都医師会・尾﨑会長、保険証廃止は「信頼できる制度になってからどうするか考えるのが道筋」

 東京都医師会の尾﨑治夫会長は11日、定例記者会見の中でマイナンバーカードの保険証利用について見解を述べた。

定例記者会見でマイナ保険証に言及する尾﨑治夫会長

 尾﨑会長は、報道陣の質問に対し「マイナンバーカードそのものはインフラというか制度、仕組みとして将来的に日本で必要なものだと私は思っています。税の問題、社会保障の問題、我々が今後目指している医療DX事業の基盤となるカードであることは間違いないので、これをやめるべきだとはまったく考えていません」と言及。

「ただし、日本には漢字とカタカナと平仮名がありますし、たとえばオザキの『ザキ』でも『崎』の人もいれば『﨑』の人もいる。タカハシならタカハシで戸籍上の字にみんな違いがあります。住所表示でも『1-1-14』と書く場合と『1丁目1番地14号』と書く場合、いろいろな書き方をしていて、その入力を間違えると個人にたどり着けないことがたくさんあると聞いている。マイナポイントの付与などで、マイナンバーカードを取得する人が一気に3500万人ほど増加したので、そういう中で内製作業が困難を極めていることは事実」

 と一定の理解をしたうえで「政府のほうも見直していただけるということですが、じゃあ(2024年)秋頃までに見直せるかというと、自治体の方々は本当に頑張っていると思いますが、私はかなり厳しいのではないかと思います」と苦言を呈した。

 さらに「現在の健康保険証による国民皆保険制度の中で、診療所や病院で医療を受診するということに関して、今までこれといったトラブルは少なかったわけです。今のようにマイナンバーカードで受診され、なかなか個人が特定されなかったりということが続くと、将来的に必要なマイナンバーカードに対する国民、都民の方々の信頼が取り戻せなくなってしまうのではないか。保険料をきちんと払っている方の保険証が使えないということになると、それはそれでまた問題になる」と危惧。

 尾﨑会長は「(保険証を)廃止するまでの間に資格証明書を交付するという話もありますが、新たなものを出すにあたってそれなりに負担が生じてきますし、そこに間違いが起きないわけではありません。マイナンバーカードの内製作業がしっかりできて、現行の医療機関の体制の中で全国的にきちんと保険診療ができる仕組みになって、受診される方も “これだったらマイナンバーカードを使って受診できるね” という状態になった時に、初めて従来の保険証を廃止していくのが一番だと思う」との方向性を示し、

「マイナンバーカードが制度上の仕組みとして、きちんと成り立つことを見計らいながら従来の保険証を廃止していくという順番を取ることが、我々医療機関にとっても被保険者の方にとってもいいこと。日本の皆保険制度をしっかり運営していくためには、あまり拙速に急がないで、十分信頼がおける制度になってから従来の保険証についてどうするか考えていくのが道筋ではないか」と提言した。