都医師会・尾﨑会長、5類移行後「 “自分がうつっても他の人にはうつさない” という姿勢を持って」

 新型コロナウイルスの5類移行を5月8日に控え、東京都医師会は11日、都内で定例記者会見を行った。

新型コロナウイルスが5類に移行した後のコロナ対策について説明する尾﨑治夫会長

 尾﨑治夫会長は、5類移行後のコロナ対策のポイントを「まず、高齢者と重症化しやすい方を守る対策。若い方は重症化しないと言われていますけど、いろいろな報告で2割~2割5分程度、2カ月以上の後遺症が残る方がいますのでそういった後遺症の問題」と挙げる。

 ワクチン接種について、改めて「若い方で3回目の追加接種を打たれていない方は、ここ何カ月か変わっていないんですけれども、比率としては45~50%程度とかなりの数がいらっしゃいます。若い方でワクチンを打っていない方は後遺症が出やすい、打っている方は出にくいとも言われていますので、まだ3回目の追加接種を打たれていない方はこの機会にぜひ打っていただきたいと思います。5月8日からは高齢者、重症化しやすい方、医療・介護従事者の6回目接種が始まりますのできちんと受けていただくことが大事」と言及。

 また、今後の治療に対し「高齢者、重症化しやすい方で体の異変を “もしかしてコロナかな?” と疑いを持たれた場合は早めに医療機関を受診し、自分が飲まれている薬との併用禁忌などがなければ、パキロビットやラゲブリオなど重症化予防の薬を早期に服用して重症化しないようにしていただきたい。若い方で慢性疾患を抱えて薬を飲まれている方は少ないと思いますが、たとえばゾコーバのような薬は、熱や辛い症状が短縮あるいは軽減する、後遺症についても45%程度軽減するという報告がありますから、そういった薬を使われるのもひとつの方法。

 コロナの経口薬については9月まで公費負担が続きますので、ぜひ早めに診断して治療が必要な方は治療を受けることが大事ではないか」と指摘した。

 5類に移行後の意識の変化を「行政や国から “検査しなさい” とか、陽性だったら “療養しないといけない” といった法的なものはなくなり、インフルエンザと同じ扱いになります。体調が悪いのに “無理して仕事や学校に行ってしまおうか“ とか、検査して陽性が出たんだけど “他の人に言わなければ大丈夫かな” と仕事に行ったり出歩いたりする方も出てきてしまうかもしれません」と危惧。

「(現在、流行中の)『XBB.1.5』の感染力は、従来のオミクロン株より1.43~1.5倍とかなり強いと言われています。万が一、ご自分の周りの高齢者や重症化しやすい方にうつしてしまったら問題が起きてくる。今後は “自分がうつったとしても他の人にはうつさない” という姿勢を持っていただかないと感染拡大が起きますので、一人ひとりが今までに増してご自分で注意していく姿勢を取っていただければ」

 最後に、今後の医療提供体制について「発熱患者さんはこれからも続き、今は診療・検査医療機関で診ているんですけど、5類移行後はなるべく多くの医療機関で発熱患者さんを診ていただくことが大事」として「どうしても動線を分けられない、発熱患者さんを診られないという診療所で発熱患者さん、かかりつけの患者さんから “診てほしい” と連絡があった時には、“うちでは診られません” と断るのではなく、そういう方には紹介状を書いてぜひ診療・検査医療機関につないでいただきたい。それがすごく大事なことになると思いますのでよろしくお願いします」と訴えた。