「とにかくいろいろな人に話を聞いて出来上がった」昨年発表された豊島区の基本構想・基本計画の中身を高際みゆき区長に聞く
一時は「消滅可能性都市」リストに東京23区で唯一名を連ねた豊島区。その後、さまざまな施策を講じ、2024年にはそこから脱却した。豊島区ではさらなる発展を遂げるべく、地域の将来展望を示す最高指針である「基本構想」と、その実現に向けた「基本計画」を昨年、新たに発表した。それはどんなものなのか、高際みゆき区長に話を聞いた。
なぜ「消滅可能性都市」から脱却できたのか
高際区長は2023年4月に豊島区長に就任。もうじき3年になります。昨年新たに発表した「基本構想」はどういったものなのでしょうか?
「私は2020年4月に副区長として豊島区にやってまいりました。コロナの感染拡大と同時期で3年間ずっとコロナと向き合い、その対策を担ってきました。その時にはコロナ禍で顕在化した生きづらさを抱える若い女の子たちに行政として初めて向き合い、すずらんスマイルプロジェクトを立ち上げ、今も官民連携で活動を続けています。そういった新しいチャレンジも進める中で区長になり、就任直後にコロナが2類から5類に変わりました。副区長から区長になったことで見える世界が変わってきたということもあるんでしょうけれども、やっぱりコロナの前とコロナの後で、これまで見えていなかった課題がさまざま顕在化してきたという実感をもっています。
弱い立場の人たちはより弱い立場になり、さらにそういう人たちが多くなっているような気もしました。コロナが終わって街がにぎやかになっていく一方で、取り残されていると感じる人たちがいる。不登校の子どもたちは増えたし、孤独感・孤立感を抱える大人も増えたのではないか。そういう状況を見て、聞いて、コロナ禍後は、今までの計画や将来像のままでは対応できないと痛感し、区長になった時に区の『基本構想・基本計画』を1年前倒しで改定することを表明しました。
策定にあたっては、今まで以上にいろいろな人の声を聞きました。子ども、若者、女性、障害のある方、高齢者、外国人、企業、各種団体、大学の方々。多くの人の声を聞いたので、まとめるのは大変でしたが、“みんなで作った”という実感があり、将来に向けて大きな手応えを感じています」
区長はこれまで民間企業、東京都にもいて民間と行政の両方を経験されています。こういう視点が今回の取りまとめに生かされているように思うのですが。
「1年間ですが厚労省にもいたんですよ。育児介護休業法の改正の時。民間企業にいて、国にいて、都庁にいて、そして基礎自治体にいるという経験は、私の強みだと思っています。今、日々向き合っている、一つひとつは小さいことかもしれないけれど、国や都にはできないこと、届かないことを、住民に最も近い行政として担っているという自負があります」
豊島区は2014年に「消滅可能性都市」リストに載り、そこからさまざまな対策を講じ、2024年にはそこから脱却。なぜ脱却できたのでしょうか?
「2014年は私が都庁にいた時で“池袋がなくなっちゃうのかしら?”とびっくりしました。それまでも高野区長のリーダーシップのもとで、街を盛り上げていくため、各部署一生懸命やっていたと思います。ただ、女性の声や、子ども、若者の声はあまり届いていなかった。力のある大人たちが得意分野を引っ張っていたというように思うんです。それは豊島区だけではなく、全国を通じてだと思います。それがコロナ禍後は、もっとみんなの声を聞いていこう、聞かなきゃいけないというモードになってきた。豊島区は今、“区民の声を聞こう”ということを前面に打ち出しています。それは当たり前のことなんですが。今は本当にたくさんの声が各世代から届きます。対応するのは大変といえば大変ですが、一つひとつの思いに応えていくのが、行政の根幹ですから」

