「とにかくいろいろな人に話を聞いて出来上がった」昨年発表された豊島区の基本構想・基本計画の中身を高際みゆき区長に聞く
新しい基本構想は“理念”を大事に
豊島区は住民の参加意識が高いように思います。言われたことやるという受け身の姿勢ではなく、自主的に住民が参加している。
「もともと地域活動が活発だったと思うんですが、コロナ禍後、一層パワーアップしていると思います。コロナの時には、家に引きこもっている親子のところに、お菓子をお持ちするという理由で様子を見に行ったり、そういうことを“やりましょう!”と支援団体側から言ってきてくれて、すごいなと思いました。豊島区の方々は“補助金が欲しい”というのではなく、こういうことをやりたいので場所を貸してほしいとか、後援名義を出してほしいとか、区も一緒にやりましょうとか、区長に見に来てほしいとか、そういう感じなんです。そうなると“じゃあ行かなきゃな”となる(笑)。そして、行くと必ずたくさんの発見があるんですよ。力をもらって、“区ももっと頑張らなきゃ”といつも思います」
新しい基本構想についてお聞かせください。
「まずは、“理念”をすごく大事にしています。『誰もがいつでも主役』『みんながつながる』『出会いと笑顔が咲きほこる、憧れのまち』という3つ。1つ目の理念には、平和・人権・ジェンダー平等・多様性を掲げています。豊島区は1月1日時点で外国人が区民全体の13%になりました。新宿に次いで都内で2位です。外国人については排他的な声も一部にありますが、“豊島区民”ですので、共生を考えていくことは不可欠。また“女性が輝けるまち”というのはどんな人も輝けるまちだと思っていますし、障害の有無や国籍、家庭の経済的状況等に関わらず、どんな子も主役になれるようにということは全ての部署で意識しています。2つ目の理念に置いた“つながる”については区長選に出たときから言ってきたことです。コロナ禍後の多様化、複雑化する社会課題は、行政だけでは解決できないと思っているんです。企業や地域、いろいろな人たちとつながって初めて、今まで気づかなかった課題に向き合えると思っています。3つ目の理念は子どもたちのアイデアです。“どんな街にしたい?”って聞いたら、“みんながニコニコして笑顔あふれる街がいい”と提案してくれました」
AI化が避けられない時代だからこそ、逆にコミュニティー作りは大事なのではと思います。
「区民サービスの向上や、職員の働き方改革という意味でもDXを推進しています。DX化を進める一方、“ひと=アナログ”がますます大事になっているところがあると思っているんです。まちづくりにおいて人のつながりは欠かせないですし、そうしたベタなつながりがあるのが豊島区の魅力、それを大事にしたいと思っています」
今の時代、押さえておかなければいけないのは防災ですよね。
「防災の対策はアクセルを踏めてきた、という感じです。避難所の開設・運営訓練を実施する際、今までは区の職員が準備してやっていたんですが、地域の皆さんに主導でやっていただくようにしました。昔だったら怒られちゃうかもしれないんですが、今は“大きな災害が例えば夜中に起きたら、豊島区の職員はすぐには行けません”と言っているんです。区内に住んでいる職員は約2割。なので、ご自身の地域のことは、まずは皆さんで動いてもらわないとダメなんですよ、って。今年度から、そうした自分たちで動いていただくリアルな訓練に切り替えました。本区自身の防災訓練も毎年9月にやっていますが、今までは台本があったんですよ。今年度からは台本は無しでリアル訓練にしたら、できていないこと、やらなければならないことなど、たくさんの気づきがありました」

