線虫がん検査「N-NOSE」アリババ新サービス「日中医療ツーリズム」事業に出店へ

 世界最大級のEコマース企業「アリババ」グループの日本支社であるアリババ株式会社が21日、都内で「Tmall Global(以下、Tモールグローバル)」を活用した日中医療ツーリズム新規事業に関する記者説明会を行い、ヘルスケア企業「HIROTSUバイオサイエンス」が手掛ける線虫がん検査「N-NOSE」が出店することが分かった。

アリババ「日中医療ツーリズム」事業に出店が決まったHIROTSUバイオサイエンスの広津崇亮社長

 HIROTSUバイオサイエンスの広津崇亮社長は、今回の出店について「Tモールグローバルは中国最大級の越境ECプラットフォーム。多くの中国の方々に『N-NOSE』を知っていただき、使っていただくことを期待している。Tモールグローバルの出店には審査が必要で、出店できたことは『N-NOSE』の信頼にもつながりますし、その本当に価値のあるものを提供するという理念に当社も賛同している」と感謝を述べた。

 同社は “がんが怖くない未来の創造” をビジョンに掲げ、大学教員だった広津社長が約20年間に及ぶ線虫の嗅覚の基礎研究を経て2016年に設立。優れた嗅覚を持つ線虫の能力を生かし、尿の中のがんのにおいを嗅ぎ分ける独自の技術「N-NOSE」は2020年に実用化。現在までに国内で40万人以上が受検し、1500社以上の企業が導入しているという。

「これまでのがん検査は精密検査寄りの技術しかなく、結果としてがん検診の受診率が上がらないという状況があった。皆さんが最初に受ける一次スクリーニングであるためにはハードルを下げ、安くて簡便で高精度で全身網羅的という特長を満たす必要があったが、特に安さと精度の高さを両立させることが難しい中で、機械ではなく生物の能力を使えばいいのではないかと思いついた。犬並みの嗅覚を持ち、飼育コストがほとんどゼロに近い線虫を使うことができれば、安くて精度が高い検査ができる」と広津社長。

 昨年、がん種特定検査第1号となる「N-NOSE plus すい臓」を発表した同社。広津社長は「特定できるがん種を増やすことによって、一次スクリーニングだけではなく、尿だけで精密検査の手前まで検査できる世の中を作りたいと考えている」と意欲を見せた。

 日中医療ツーリズム事業での「N-NOSE」の受検方法は、Tモールグローバルで購入後に検査キットが送られ、説明書に従って「マイページ」を作成。来日して尿を採取して東京都内の指定場所に提出し、帰国(数週間)後に「マイページ」から検査結果を閲覧できる。

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