「紅麹」問題の原因はプベルル酸!? 食品機能学・大貫宏一郎氏に聞く情報リテラシーと健康寿命
小林製薬の「紅麹」成分が入ったサプリメントを摂取した人に健康被害が確認された問題で、先月、厚生労働省は腎障害を引き起こした原因物質が「プベルル酸」と特定したと発表した。新たな健康食品などの情報は常に話題を呼ぶが、中には偏向した情報も少なくないという。“日本一の健康食品研究者” を自認する食品機能学者の大貫宏一郎氏に、賢く健康食品などを活用し、健康寿命を延ばすための秘訣を聞いた。
賢く健康食品などを活用し、健康寿命を延ばすためには? 食品機能学者の大貫宏一郎氏に聞いた(写真:アフロ)
情報でむしろ健康が損なわれるというジレンマ
大貫氏は昨今、健康食品などに関する偏向した情報が目立っているという。その代表例が、小林製薬のいわゆる「紅麹」問題だ。これについて以下のように語る。
「プベルル酸という物質が原因とされましたが、これは慎重に検討する必要があります。というのも、プベルル酸は抗菌作用などがあるため健康に有益に働く成分でもあります。これは、私の研究対象である唐辛子の辛味成分カプサイシンにも同じことが言え、適量なら脂肪燃焼効果など有益ですが、量が多ければ毒になるし、かといって少なすぎれば役に立たない。つまり、量次第で “薬にも毒にもなる” というのが健康食品成分の特徴なのです」
大貫氏によれば、この問題で最も懸念されるのは、過剰な報道による影響だという。
「過度な騒ぎによって、本来の健康維持に役立っていた可能性のある製品が使用できなくなり、結果として健康被害が生じる可能性があります。これは健康食品を長年研究してきた立場としては由々しき事態です」