中野区でウクライナ避難民のための日本語セミナーが開催。メルカリと明大生がノウハウ活かす

 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から5ヶ月が経った。ウクライナから日本へ避難してきた人たちの数は7月20日時点で1500人を超え、避難の長期化も予想されるなか、日本での生活をサポートする動きが始まっている。

中野区職員約30名が参加した「メルカリ・明治大学、中野区に向けたやさしい日本語コミュニケーションセミナー」

 21日、中野区で行われたのは、区職員がウクライナから避難してきた人たちとのコミュニケーションを学ぶ日本語セミナー。このセミナーは、明治大学山脇啓造ゼミと株式会社メルカリの産学連携で行われたもので、今回が初開催となる。これまで中野区では、多文化共生を進める目的で年2回、山脇ゼミによる「やさしい日本語セミナー」を開いており、今後ウクライナ避難民の受け入れも視野に入れるなかで、今回の開催に至った。

「やさしいコミュニケーション」が必要なわけ

 会ではまず、「やさしいコミュニケーション」の重要性について説明。約40ヶ国の国籍のメンバーが勤務するメルカリ東京オフィスのLanguage Education Team マネージャー、親松雅代氏によれば、ネイティブスピーカーと緊張しないで話せる中上級レベルになるためには、日本語の場合、週10時間の学習を2年半以上続けることが、ひとつの目安になるという。このレベルになると会話の80%は理解できる人が多いが、中上級レベルになっても、慣用句や文化的背景への理解が必要な表現、主語が明示されていない文など、複雑な会話は理解することが難しいといい、「中上級以上の学習者がわからない20%には、伝える側にも課題があるのでは」と分析した。

 一方、英語力では、ウクライナは112ヶ国中40位。日本の78位に比べると高い傾向にあり、「日本語が話しやすい人もいれば、英語が話しやすい人もいるかもしれない。レベルもさまざま。大切なのは“自分の話す日本語・英語が相手にとって伝わりやすいか”に気づくこと。このマインドセットをゴールにしてほしい」と話した。

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