毎日のチョコレートに驚きの健康効果!「チョコレートフォーラム2019」

公益財団法人 佐々木研究所の佐々木敬理事長
 続いて公益財団法人 佐々木研究所の佐々木敬理事長の「高カカオチョコレート摂取による生活習慣病予防」と題した講演によると、食後血糖値の上昇率を表すGI(Glycemic Index)値の低い食品は生活習慣病の予防や体型の維持、筋肉の減少防止に役立つことが考えられるとしたうえで、意外な低GI値食品として高カカオチョコレートが注目されていると発表。オーストラリアの大学で行われたGI値測定試験で、カカオ分72%と86%のチョコレートとブドウ糖を摂取した人の血糖値を調べたところ、高カカオチョコレートを摂取した人の血糖値はどちらもおだやかな上昇で推移したという試験結果を明らかにした。

愛知学院大学心身科学部健康栄養学部の大澤俊彦特任教授
 最後に愛知学院大学心身科学部健康栄養学部の大澤俊彦特任教授による講演「高カカオチョコレート摂取によって得られる様々な健康効果」では、近年世界中でチョコレートの健康効果の研究が盛んに行われていることを挙げた。その背景としてハーバード大学でカカオの産地であるパナマで伝統的なカカオ飲料を飲む習慣がある島民とそうでない都市の住民10万人を調査したところ、島民の心疾患・ガン・糖尿病の死者数が少なかったほか、島民のほうが塩分摂取量が多いにもかかわらず都市の住民より血圧が低かったのだ。

 大澤教授らは「蒲郡スタディ」と呼ばれる大規模研究を行い、45〜69歳までの347人に72%の高カカオチョコレートを1日5枚(約25g)4週間摂取してもらったところ、体重やBMIの変化は見られずに最高血圧・最低血圧共に低下して、高血圧な人ほどその低下率が大きくなる結果が出たという。そのほか善玉コレステロールであるHDLが優位に上昇し、炎症マーカーや酸化マーカーの高い人は数値の改善が見られたことから、動脈硬化のリスクを下げる効果が考えられると報告。脳由来神経栄養因子であるBDNFを含む血流が増加することによって、認知症の予防にも可能性があるとしたうえで、今後の臨床研究にも期待を寄せた。

 フォーラム終了後には、参加者に東京慈恵会医科大学附属柏病院の湯浅愛栄養士監修の「低GI高カカオチョコレートカレー」やラテンレストラン「TORO TOKYO」監修の古代カカオドリンクが振る舞われた。これからさまざまなチョコレートが店頭に並ぶ季節、おいしくて健康や美容にもうれしいチョコレートを日々の生活に取り入れてみてはいかがだろうか。
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