都医師会、春のイベントシーズンに提案「抗原定性検査をして、無症状者を拾い上げる」

 21日までの「まん延防止等重点措置」の延長が決まった東京都。東京都医師会は8日、都内で定例記者会見を行ってワクチン接種の状況や医療提供体制を説明した。

東京都医師会の尾﨑治夫会長(2022年1月11日撮影)

 尾﨑治夫会長は、冒頭で都のワクチン接種状況について「今日現在で、高齢者の65%程度が3回目接種を終えている。このスピードで行くと今月末には高齢者の82%程度、18歳以上の方の80%以上、都全体としても45%程度の方が3回目接種を終えられるのではないか。ここまでワクチン接種が進んでくると、ある程度重症化予防や感染予防の効果が出てくると思います。いろいろな中和抗体薬や重症化防止薬は出てきたが、数や使用が限定されているので、現在の感染状況を抑えていく最も有効な武器は3回目接種を早めに進めていくことだ」と説明。

 現在、東京メトロ東西線で行っている車内広告「東京に、今こそ、ヘルスリテラシー」について「私ども東京都医師会は、都民の皆様のヘルスリテラシーの向上のための活動に取り組んでいる。(都医師会の)ホームページにも出ておりますが、いろいろな情報が氾濫していますけれども、正しいと思われる情報をしっかり入手し、理解してご自分の健康を守るためや適正な医療を受けるために利活用していただきたい。ワクチン接種についてもいろいろな情報が飛び交っているが、正しいと思われる情報を手に入れ、理解してご自分やご家族で活用していくことが大事」と述べた。

 今後について「冬場は冬場に特有の脳卒中、心臓病、転倒による骨折などが多くあり、通常の救急医療が大変多く発生したことと新型コロナの救急患者が重なったことが病床のひっ迫を招いたひとつの理由でもある。そういった意味で春の陽気で、冬に流行しやすい病気が減ってくることは、病床の体制にとってはいい方向の影響を与えるのではないか」としたうえで「今後どの程度BA2(ステルスオミクロン)に置き換わってくるか注意しなければいけないが、これまで同様マスク・手洗い・三密を避ける・換気といった予防対策は変わらないので引き続き徹底していただければ」と訴えた。

 また、年度末ということで「人事異動や卒業、入学といったイベントが控えているので人との交流や飲食の機会が増えて感染が広がる可能性もある。私どもは適宜抗原定性検査をやって、社会を動かしていく“東京コロナパス”という取り組みをやっていますが、その実証実験でも132人中9%の方に陽性が出ている。その方たちは無症状で自分では何ともないと思っていた方で、今後の経済活動を進めるにあたって適宜抗原定性検査をして、無症状者を拾い上げて感染の恐れが少ない方で飲食を経済活動を広げていくことが必要」と提案し「まだまだ入院・自宅療養・宿泊療養含めて約14万人の方が療養を続けている状況ですので、3回目接種が進んで収束の兆しがはっきり見えるまでこの体制を維持しながら頑張っていきたい」と決意をにじませた。

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