都医師会、療養解除に「証明書必要なし」警戒レベル「医療全体は赤」都民に理解求める

 全国でオミクロン株が猛威を振るう中、東京都医師会は8日、都内で定例記者会見を行った。

東京都医師会の尾﨑治夫会長(2022年1月11日撮影)

 尾﨑治夫会長は、冒頭で顔写真付き新型コロナウイルス抗原検査陰性証明(東京コロナパス)の運用に触れ「これからワクチンの3回目接種と、こうした陰性証明を使いながら世の中を動かしていけたら。当日に抗原検査の陰性証明が分かる仕組みで、飲食店などで時短営業やアルコール提供の自粛をせず、社会活動を広げていくことが可能だと思っています」と説明。

 また「第6波」の収束に向け、岸田総理大臣の「1日100万回」発言を引き合いに「やはり、ワクチンの3回目接種がひとつの肝だと思っています。東京都医師会としても、商工会議所をはじめ、東京都の集団接種会場において接種体制に協力していきたい」との見解を示した。

 そのうえで経口治療薬について「米メルクの『モルヌピラビル』に加え、米ファイザーの『パクスロビド』が使用できるようになると思います。さらに塩野義製薬で国産の3CLプロテアーゼ阻害薬、興和で抗寄生虫薬『イベルメクチン』の治験も進んでいる。日本の製薬メーカーの治験が進んで、治験中でもよい成績が出て副反応についても問題なさそうであれば、なるべく早く緊急使用の道を開いていただけたら」と述べ「4~5種類の経口薬が出てくれば、我々も早期に健康観察して重症化予防につなげられる」と期待を込める。

 13都府県で「まん延防止等重点措置」延長が検討されているが「結局は個人個人の行動にかかっている。今、家庭内感染が非常に多く、家庭にウイルスが持ち込まれるとほとんどの方がかかってしまうのがオミクロン株の特徴。人から人に感染する『世代時間』も2日間で、家族内で気づいた時に他の家族を隔離してもすでに感染していることが多く、家庭に持ち込まないことが大事だと思います」として、改めて「やはり誰かと飲食を共にした、職場の休憩時間に一緒だった、商談でしばらくの間一緒に話したなどで感染している方が非常に多い。しばらくの間は身内の方以外と飲食を共にしない、できればテレワークやリモートワークを徹底していただきたい。これから金~日曜に3連休がありますし、ここ1~2週間はひとつの勝負どころだと思っていますので、ぜひそういった行動をよろしくお願いします」と注意喚起した。

 現在、感染者の療養解除や濃厚接触者の待機期間が終了した際、医療機関に「検査してほしい」「証明書を出してほしい」という問い合わせが多く、混乱しているという。

 尾﨑会長は「企業や学校関係の方に申し上げたいのですが、10日間の療養期間が終われば実際には感染力はないことが分かっていて、厚生労働省の療養解除基準でもそのようになっています。なおかつ、療養期間が終わった際に検査による陰性証明や療養期間終了の証明書を出す必要はないということも事務連絡として通達も出ています。ぜひ会社や学校の管理者の方は、療養を終えた方はそのまま復帰が可能ということを改めてご理解いただければ」と強調した。

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