すべての人がマイノリティ。障害と健常のあいだを探る500日間のドキュメンタリーで見えたもの

佐藤隆之監督。2016年秋にドキュメンタリー作品『kapiwとapappo〜アイヌの姉妹の物語〜』を製作。 本作が長編ドキュメンタリー2作目。

―お気に入りのシーンを教えて下さい。

佐藤:脳性麻痺のデリヘル嬢・Mayumiちゃんですね。自分が「障害者のデリヘル嬢」という役割を演じることに疲れてしまったというシーンがあります。

石川:「普通の風俗嬢になりたかった」というね。周りの人からも印象的なシーンだったと聞きます。

佐藤:感動ポルノを求める世間と彼らのギャップがあるんですね。結局みんなレッテルを貼ってしまうということです。自分にとって分かりやすい、気持ちの良いレッテルを貼る、感動ポルノの本質はそこかなと思っています。

石川:私が好きなのはラストシーンですね。みんなで三浦の海でBBQをするシーンがあるのですが、いろいろな人が遠くからも来てくれて。ダウン症の男の子から、地元のお年寄りまで、色々な人がいます。社会の中に色々な人がいるのが「特別なことではなく当たり前のこと」なので、多様性を前提にするとこんなに楽しいんだよ、という象徴的なシーンになっていると思います。

―最後に映画をご覧になる方にメッセージを。

石川:自分自身が何かに悩んでいたり、生きづらいと感じていたりする人に見てもらうと良いんじゃないかなと思います。作品に出てくるみんなは「ダメなところ」もあるけれど、生きることを楽しんでいる。この映画を観た人は、自分が生きている意味のヒントが見つかるかもしれないです。

佐藤:あまり身構えないで観てもらえたらと思います。人によって感じ方はさまざまだと思いますが、観る人も自分を変にカテゴライズしないで、colorsにいるような気持ちになってもらえたらうれしいですね。

(取材・文 丸山裕理)

『ラプソディ オブ colors』
監督:佐藤隆之 出演:石川悧々、中村和利、新井寿明、上田繁、Mayumi/108分/太秦配給/5月29日(土)より全国順次公開
https://www.rhapsody-movie.com/
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