都医師会、緊急事態宣言受け「ここで感染を抑えない限り経済の再生ない」

 公益社団法人東京都医師会は12日、新年に入って初めての緊急記者会見を行った。尾﨑治夫会長は都の連日2000人台の新規陽性者数、そして今回の緊急事態宣言下の状況を「第1波よりもはるかに厳しい」と表現。改めて新型コロナウイルス感染拡大防止に、都民の理解と協力を求めた。
千代田区神田駿河台の東京都医師会館
「新型コロナは決して風邪、あるいはインフルエンザより軽い、そんなことはございません。私は今、第1波の状況よりもはるかに厳しい状態になっていると思います。ですから、第1波の時以上に皆さんの力でこの難局を乗り切っていただきたい。『飲食店が悪い』『医師会が悪い』と言って、お互いが分断されるような流れを作る方がたくさんいらっしゃいます。でも、今こそすべての方が一致団結してこの新型コロナをやっつける、闘うという気持ちになっていただきたいと切に願う次第であります。私はここで感染を抑え、感染者数を少なくしない限り、経済の再生はないと思っております。皆さんで我々と一緒に新型コロナと闘って、感染を減らしていきましょう」

 また、都医師会に対し「残念ながら『何もやっていなかったのではないか』『ある程度感染が治まってから6カ月も何をしていたんだ』という声を聞くことが多くなりました」として、これまでの医療提供体制についても説明。

「当初、15の感染症指定病院で118床の病床を用意していましたが、すぐにひっ迫して病床が足りなくなり、病床数を広げてもあっという間に埋まる。そうした中で今まで感染症を診てこなかった大学病院や民間病院に働きかけ、協力しながら病床数を増やしていった結果、現在の4000床まで持ってきたわけです。特に東京の場合はほとんど感染者がゼロになるということがなく、(昨年)7月からずっと1000人単位の入院が続いているという状況の中で、もう半年以上新型コロナを診ている病院の先生、あるいは看護師さん、その他のスタッフも本当に疲労して、メンタルもやられ、経済状況も厳しい中で頑張ってきました」

 さらに新規陽性者数の激増で、医療提供体制が「限界に近い」としながらも、総力を挙げて乗り切りたいとする考えを示した。

「今、4000床の中で3300〜3400という数が埋まってきて、今後の医療体制をどう作っていくかということに対し、ほとんど限界に近い部分もあります。『民間病院はやっていないじゃないか』という声もありますが、民間病院で新型コロナを診られる病院はほとんど協力している状態です。そういう中で、今後都立病院、公社病院にさらにご尽力いただいて、今の1100床から1700まで病床を増やしていただくことも決まっております。民間病院と大学病院、国公立病院が協力して、この難局に当たっていきたいと考えております。どこまで乗り切れるか分かりませんが、これからも全力で当たっていきたいと思います」

「皆さんもご存知のように感染者が急増している中で自宅療養、自宅待機者の方がすでに1400〜1500人ほどに増えてきております。保健所も大変な状態になって、フォローアップ体制が上手くいっていないということがあり、私どもの診療所、かかりつけ医、在宅医療の先生で何とか助けてあげることができないのかということも考えております。

 しかしながら今の感染者の激増、一日2000人というような数が出てくる状態ではいたちごっこと言いますか、医療体制を用意してもあっという間に埋まっていってしまう状況下になっております。改めて都民の皆様お一人おひとりに、若い方も高齢者の方もすべて含めて、緊急事態宣言が出ているこの1カ月にどうやって感染を抑えていくか、自らも感染しないか人にうつさないかということを考えて行動していただければと思います」
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