都医師会・尾崎会長、マスク着用「屋外は外していい。屋内では一人ひとりで判断していただく」

 新型コロナウイルスの「5類」への移行を5月8日に控え、東京都医師会は14日、都内で今後の感染症対策について定例記者会見を行った。

定例記者会見に出席した東京都医師会の尾崎治夫会長

 尾﨑治夫会長は今後の医師会の取り組みについて「重症化しやすい方、特に高齢者をどうやって見極めていくかが非常に大事」といい「重症化する人は高齢者施設の方が多く、その中にワクチン接種しても抗体ができない方が1割程度いることが分かってきている。そうした方を抗体検査などで拾い上げながら、どういう方が重症化しやすいのかを見極めていくことができないか相談している」と提言した。

 コロナ後遺症についても「若い方を含めて1割程度の発生率が確認されており、もっと多いという報告もある」と言及し、その対策を「ひとつはワクチン接種が後遺症の発症にいい影響があると言われている。もうひとつ、はっきり言える段階ではないがゾルコーバという薬がある程度後遺症に有効というデータが出ている。このあたりの経過を見ながら積極的な後遺症対策ができないか考えていきたい」と明かす。

 また、13日から個人の判断に委ねられたマスク着用について「マスクがいるか、いらないかではなく、必要に応じてマスクをつけるところではつけていただくことが大事」と前置きしたうえで「今は花粉症などが流行っていますが、それらが収まってくれば屋外ではマスクはほとんど必要ないのではないか。医療機関や介護施設、あるいは人が密集した場所では臨機応変に対応して、体調が悪い時はなるべく休む、抗原検査を活用して自分が(他の人への)感染力がある状態かどうか確かめていくことが必要だ」と見解を述べた。

 尾﨑会長は、改めてマスク着用の判断について問われると「マスクをつけることで100%ではないが新型コロナウイルスを防げるということは事実」と答え「少なくとも屋外のことは考える必要はないのではないか。屋内では、たとえば今日ように(一人ひとり)距離が離れていて、しゃべらずに黙々と仕事している場合はおそらくいりませんよね。その場所が換気がよく、あるいはCo2モニターがあって1000ppm以下になっているということであれば、そこにはいらないと思う」と一定の基準を示した。

 さらに「コロナ前であれば無理して会社に行くとか、上司から “そのくらいだったら来い”  という話もありましたが、今は感染力と症状は関係ないことが分かってきている。そういう場合はなるべく出社しない、どうしてもというところには必ずマスクあるいは抗原検査をする。体調がいい方でも、不特定多数が集まって密になりやすい場所、部屋の換気もよくないといった場合にはやはりマスクをしていったほうがいいと思う。各自がある程度どういう状況なのか判断しながらやっていく必要がある」と尾﨑会長。

「今までに都民一人ひとりがコロナと関わり、いろいろな媒体からいろいろな情報が流れてきたと思う。 “こういった時には注意しましょう” と書いてあったはずですから、それらを参考にして一人ひとりが判断する。今までのようにみんながつけているからつける、他の人がつけているからつけるではなく、自分自身や家族を含めて家庭内で話をしていただいて、どういう時につけるかということを話してやっていただければいい。

 一斉に外すということではなく、一人ひとりが判断して外す時は外していいのではないか。3年間ずっと見せていなかった顔全体を見せるのが怖いと思ってらっしゃる方もいる。今後、気候が暖かくなるとマスクをつけるのが苦しくなる場面も出てくる。特に屋外は外していいと思うし、屋内では一人ひとりで判断していただく。医療施設、介護施設、混み合った室内、高齢者が家族にいる方はマスクをしていただいたほうがいい」などと語った。

1 2>>>