社会課題は起業アイデアの宝庫! 次世代のソーシャルビジネスが持つ可能性「SDGs×起業」

株式会社Nature Innovation Group代表取締役・丸川照司(まるかわ しょうじ)…1994年生まれ。海外留学を経て2018年に同社を設立。同年12月に『アイカサ』を渋谷で開始。2019年、福岡でもスタート。
急な雨でもスマホ検索ですぐ借りられる傘シェアサービス

「アイカサ」


Q.事業内容を紹介してください
「1日70円で傘を貸すというサービスです。専用アプリをダウンロードする必要はなくLINEで友だち追加をすればすぐ利用できLINE Payで決済できます。マップで傘シェアスポットの場所と本数を確認できるので最寄りのスポットで借りる傘のQRを読み取ります。すぐに送られてくるコードを使えば傘が開くので、使い終わったら好きなシェアスポットに返却すればOKです。傘自体は無人で管理しています」

Q.アイデアを見出した背景は?
「中国でシェアリングビジネスが当たり前となった様子を見て可能性を感じたんです。そのころ日本でも自転車のシェアリングサービスをメルカリなどがやっていましたが、都心では自転車を使う人より徒歩の人のほうが圧倒的に多いこと、雨の日の徒歩には必須である傘のシェアリングが見当たらなかったことから、思い付きました。多くの方が、急に雨が降ってコンビニでビニール傘を購入したことがあると思います。実は“ビニ傘”のほとんどが中国からの輸入で原価は非常に安いのですが、雨の時しか売れないのでコンビニなどでも粗利率が高く設定されているんです。でも一番の問題はゴミの処分です。行政によっては解体してゴミに出さないといけないところもあるんですが、都内でそんなことをしている人はほとんどいませんね。雨の後にはよく壊れたビニ傘が捨てられていたりしますが、放置や忘れ物のビニ傘が多い鉄道会社などでも処理に大きな労力を割いています。データではビニ傘は年間で8000万本買われていて、都内でも1日雨が降ると10万本が消費されるといわれています。金額でいうと6000~7000万円ほど。これはユニコーン企業を目指すには小さなマーケットかもしれませんが、傘を街中で借りて使う文化が根付けば、ビニ傘を買わないようにしていた人も利用するようになるかもしれない。僕自身、ソーシャルビジネスだから利益や成長は期待できないだろうとはまったく思っていません」

Q.社会貢献性が高いことの利点は?
「自販機を置いたほうが鉄道会社さんとしては儲けになる。それでも設置してくださるのは、傘のゴミを減らしたい、より良い社会を作りたいという共通の思いがあるからだと思います。今後も街を巻き込みながらシェア傘のインフラを構築し、傘の使い捨てをなくしたいと思っています」

アイカサ【URL】https://i-kasa.com/company

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