乳がんサバイバー夢野かつきさんがコミックエッセイ『乳癌日記』で伝えたいこと

 毎年10月は乳がんの啓発月間として、乳がんの早期発見を呼びかけるピンクリボン運動が行われている。そんな中で、乳がんサバイバーである自身の体験にもとづいた実用的な情報をまとめ、同人誌を経て商業出版されたコミックエッセイが話題となっている。『乳癌日記』(廣済堂出版)で商業デビューを果たした漫画家の夢野かつきさんに話を聞いた。
コミックエッセイ『乳癌日記』(廣済堂出版)より
 2015年に胸の痛みが気になり出し、検診を受けようにもどこも満員で、自治体から送られた無料クーポンをもとに見つけた診療所で受診し、乳がんの発見に至ったという夢野さん。乳がんが発見された時にはすでにステージ2B、リンパ節にも転移があった。

夢野かつき(以下、夢野)「それまで、乳がん検診を行ったことは一度もありませんでした。無料クーポンが送られてきても、面倒くさいとか時間がないなどの理由で先送りしてしまって、少し発見するのが遅かったと思います。治療は抗がん剤療法、腋窩リンパ節の切除手術、放射線療法、ホルモン療法といった流れで行いました。抗がん剤療法では、たまたま治験(臨床研究)に参加できて、自己限度額の範囲で高額医療を受けられたことも良かったと思っています。今現在もホルモン療法は続けています」

『乳癌日記』を出版するきっかけとなった作品は、中学生の頃から趣味で描いていた漫画を「描けなくなってしまうかもしれない」という不安を伝えるために描いたもの。2〜3年かけて4冊の同人誌にまとめた内容に、描き下ろしや主治医との対談など交えて構成している。

夢野「治療中に一番不安だったのが、リンパ浮腫(がんの治療部位に近い脚や腕などの皮膚の下に、リンパ液が溜まってむくんだ状態)になることでした。もしもリンパ浮腫になっても、漫画を描くのに不都合がないかどうか、主治医に見せようと思って描いたんです。鉛筆で描いた漫画をコピーして見せると、先生がすごく喜んでくれて『こんなに喜んでくれるならもっと描きたい』と、描いてはインターネット上にアップしたものを同人誌にまとめ、イベント会場で販売していて今回のお話をいただきました」

 診療所で細胞診を受けた結果を聞いた時は、さすがにショックが大きかったという。

夢野「一番最初に聞いた時は『えっ!』『違うと思うけど、どうなんだろう』と心配や不安ばかりが募りました。友だちに相談してみたり……。その後、大学病院で精密検査をして乳がんの診断が下ってからは『なってしまったものは仕方がない。頑張って治療しよう』と気持ちを切り替えました」

 治療をスタートする前に不安だった「仕事」「お金」についても早い段階で描かれる。

夢野「仕事が続けられるかどうかは一番の心配でした。一人暮らしで、何かあったら自分が困ってしまうので、できれば仕事は続けたいなと思っていました。あとは多額の治療費がかかった時に、十分なお金を用意できるかどうかも不安でしたね。いろいろ調べなければいけないと思って、がん保険と生命保険をかけていたので、どれくらい治療費をカバーできるのか保険会社に問い合わせました。それらに加えて、高額療養費制度(医療機関や薬局の窓口で支払う1カ月の医療費が上限額を超えた場合、その超えた額を支給する制度)があることを知って、これで何とかなるかもしれないと安心しましたね」
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