若者があえて“缶”を選ぶ理由とは

各社エナジードリンクとサントリー「BOSS」の新商品「ボス カフェイン」

 エナジードリンク市場はここ10年近く、清涼飲料市場の中でも高い伸長を続けてきている。コロナ禍に突入した2020年以降も同様だ。仕事におけるマルチタスク化の高まりなど、高度な集中力が求められる社会的背景やエナジードリンクが大容量化していることを受け、有糖炭酸飲料からの流入が加速していることなどが伸長要因と考えられる。そしてエナジードリンクといえば缶容器の印象が強い。サントリー「BOSS」の新商品、エナジードリンクのようなコーヒー「ボス カフェイン」もあえて“缶”で発売するという。この商品、カフェインを通常の缶コーヒーの約2倍(200mg)を含んでいる。

 同社によると「缶コーヒーを “機能的に消費する”という若者が意外と多い、ということが見えてきた。」と語る。缶コーヒーを機能的に消費するとはどういうことなのか。

 日本国内では近年、エナジードリンクがけん引するかたちで国内のカフェイン市場が急拡大しており、 SNSでもカフェインに関する投稿が2年前の1.2倍以上になっている。現状、20代までのユーザーにおける缶コーヒーとエナジードリンクの飲用人数規模は、ほぼ同規模ということだ。つまり、若者はエナジードリンクと同じくらい缶コーヒーを飲んでいることになる。

 一方、市場を見てみると缶コーヒー市場はエナジードリンクとは逆に減少傾向にあるようだ。ペットボトルコーヒーの広がりにより、缶コーヒーを飲むユーザーは減ってきているのである。特に若者世代ではコーヒーはペットボトルのほうが主流であろう。ではなぜ、若者はエナジードリンクと同じくらい缶コーヒーを飲んでいるのであろうか。

 サントリーは「仕事や勉強、スポーツや運転などのシーンにおいて、エナジードリンクと同様に缶コーヒーを飲むことも浮き彫りになった。その背景として、日常的に飲みやすいコーヒーの味わいながら、カフェインがしっかり摂取できるというニーズがあることを捉えた」としている。エナジードリンクに似た“機能”を求めてカフェイン摂取の目的に缶コーヒーを飲んでいるのだ。

 古臭い飲み物と思われがちな缶コーヒーが、あえて缶という“機能”を生かすことで、若者に新たな価値を見出せるかもしれない。