熊谷俊人千葉県知事に聞く「誕生150周年」とこれからの千葉県

(撮影・上岸卓史)

「ちばSDGs推進ネットワーク」を生かした官民連携による地方創生の取り組みが先日、「地方創生SDGs金融表彰」を受賞しました。具体的な取り組みを教えてください。
熊谷「千葉県はSDGsのネットワークがすごいんです。千葉銀行をはじめとする千葉県の主要な金融や経済界の方、経済団体が一堂に会してこのSDGsを県内企業に浸透させるというネットワークを作っています。県自身が、「ちばSDGsパートナー登録制度」というものを立ち上げて、両輪でやっているのですが、もう1年余りで1700を超える企業・団体に登録していただいています。全国的に見てもここまで浸透している県は珍しいと思います。金融のルートからも取引先にSDGsの考え方を広げているし、経済団体を通じてもやっているので、SDGsに積極的に取り組む企業が見える化されましたし、あと金融が入っていますから、例えば融資の問題や投資の関係であったり、もしくは企業同士の連携も生まれてきています。もう千葉県のいろいろな企業の名刺に、17色のチーバくんのSDGsシンボルマークが入っていますし、チーバくんのSDGsピンバッチをつけている人がかなり多くなりました」

 SDGsは参加する人が多くないと意味がないですよね?
熊谷「完全に県内企業のベースにはなってきていると思います」

 熊谷知事は子育て世代の知事として教育の観点でもツイッターなどで積極的に情報発信されていますが、子供たちに向けたSDGsを浸透させる施策や取り組み、今後の課題について教えてください。
熊谷「一番大事なのはこれからの未来を担う子供たちがこの理念を理解して、社会や世界で発揮してもらうことだと思っていますので、千葉県としては、昨年度、チーバくんのSDGsシンボルマークを活用したポスターを作成して、県内すべての小中学校に配布しています。千葉県内の子供たちにとってチーバくんはものすごくなじみがあるので、チーバくんのSDGsカラーというのは結構子供たちにとっては身近に感じるきっかけになると思います。プラスしてSDGsに関するクイズを取り入れた子供用のページを県庁のホームページの中に持っていまして、こういうものを使っていただきながら、子供たちに身近に感じてもらう。今は高校生用の教材でもSDGsを取り上げています。こういうことをやってきていますので、千葉県の教育の現場ではSDGsが身近になってきていると思います。千葉県って、そもそも東京圏の中では一番、農業と水産業が盛んな県ですから、こういう持続可能性のある社会については理屈ではなく、景色で体験体感できる場所だと思っていますので、そういうところをしっかりと広げていきたいと思っています」

 横浜市がIR誘致を断念したことで千葉市に注目が集まっています。現在、IRについてはどういった考えを?
熊谷「東京圏の中では横浜がああいうことになりましたので、東京か千葉という議論は当然あると思っています。幕張新都心ができた当時、まさにコンベンションを中心とする国際的な交流都市を作っていくというのがもともとの原点ですから、私が千葉市長時代、IRの法制度の議論が高まってきたときに“当然、幕張新都心としては議論としてやっておくべきだよね。やるかやらないかは別として、それによる意味合いというものは研究しましょう”ということで、千葉市として研究はしました。結果的には国の募集スケジュールにはどっちにしても間に合わないし、時期ではないということで、今回は応募しないという結論になりました。今後、政府がどういう考え方で次のスケジュールなどを示していくか。その中で考えていきたいと思っています」