目黒区長選に出馬表明の伊藤ゆう氏「いくら予算をつけても区が手を挙げてくれないと何も実現できない。自分でかじ取りをしなければ」

(撮影・上岸卓史)

目黒区を住みやすい街、住み続けられる街に

「住みたい目黒」から「暮らしやすい」「育てやすい」「介護しやすい」目黒を目指す。とのことですが、具体的なプランはどういったものを考えられていますか?
「目黒区は港区、文京区と並んでブランド力は圧倒的に高いと思うんです。だからアンケートを取ると95%以上の人が“住みたい”といってくれるのですが、住み続けられるかというとそうでもない。“子どもができるまではずっと目黒区で一人暮らしをしていたんだけど、子供ができたら住み続けられないので、川崎に転出しました”といった人がすごく多い。高齢者の方も全員が土地持ち・家持ちではないので、家賃が高いので年金では暮らせない。特別養護老人ホーム(特養)も足りないし、有料老人ホームが目黒区はとても高いので“住み続けられない”という人たちがたくさんいる。

 そういった状況を見ていく中で“住みたい街、住み続けたい街”ということだけではなくて“住みやすい街、住み続けられる街”にするためのお手伝いをしたい、という思いがありました。具体的には、もちろん特養はもっと増やしていくというのが大きな流れ。目黒区は“土地がない”と言っているんですが、僕の強みである東京都と連携することで都有地を活用できる可能性が出てくる。まだ目黒区内にも結構、都有地も国有地もあるんです。こういう土地をうまく活用したい。例えば林試の森公園という都立公園があって、ここはもともとは林業試験場だったところで、農水省が持っていたものを50~60年くらい前に都に払い下げました。今度、そこが拡張工事をして国家公務員住宅を吸収し、もっと大きな都立公園になるんです。品川区はいち早く名乗りを上げて、拡張工事をする一画に高齢者福祉住宅とか福祉施設、保育園を作ります。僕はずっと林試の森公園改革をしていたので目黒区に“手を挙げれば”と言ったんです。でも区は“林試の森公園はほとんどが品川区なんで”と言う。品川区といったって、目黒区も入っているんだから、東京都と品川区が了解すればいいわけじゃないですか。東京都は“目黒区からリクエストがあればいいですよ”という姿勢なんです。だから本気になれば探せる土地はあると思っています。これは施設型介護の話ですが、もう一つはエアスポットのようになっている在宅介護者に対するケアも厚くしたいと思っています。

 在宅介護者は家で仕事をしながら父母などの介護をしている。となると“家でできますよね”ということで、意外と介護サービスを減らされたりしている。それで、逆に仕事量が減ってしまって、実入りが減るということがよくある。それに目黒区で二世帯住宅を作ろうとなるとお金がすごくかかる半面、インセンティブはない。今は10万円のリフォーム助成があるんですが、それだけではなく同居とか二世帯住宅に関してのリフォームについては100万円単位で補助金を出す『リフォーム補助金100万円の創設』を今回、一つの大きな目玉としています。かつ“100万円だけではどうにもならない”という人もいると思います。二世帯住宅にしても同居住宅にしても、それなりの大きさがある家だと固定資産税が結構かかるので、これを減免する。これはまだ誰も口にしていない政策です。これは都と23区が合意すればできることですし、区もある程度、在宅介護をやっていただける方々が増えることは行政負担を減らすことにもなる。それにご本人にとってもできるだけ自宅で過ごせるということは幸せなことではないでしょうか。なので、これはぜひ実現したいと思っています」