東醐)

 前編では、早稲田大学の大学生・大学院生11チームが参加したビジネスアイデアコンテストで選出された2チームが、その後、企業の担当者とブラッシュアップを重ねてまとめ上げた最終案を紹介。後編となる今回は、一般社団法人JFTD花キューピットグループの花キューピット株式会社・𠮷川登代表取締役に同プロジェクトを振り返ってもらった。

―花キューピットにとっても初の試み。当初の感想と、最終発表を終えた感想を聞かせてください。

「学生さんのビジネスアイデアということで、最初はもっと“将来的にはこうなったらいいと思います”というような、夢の度合いの高い事業案になるかと思っていたのですが、最終的に発表された案は、どちらのチームもとても現実的で、3歩先ではなく1歩先のビジネスとして、僕らもリアリティーを感じることができました」

―それぞれのチーム案がディスカッションを経てブラッシュアップしていく様子をどう見ていましたか。

「使い終わった花をコンポストでたい肥化するアイデア『Flower Compost 花から始まる循環型社会』は、最終的に、花をコンポストでたい肥としてアップサイクルするという活動を地域の人々や子供たちと行っていくというシステムを組み込んだことで、植物の循環を通して命の重みを身近に触れていく情操教育の面でも有意義だと思いました。花キューピットは全国に加盟店があるので、地域密着型の社会貢献事業として、企業が行う意義を感じられました。

『“菊”を活用した地域循環型エネルギー創出』は、廃棄される花をエネルギーにするという、2つの課題に同時にアプローチできるアイデア。まさにロシア・ウクライナ問題の影響で原油価格が高騰している今、本気で事業化すれば資金が集まるのではないかとも思いました。実際に今花き業界では、燃料コスト高騰により花の生産をやめたり仕入れを止めている事業者もいます。すでに、大量に廃棄される素材があり、それを燃料ペレットにするという有望な技術も分かっており、花の生産者など、そのエネルギーを使いたい人もいる。すべてのステークホルダーがそろった状態。あとは現実的なコストを設定できるか。どちらのビジネスアイデアも現実的な展開の可能性を大いに感じられるものとなりました」

𠮷川登代表取締役と『Flower Compost 花から始まる循環型社会』をプレゼンした川野孝誠さん、遠藤竜仁さん

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