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市川猿之助主演『藪原検校』に三宅健、松雪泰子、川平慈英ら 全キャストと公演日程が決定!

2020.10.26 Vol.Web Originaⅼ

 市川猿之助が主演する舞台『藪原検校』の全キャストと公演日程が決定、26日発表された。三宅健、松雪泰子、川平慈英らが出演。2021年2月10日に渋谷のPARCO劇場で開幕する。

 PARCO劇場オープニング・シリーズとして上演が発表されていた、井上ひさしの傑作。演出は、スーパー歌舞伎Ⅱ『新版 オグリ』や、木下歌舞伎『勧進帳』などの演出を務めてきた若手の杉原邦生が務める。

 猿之助は「伯父の猿翁とも所縁あるこの劇場で、これまた所縁ある井上ひさし作品を上演できますこと、深いご縁を感じます。気鋭の若き演出家に加え、豪華な共演者の皆様が決まったとのことで、共に素晴らしい作品を創り上げてまいる所存です」と、コメント。

 三宅は、猿之助演じる稀代の悪党、杉の市の処刑を進言する塙保己一など6役を演じわける。

「歌舞伎を観劇するのが好きなので、今回、猿之助さんとご一緒させて頂けて嬉しいです。自分にとって6役を演じさせて頂くというのは、初めての経験なので新境地を開くことが出来たらと思っております。井上ひさしさんの描く魅力的な言葉の世界に染まり、同じ人物が6役を演じなければいけない配役の意味を戯曲から紐解いていければと思っております」。

 松雪は杉の市の愛人であるお市、川平は物語の語り部となる盲太夫を演じる。そのほかにも、髙橋洋、佐藤誓、宮地雅子、松永玲子、みのすけら豪華な顔ぶれが揃った。

 杉原は、「井上ひさしさんの『藪原検校』は〈盲人〉たちの物語です。ひとりの座頭が社会の逆風に抗い、貪欲に、手段を選ばず金・地位・権力を手に入れていく。僕には、この座頭がただの悪人とはどうしても思えません。見えない瞳の奥に、深い憤り、苦悩、孤独と哀しみ、そして未来への切なる希望を見てしまうからです。その希望は、すべての〈盲人〉の希望でもあるように思います。
素晴らしいキャスト、スタッフの皆さんとともに、サイコーにエネルギッシュな『藪原検校』をお届けしたいと思っています!」

 猿之助も「演出家杉原氏曰く、「猿之助の一字と私杉原の一字を持ったお役”杉の市”」、を演じることになったこともご縁を感じております。まだまだ不安な状況ではございますが、精いっぱい務めますのでよろしくお願いいたします」と、意気込んでいる。

 渋谷のPARCO劇場で2021年2月10日~3月7日。その後、名古屋、石川、京都で公演がある。

巨匠・山田洋次が、井上ひさしの思いを継いだ感動作『母と暮せば』

2015.12.12 Vol.656

 終戦から70年を迎えた今年。『父と暮せば』で広島を、未完となった『木の上の軍隊』では沖縄を舞台に、戦後を描いてきた井上ひさしが、どうしても書きたいと考えていた“もう一つの戦後の物語”を、日本を代表する映画監督・山田洋次が映画化。生前にたびたび、長崎を舞台にした物語を書きたいと口にしていた井上の思いに衝撃を受けたという山田監督。『父と暮せば』で描かれた“広島で原爆で死んだ父と生き残った娘の物語”を、“長崎で原爆で死んでしまった息子と、残された母の物語”として紡ぎ出した。山田監督にとって、本作は自身初のファンタジー作品。市井の人々を丹念にリアルに描いてきた山田監督が本作ではCGを多用して亡霊となった息子を描き、1948年の長崎を再現。夢と現実が入り混じる、切なくも美しい世界を描く。

 キャストも日本映画界を代表する顔ぶれが集結。母親・伸子役には山田作品『母べえ』『おとうと』でも主演を務めた吉永小百合。息子の浩二役にはクリント・イーストウッド監督作『硫黄島からの手紙』で海外からも高い評価を得た二宮和也。そして浩二の恋人・町子役には『小さいおうち』で第64回ベルリン国際映画祭の最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞した黒木華。

 「母さんはあきらめが悪いから、なかなか出てこられなかったんだよ」。ある日突然現れた亡き息子と、そんな息子を愛おしく迎え入れる母の、穏やかな日々。その儚くも幸せな時間がもたらすものとは…。

STAGE 演劇の幅広い可能性を感じさせる作品たち

2013.04.22 Vol.590

 日本を代表する劇作家である井上ひさしが亡くなってもう3年が経つ。

 肉体は滅びても、作品は残る。その遺志は日本の演劇界に脈々と受け継がれている。

 こまつ座は井上の亡き後も井上作品を上演し続けているのだが、今回は今まで、というか執筆から55年間こまつ座で上演されることのなかった井上ひさしの原点である“幻のデビュー作”を上演する。
 昭和33年、作家への道を歩みだした井上は本作で芸術祭脚本奨励賞を受賞。初めて活字になった戯曲だという。

 東北のとある田舎の村はずれ。あばら家に住む賢く美しい働き者の娘ちかに一目惚れしたとのさまは、お侍医をお供に、桜の木に隠れて様子をうかがっている。優しいけれども気後れしがちのとのさまは、その想いをなかなか告げることができない。ひょんな事から、ちかに近づくことができたのだが・・・。

 最初の作品ながら、井上流ブラックユーモアも盛り込んだ井上エッセンス満載の作品。

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