新型コロナウイルスと「新しい日常」【公益社団法人東京都医師会インタビュー】

「緊急事態宣言」が5月25日、全国で解除された。およそ1カ月半ぶりに宣言解除となった東京都では、感染症防止と経済社会活動を両立しながら「新しい生活様式」を実践する独自のロードマップを策定した。政府に先駆けて「医療的緊急事態宣言」を発出し、さまざまな対策を打ち出した公益社団法人東京都医師会副会長の角田徹さんに、これまでの動きを振り返りつつ今後の課題を聞いた。
東京都医師会が外出自粛を呼びかけた記者会見でのパネルを手にする角田さん

都民の頑張りで乗り越えられた



「緊急事態宣言」が解除され、「新しい生活様式」がスタートしました。これまでを振り返っていかがですか?

角田徹(以下、角田)「新型コロナウイルス感染症の『第1波』は収まりつつあり、何とか乗り越えられたと考えています。東京都が借り上げていた宿泊療養施設のうち、6月中には品川プリンスホテル、東京虎ノ門東急REIホテル、東横INN東京駅新大橋前が終了予定です。

 理由としては都民の方々の頑張りで感染爆発(オーバーシュート)しなかったこと、特に高齢者の方の感染を抑えられたことが大きいと思います。陽性者数全体の20%弱が60歳以上なのですが、ご存知のように高齢者のほうが重症化のリスクが高く、高齢者の新規感染者を少なくできたのが一番のポイントです。それは都民全員が外出自粛したおかげで、若い人から高齢者に感染する割合が低下し、オーバーシュートを防げたのだと思います。1日の新規感染者数のピークは4月17日の206人でしたが、その後は推移しながら感染者数が減っていったので、4月中旬以降からオーバーシュートは避けられそうだという感覚がありました。とはいえ北海道大学の西浦博教授らがシミュレーションしたような抑制レベルにはならず、東京都医師会では4月30日により一層の外出自粛をお願いしています。

 医療体制で言うと、病床確保数は最大で4000床、重症者700床と中等症3300床を用意する予定でしたが、最終的に3400床までで済みました。東京都では新型コロナの患者さんに転換できる病床数を各病院に割り振るのですが、すぐに病床を振り替えられるわけではなく、新規感染者数の増加があまりに急激だと追いつかなくなってしまいます。それで入院待ちの方が出ていた時が、一番ひっ迫していたのではないでしょうか。

 課題としては、感染が疑われた場合は地域のかかりつけ医に相談するようにお願いしていたにもかかわらず、一部の医療機関で熱があるだけで診療拒否というような事例があったそうです。今後の『第2波』『第3波』に備えても、まずはかかりつけ医が患者さんをしっかり診察することを徹底していきたいと思います」

 東京都では1日から休業要請などの緩和を「ステップ2」に進めました。気をつけることはありますか?

角田「繰り返しになりますが、基本的に3密の状況は避けてください。あとは人の触れた場所に触った後や外出から帰宅した際に、顔や目・鼻・口などに触れる前に手洗いを徹底する。家にいる時や散歩などを除き、人と会う時や電車など人の多い場所ではマスクを着用していただくことが有効です。多数の人が触れる場所には消毒も有効ですが、換気を良くすることが一番重要だと思います。スーパーなどに行く場合、混雑時間帯をなるべく避けてください。

 コロナウイルス自体は今までにもあり、過去に感染していると抗体が作られますが、新型ウイルスに感染するとそれらの免疫が過剰反応して重症化するケースが多く、重症者には免疫を抑制する治療薬が用いられます。高齢者は基礎疾患を有していることが多く、長年の間にさまざまな抗体を持っていて、先ほどの理由で重症化する危険性が高いです。今回感染しなかったとしても、有効なワクチンができるまではぜひ感染予防に努めてください」
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