都医師会・尾﨑会長、5類移行で会見「決してコロナがなくなったわけではない」

 新型コロナウイルスの感染症法の位置付けが8日付で5類に移行したことを受け、東京都医師会は9日、5類移行後の課題と対策について定例記者会見を行った。

5類移行後、初の定例記者会見を行う東京都医師会の尾崎治夫会長

 尾﨑治夫会長は5類移行に「インフルエンザとまったく同じかというと、インフルエンザは基本的に冬に流行る病気ですがコロナは夏場にも流行していますし、大きな流行の波が1年に何回かある」と語り、現在の感染状況を「従来の主流だったBA.5株は全体の4%程度になって、XBB系統が75%程度に増えてきている。XBB系統は従来よりも感染力が強いとされ、重症化はあまりしないという話もあるが、PCR検査の陽性率も5%程度から14.4%に上がってきている。感染自体は増えていると考えることが妥当」と説明。

「今後は皆さんの自主性に任せてコロナ対策が進んでいくわけですが、決してコロナがなくなったわけではないということは、一人ひとりが考えて対処していくにあたりしっかり頭の中に入れておいていただきたい」

 気になる治療や予防は「パキロビット・ラゲブリオ・ゾコーバの3種類の経口薬は引き続き無料で投薬、処方できることになっている。ワクチン接種も昨日から始まった高齢者や基礎疾患のある方、医療・介護従事者を対象としたもの、秋から冬に予定されている全国民が対象のものなど年内は引き続き無料」といい、ワクチン接種について「“打たなければいけないんですか?” という話も聞かれるが、高齢者は抗体価ができにくいことがありますし、接種から4カ月~半年すると抗体価が落ちてくるので、オミクロン株対応の二価ワクチンを追加接種として打つことは有効ではないか」。

 治療薬について「重症化予防としてパキロビットは有効率が高いといわれるが併用禁忌が多いので、パキロビットが使えないという方にはラゲブリオを処方する選択がある。若い方、特にエッセンシャルワーカーの方で5日間療養で確実にウイルス量が減るようにしないといけない、また、後遺症の心配のある方はゾコーバの服用を検討していただければ」と述べた。

 今後、検査を必要とする人は自身で抗原検査を行うか、医療機関で有料の検査をする必要がある。その際に「(抗原検査は)研究用のものではなく一般用を使っていただくこと。鼻腔ぬぐい液の場合は綿棒を奥まで入れて何回か擦過するなどと書いてあるはずで、説明書に従ってやり方をしっかり守っていただく。唾液の場合もうがいや歯磨きの後に行うとウイルスが洗い流されてしまうので、説明書をよく読んでどうやって検体を取るのかをしっかり守っていただきたい」と注意喚起。

 また、医療機関に対し「今後はどこの診療所や病院でも発熱患者さんを診てくださいということになるが、時間的・空間的に動線を分けられないといった理由でどうしても診られない場合は、外来対応医療機関に紹介状を書いてつなげていただきたい。普段から服用している薬の内容を記載した紹介状をいただければ、外来対応医療機関でもすぐに対応できる」、都民にも「発熱外来を受診する際は必ず事前で電話で連絡し、様子を聞いてから来院することをお願いしたい」と訴えた。