豊島区内の小学校でSDGsの出前授業「解決方法を考える」環境問題がテーマ 


 豊島区は10日、SDGs(持続可能な開発目標)を達成するためのアイデアを考えるためのヒントとなる講座として展開する「出前
授業」を豊島区立豊成小学校で行った。講座には同校の4~6年生197名が参加し、社会が抱えている問題を知るとともに、問題を解決する方法について考え、意見を交換した。

 講師は環境問題に取り組む社会業家の中西武氏が務めた。テーマは『環境問題を考えよう/解決方法を話し合おう』。

 東京で今年最初の猛暑日となったこの日、中西氏は「環境問題って何だろう?」とスタート。

「温暖化って何が問題なんだろうって考えた方がいいと思うんだよね。気温が上がったら暑いけど、気温が上がって喜ぶ動物や植物だっているよね?」と問いかけると、児童たちは「植物や動物たちが居られる場所が少なくなる」「今いるところに住めなくなってしまう」「今の食物連鎖が崩れてしまう」。さらに「10年に1度とか、100年に一度とか言うよね?」と西日本での大雨の被害などを示すと、「1週間に一度ぐらいになっている気がする!」と元気なレスポンスだ。

講師を務めた環境問題に取り組む社会起業家の中西武志氏


 講座の目的は「SDGs(持続可能な開発目標)を達成するためのアイデアを考えるためのヒント」となること。

 中西氏は自身が関わった「東ティモールの人たちが20年間生活ができて環境にも貢献できる仕事を作ってほしい」という依頼を例に、食料など農民たちが当面の生活をしていくためのものや資金を提供したこと、農地を貸し出し付加価値の高いカシューナッツの生産を始めてもらったこと、作物を害獣などから守るためにバイオ燃料になるジャトロファを生産して生垣としたことなど具体的に行った解決法を紹介。

  また、より子どもたちに親しみのある自動販売機をより環境に優しいものにするというケースに対し、使用する電力を再生可能エネルギーにしたこと、自動販売機1台につき1本の木を植える取り組みを始めたことなどを説明した。


 そのうえで、子どもたちは、フィリピンで劣悪な環境の中でゴミを拾ってお金に替える生活している人たちの暮らしを安全で衛生的なものにし、日本のようなごみ処理の技術がない状況下で、暮らしを改善していくための方法を考えた。

 考えをまとめ終えた子どもたちは元気よく手を挙げると、「ごみを使って道を作ります。生活に必要なものを提供します」「日本の技術を教えて、生活に必要なものを買えるお金を支援をして、物を大切に使うことを伝えます」など次々に発表した。

 児童たちのアイデアを聞いて、中西氏は「私はみなさんが生まれる前から今日みなさんがやってくれたようなことをやってきました。みなさんがこういった仕事をどんどん作っていけば世界のいろんなところでちょっとずつ環境が良くなっていきます。私はそう信じています」と話した。


 講義を受けた児童の代表は、「環境問題について深く考えることができました。そして、自分ごととしてとらえることができました。これから自分にできること一つひとつに責任を持って取り組んでいきたいと思います」とコメント。

 また、SDGsに興味がありクラスでペットボトルのキャップを集めていると話した児童は「ずっとそれをやっていてもあまり変わらないと思っていました。小学生にもできることを考えたり調べたりしているなかで、こういうお話をしてくださり、たくさんのことが学べました」と話した。

 豊島区SDGs未来都市推進アドバイザーの一木広治氏は「新型コロナ感染症があったことで世界がつながっていることがわかりました。日本だけがいいとかじゃなくて世界がみんなで力を合わせてやっていかないと地球に住めなくなってしまいます。みんなが迎える“これからの”時代がどんなものになるかをみんなで考えましょう。みなさんと同じ年代の世界の子どもたちが集まってこれからの地球をどうしていくか話し合う『国連を支える世界こども未来会議』があります。みなさんにも挑戦してほしい」と期待を寄せた。

 豊島区は「SDGs未来都市」と「自治体SDGsモデル事業」のダブル認定を受けており、小学校においても関連する授業を積極的に行うなどでSDGsの達成を目指す教育を積極的に進めている。講座は、2022年にスタートした「SDGsアイデアコンテスト/国連を支える世界こども未来会議 in TOSHIMA」で児童たちが発表するアイデアのヒントとなることを目指し、開催された。

1 2>>>