子どもの病気やけが、実は…「代理ミュンヒハウゼン症候群」とは?

 大阪市内の病院で、当時生後2カ月の乳幼児の口に血液を含ませ嘔吐させたとして母親が逮捕された事件で、別の日にも口をふさいで一時呼吸を停止させたとして母親が再逮捕された。最初の逮捕容疑について大阪地検は処分保留としたが、母親に「代理ミュンヒハウゼン症候群」の疑いがあるのではないかといった専門家の意見もある。特殊な形の虐待でもある「代理ミュンヒハウゼン症候群(MSBP)」とはどのような病態なのだろうか。公益社団法人東京都医師会副会長を務める「ひらかわクリニック」(八王子市)の平川博之院長に解説してもらった。
エスカレートすると代理者が死に至ることもある「代理ミュンヒハウゼン症候群」(写真はイメージです)

「代理ミュンヒハウゼン症候群」とはどんな病気?



 実際には病気でないにもかかわらず、身体の不調を訴えて受診されるケースは、精神科医療の現場ではよくあることです。さまざまな訴えに対して内科や外科などで検査や診察を行っても異常所見がなく、原因も分からない場合、精神的な要因を疑われて精神科に紹介されます。こうした方々の中にみられるのが以下に示すいくつかの病態です。

①身体症状症(身体表現性障害)
 本人の自覚症状に見合う身体的異常や検査所見がないにもかかわらず、痛みやしびれ、吐き気などの症状が長期間にわたって続きます。

②病気不安症(心気症)
 ささいな体調不良を深刻に受け取り、がんや伝染病といった重い病気にかかっているのではないかと、強い不安や恐怖を感じています。

③転換性障害
 強い葛藤やストレスなどの心理的要因より、その辛さが無意識のうちに痛みや麻痺、視力障害や歩行障害といった身体症状に置き換えられてしまっています。

④詐病
 罪や責任を逃れるためや金銭等経済的および社会的に利益を得ることを目的に、意識的に作り出した病気を利用しています。

 こういった病態の仲間に「作為症(虚偽性障害)」があります。「作為症」には2つのタイプがあって、ひとつは「自らに負わせる作為症」です。もうひとつが「他者に負わせる作為症」で、これが「代理ミュンヒハウゼン症候群」とも呼ばれている病態です。「作為症」は多くの場合、周囲の関心を集められれば十分であって、「詐病」のように直接の利益を求めているわけではありません。

「代理ミュンヒハウゼン症候群」の原因は?




 原因は不明ですが、幼少期の虐待や喪失体験、崩壊家庭での養育、本人または家族が実際に重い病気を患っていた場合もありますし、そうした経験がまったくなく発症することもあります。また、背景にうつ病や境界性パーソナリティ障害といったパーソナリティ障害が存在している場合もあります。
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