ロンブー・淳「すべてが学びに」“視点を変え社会に影響”でヘラルボニー、陸前高田市と表彰

「Rethink(リシンク)アワード2022」表彰式が1日、都内で行われ、お笑いコンビ「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳、株式会社ヘラルボニー、陸前高田市がそれぞれ受賞した。

「Rethinkアワード2022」授賞式に登壇した「ロンドンブーツ1号2号」の田村敦(撮影:蔦野裕)

「Rethink」とは再考する、考え直す、見直すという意味。今年初開催となる「Rethinkアワード」では年に一度、視点を変えて物事を考える文化の浸透を目指し、今までの視点を変えた取り組みによって社会に影響を与えた「人」「企業」「自治体」を表彰する。

「人」部門を受賞した淳は「あんまり表彰とかをされないので緊張しています。アワードの司会はやりますけど、自分が表彰されることがない人生だったので……」と神妙な面持ち。

 昨年、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科を修了した淳。進学理由に昨年8月にがんで他界した母の存在を挙げ「母ちゃんは僕が20歳の誕生日から『私に何かあった時に延命治療しないでね』と年に一度ずっと伝えて続けてくれていて、実際に延命治療をするかどうか判断する時に田村家の男3人はその気持ちを受け入れられた。それが母ちゃんの尊厳を守ることにつながったし、生きている間に『どういうふうに生きたいか』というメッセージを伝えるのはすごく大切なことだと学んだ。遺書というものを深く勉強したいなと思ったのが研究をしたくなったきっかけ」と語る。

 自身も娘の誕生で遺書を書いてみたといい「遺書って他人のために書くものだと思っていたが、娘のためを思って書いたのに、自分がどう生きたいか、自分がこうありたいというのに向き合う時間になった」との気づきから、遺書動画サービス「ITAKOTO(イタコト)」の提供に至ったという。

 大学院で得た学びについて、教授からはもちろん「大学院の同級生は23~25くらいの子が多かったんですけど、LINEの使い方とかTikTokの使い方を教えてくれる。周りに目を向ければ、教えてくれる人はみんな(自分にとって)先生になるんだというのは大学院の中で気づいたこと。きっとここにいらっしゃる方も僕の知らない人生を生きていて、カメラの撮り方、記事の書き方、ピントの合わせ方といったことのすべてが学びになる。一対一で話したら僕からも刺激を与えられるだろうし、僕もその人から刺激をもらいたいという視点を持ち始めた」と自論を述べた。

 新しいチャレンジをし続ける原動力を「好奇心が常にある状態なので、ちょっとしたことでも『あれやってみたい』『これ知りたい』という衝動をすぐ行動に移している。興味をなくすこともけっこうあるんですけど、母ちゃんから『やりたいと思ったことはすぐにやりなさい。三日坊主でもいいから一歩踏み出しなさい』と言われていた」と語り「今いる状態から変化が起きるので、一歩踏み出すのはめちゃめちゃ怖い。その変化を恐れる人がたくさんいると思うんですけど、踏み出さないと今考えている思いとか景色は変わってこない。最初の一歩を踏み出すのはしんどいけど、ちょっとした成功体験が生まれてくると踏み出すのが当たり前になってくる」と力強く語った。

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