豊島区×吉本興業でSDGsを伝える。世界に誇る「国際アート・カルチャー都市」を目指す

 かつてアトリエ村である「池袋モンパルナス」やマンガ文化を育んだ「トキワ荘」があり、今や舞台芸術からマンガ・アニメ等のサブカルチャーの聖地までと、数多くの文化資源を有する豊島区。11月1日には、文化によるまちづくりを次代へ承継・発信する「としま文化の日」を迎えた。今年は「SDGs×文化」をテーマに、初となる吉本興業とのコラボレーションで、ミュージカルやコメディ芝居、ワークショップなど、幅広いジャンルで子どもから大人まで参加できる機会を目指す。

 共に文化を基軸とする自治体とエンターテインメント企業。この度のSDGsでの連携について、高野之夫豊島区長、吉本興業ホールディングス株式会社  執行役員 コーポレート・コミュニケーション本部の羽根田みやび氏、吉本興業株式会社 取締役 ライブ制作部 仲良平氏(豊島区国際アート・カルチャー都市プロデューサー)が鼎談した。

写真左より、高野之夫豊島区長、羽根田みやび氏(吉本興業ホールディングス 執行役員)、仲良平氏(吉本興業 取締役)撮影・蔦野裕

――豊島区・吉本興業のそれぞれのSDGsの取組みについて教えて下さい。

高野之夫区長(以下、高野区長):2014年に大きな衝撃を受けた「消滅可能性都市」への指摘がきかっけで、持続発展可能なまちへと方針を大転換しました。まさにSDGsの精神そのものでまちづくりを進めてきたのです。その取り組みが評価され、2020年7月、内閣府から「SDGs未来都市」「自治体SDGsモデル事業」に選定されました。あらゆる行政の取り組みは全てSDGsに繋がっていると考えています。そして何より、まちづくりをはじめ未来に向けての取り組みを進めていくうえで、主役は子どもたち。区立の小・中学校全校でSDGsの取り組みが始まっています。今後は、これまで進めてきた「国際アート・カルチャー都市」としまを、さらにどう発展させていくか、子どもたちとともに描いていきたいと思っています。

 豊島区には、池袋駅周辺に特色ある4つの公園があります。芝生広場で多くの人がくつろぐ「南池袋公園」、2019年秋にリニューアルオープンした屋外劇場でもある「池袋西口公園(GLOBAL RING)」、様々なイベントにも対応できる「中池袋公園」、昨年完成した区内最大の新公園「としまみどりの防災公園(イケ・サンパーク)」です。文化を基軸に持続発展するまち「国際アート・カルチャー都市」を実現する核として、この4つの公園を中心にしたまちづくりを進めています。

 2019年には8つの劇場を備える「Hareza(ハレザ)池袋」がオープンし、公園を繋ぎ街なかを巡回する電気バス「IKEBUS」の運行が始まりました。公園には賑わいを作ったり、まちを育てたり、環境問題や社会経済への効果もあるなど、さまざまな要素がありますが、このように公園を主体にしたまちづくりは、都内でもなかなかないものです。

写真左上から時計回りに「Hareza(ハレザ)池袋」、「IKEBUS」、「南池袋公園」、「としまみどりの防災公園(イケ・サンパーク)」

羽根田みやび氏(以下、羽根田氏):弊社は2017年からSDGsの取り組みを始めています。現在では「健康と福祉」「地域社会の創生」「未来社会の創造」「多様なパートナーシップの活用」の4つの柱を掲げて、笑いやエンターテインメントの力でSDGsの17目標の達成をお手伝いしています。

 コロナ禍でお笑いライブの中止や延期が相次ぎ、興行活動ができなくなった中、子供の“やりたい“を大切にする多彩なコンテンツを配信するアプリ「ラフ&ピースマザー」や合言葉は“手洗い・うがい・笑い”を掲げ、オンラインを駆使した「#吉本自宅劇場」、東京大学の「知」と吉本興業の「エンターテインメント」を掛け合わせた『笑う東大、学ぶ吉本プロジェクト』など、さまざまな取り組みをスタートさせました。

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