「J-クレジット」活用企業も拡大 脱炭素に挑む企業や団体を表彰

 

「森林×脱炭素チャレンジ2023」表彰式が10月4日、都内にて行われ、脱炭素チャレンジに貢献した企業や団体などが表彰された。

「森林×脱炭素チャレンジ」は企業等が支援をして行った森林整備等の取組について募集し、その取組に係るCO2吸収量と取組内容を総合的に判断して優れた取組を顕彰するもの。今年度から企業等が支援等をして行った森林整備の取組内容について顕彰する「森林づくり部門」と、企業等が無効化した森林由来J-クレジットの活用内容について顕彰する「J-クレジット部門」が設けられた。

 今年のグランプリ(農林⽔産⼤⾂賞)を受賞したのは、地元不動産企業等、熊本県⼩国町、クレジット販売仲介者との間で、J-クレジットを活⽤した森林整備の推進に向けた協定を締結した取り組み(和の会、明和不動産、明和不動産管理、熊本県⼩国町、ATGREEN ※共同応募)。協定のもと、クレジットの売却益を活⽤して、豪⾬被害を受けた森林作業道の復旧を継続的に実施し今後の整備につなげるとともに、会員企業には、間伐材を活⽤したノベルティ品を提供した。

 受賞した明和不動産の川口雄一郎代表は、今回の取り組みについて「この話がスタートしたときに、どれだけ長く続けられるかを考えた。我々の取引先や社員などをうまく巻き込んで末永く続く取り組みを考えました」と喜びのコメント。

 優秀賞(林野庁長官賞)森林づくり部門では、苗⽊⽣産を通じて全国各地の再造林の取組などに貢献した住友林業や、⾃治体と協定を締結し全国9カ所に「JTの森」を開設して森林整備を広める⽇本たばこ産業など9件が受賞。

 同じく優秀賞・J-クレジット部門では、協働基本合意書を締結し、森林整備や⾃動販売機のCO2排出量のオフセットを行う⽇本製紙と⽇本コカ・コーラや、アプリユーザーの環境貢献度などに応じて北海道4町の町有林のクレジットを購⼊する取り組みを行ったロイヤリティ マーケティング他など3件が受賞した。

 またこの日は、審査委員長を務めた皆川芳嗣氏をモデレーターに、ロイヤリティ マーケティング(新規事業開発部長・佐藤智仁氏)や、竹中工務店(木造・木質建築推進本部長 石川修次氏)ら、森林づくりに取り組む企業・団体からパネリストを迎え、企業にとって森林づくりに貢献することのメリットや、今後期待される企業活動などについてのパネルディスカッションも実施。林野庁の青山豊久長官も、企業・団体のさらなるチャレンジに期待を寄せた。

グランプリ(農林⽔産⼤⾂賞)を受賞した和の会、明和不動産、明和不動産管理、熊本県⼩国町、ATGREEN ※共同応募

優秀賞(林野庁長官賞)森林づくり部門は⽇本たばこ産業(写真)など9件が受賞

 

優秀賞・J-クレジット部門の(株)ロイヤリティ マーケティング/北海道森林バイオマス吸収量活⽤
推進協議会/(⼀社)more trees。アプリユーザーの環境貢献度などに応じて、北海道4町の町有林のクレジットを購⼊する取組。
購⼊したクレジットは、運営企業の事業活動で⽣じるCO2排出量とのオフセットに活⽤。