ワクチン接種1日100万回「決して不可能な数ではない」都医師会

 3度目の緊急事態宣言が発出中の東京都。東京都医師会は11日に定例記者会見を開き、感染拡大「第4波」の現状と対策について解説した。

都民の協力に感謝する東京都医師会の尾﨑治夫会長

 尾﨑治夫会長は冒頭、新規感染者数について「今日も925人とのことだが、緊急事態宣言前の週の増加率でいうと、1000人を超えておかしくない状況だが抑えられている。都民の方々の努力によって、昼夜の滞留人口が減っていることが効果を得ていると思う。本当に都民の方々に御礼を申し上げたい。どうもありがとうございました」と一礼。「この一週間を注意深く見ていかなければいけない」としながらも、このまま新規感染者数の急増を避けられれば、「第3波」以降に構築した医療提供体制で「第4波」を乗り切れるのではないかとの見方を示した。

 また、今後本格化する高齢者に対するワクチン接種に対し「高齢者の新規感染者が減れば、当然重症化する患者も減っていく。(新規感染者数の)急増を防げれば医療体制のひっ迫も防げると思われ、高齢者のワクチン接種を早期に完了することは大変重要」と明言。7月完了をひとつの目標とし、各地区医師会と連携を取ってワクチン接種体制を充実させると述べた。そのうえで、新たな脅威となる変異株に対し、政府に水際対策の一層の強化と検査体制の拡充を求めた。

 続いて猪口正孝副会長が「東京は新規感染者数が700人に満たない段階でまん延防止等重点措置、緊急事態宣言を発出して昨日時点で入院患者数が2346人。このまま上手く新規感染者数が減っていけば、我々が入院医療体制の限界点とする2600人に達しないで収まる可能性があり、そうすればワクチン接種に専念できる」と改めて都民の協力に感謝。

 さらに角田徹副会長は、ワクチン接種の進行状況に対し「『1日100万回のワクチン接種を目指す』との菅総理大臣の言葉は、決して不可能な数ではない」とし、そのためにも各地区医師会での医療従事者等の優先接種の完了は必須と言及。また、ワクチン接種への問い合わせが一般医療を圧迫しているといい、行政が今後の見通しや具体的な方法、情報を住民に開示することの重要性を訴えた。接種対象者に対しても「6月最終週(第8クール)までに、都内の高齢者約311万人分のワクチンが供給される。高齢者の方は安心して接種してほしい」と呼びかけた。

 最後に、東京オリンピックの水際対策について問われた尾﨑会長は「選手の方は普段から自覚しており、若い方が多く体力もあって、今回はワクチン接種も行われるので感染源になることは少ないのではないか。しかし、それに伴って入国するさまざまな方、5〜7万人といわれる方の感染予防をどうやっていくのか。ここのところ変異株が増えていることで、今までのように大都市の問題だと思っていると危機的な状況になる可能性が高い。全国的にステージ2であるとか、東京であれば新規感染者数が100人以下であるとか、そうしたことを真剣に考えていかないと、安全なオリンピックにはつながらないのではないか」と注文をつけた。

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