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2014.6.20〜2014.7.3 NEWS HEADLINE

2014.07.04 Vol.621

サルコジ前大統領を拘束
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 仏捜査当局は1日、過去の大統領選挙の違法献金疑惑に絡み、サルコジ前大統領の身柄を事情聴取のため拘束。同国で、捜査当局による大統領経験者の拘束は初めて。2日の正式捜査の決定を受けて拘束は解かれた。サルコジ氏は初当選した2007年大統領選での違法献金疑惑に関連し、弁護士を通じ昇進のあっせんと引き換えに司法当局幹部から捜査に関する内部情報を入手した疑いが持たれている。

(写真:ロイター/アフロ)

セクハラヤジうやむやに
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 18日の東京都議会の本会議中にみんなの党の塩村文夏都議に対し「早く結婚したほうがいい」「まず自分で産めよ」などのセクハラヤジが飛んだ問題で、発言から5日たった23日、自民党の鈴木章浩都議(51)が発言者であると名乗り出て謝罪した。鈴木都議はそれまで「私ではない」と否定していた。鈴木都議は「産めないのか」など他のやじについては否定した。
 都議会は25日の本会議で、みんななどが、鈴木都議以外のやじを発した議員に名乗り出るよう求め、共産は鈴木都議の議員辞職を求める決議案をそれぞれ提出したが、否決された。

塩村都議は24日、日本外国特派員協会で会見した(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

集団的自衛権閣議決定
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 政府は1日の臨時閣議で、従来の憲法解釈を変更して限定的に集団的自衛権の行使を容認することを決定した。
 閣議決定では、他国に対する武力攻撃が発生した場合に自衛権発動を認める要件として、わが国や「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃」が発生し、国の存立や国民の権利が「根底から覆される明白な危険」がある場合、必要最小限度の武力を行使することは「自衛のための措置として憲法上許容される」とした。

(写真:AP/アフロ)

日朝協議で拉致特別委構成を聴取
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 日本人拉致被害者の再調査を行う「特別調査委員会」の設置を約束した日朝合意から約1カ月たった1日、日朝外務省局長級協議が北京で開催された。
 協議では、日本側は特別調査委が金正恩第1書記に直結した組織で、軍や党機関を含む全組織を調査できる強力な権限を持っているかなどを中心に北朝鮮側の説明内容を精査し、疑問点をただした。同時に、特別調査委設置の見返りとして一部解除を検討する日本独自の制裁の内容について説明した。

(写真:AP/アフロ)

長島昭久のリアリズム
集団的自衛権を考える (その七・補論3)

2014.06.23 Vol.620

 与党協議も大詰めを迎え、集団的自衛権をめぐる閣議決定の日が迫っています。これまで本コラムで繰り返し述べてきたように、私としては、政府の考えている「限定的な集団的自衛権の行使容認」を支持する立場です。

 残された問題は、第一に今回行おうとする憲法解釈の変更がこれまでのものと論理的整合性があるのかどうか、第二に今回の解釈変更で自衛権行使の態様がこれまでとどう変わるのか(換言すれば、拡大する自衛権行使の歯止めをどう考えるか)、第三にどのように国民の理解を得るか(付言すれば、国民の理解を得るためにはどのような政治手法が望ましいのか)、ということだと思います。

 第一については、約40年間にわたり維持されてきた昭和47年の自衛権に関する政府解釈に基づき「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される恐れのある場合に限り、我が国に対する直接の武力攻撃が発生していなくても、我が国と密接な関係にある国に対する武力攻撃を排除し国民の権利を守るため、必要最小限度の範囲内で武力を行使することは許される」と変更することは、論理的整合性があると考えています。

 第二の歯止めについては、「限定的な集団的自衛権行使」の限界をどのように画するべきかという問題です。私は、自衛権行使の範囲を限定すべきだと考えます。すなわち、私たちが超党派議連で提案した「安全保障基本法案」に明記したように、「(個別的であれ集団的であれ)武力(自衛権)の行使は、外国の領土、領海及び領空においては、当該外国(我が国に対する武力攻撃を行っている外国は除く)の同意があった場合を除き、してはならない」とするのが現実的だと考えます。

 第三に、国民の理解を得るための手法については、いまの安倍政権のアプローチは感心できません。自らの私的懇談会に報告書を出させ、与党内で密室協議を重ね、おもむろに閣議決定して、臨時国会に15本にのぼる防衛関連法制の改正案を一気に提出し、最後は多数決で押し切るという手法が広く国民の理解を得るのは難しいのではないでしょうか。短い臨時国会に15本もの法律案を出してきて五月雨式に議論しても、国民から見て何が問題の焦点なのか理解するのは困難だと思います。

 したがって、私たちが提案しているように、安全保障基本法案によって自衛権行使の「歯止め」を明記して、立法府としての新たな憲法解釈を定める同法案の国会審議を通じて国民に理解を求める手法を採るべきです。
(衆議院議員 長島昭久)

長島昭久のリアリズム
集団的自衛権を考える (その六・補論その2)

2014.05.23 Vol.618

 今回は、前回に引き続き「補論」として、最近にわかに喧しくなってきた集団的自衛権をめぐるいくつかの誤った議論について、正しておきたいと思います。

 まず、今回安倍政権が目指している政府解釈の変更は、「解釈改憲」ではありません。憲法に改正手続きが明記(第96条)されている以上、政府といえども勝手に解釈で憲法を改廃することはできません。ただし、全体で103か条しかない憲法は、他の法律に比しておのずと解釈の幅が広くならざるを得ません。したがって、その許される幅の中で(言い換えれば、憲法の規範性を損なわない範囲内で)政府は憲法を解釈することが可能です。

 実際、歴代政府の憲法解釈は、国際情勢の変化や軍事技術の進歩によって、時代と共に変遷して来ました。例えば、終戦直後の吉田茂内閣は自衛のための武力行使すら否定していましたが、その後、政府解釈は変更され、実力組織としての自衛隊は合憲とされました。また、憲法第9条で禁じられている「戦力」の定義も自衛隊発足の前後で変更されました。国連PKO(平和維持活動)への参加の際にも政府解釈は変更されました。

 次に、集団的「自衛」権は、我が国の平和と安全と無関係の「他衛」権ではありません。ところが、「集団的自衛権は、つまるところ他国に対する攻撃を排除する、つまり他国を守る権利だから、際限がなくなり戦争に巻き込まれる可能性が高まるから危険極まりない」との議論が聞かれます。しかも、「そんな戦争に派兵されたら堪らないので自衛官を志望する若者が激減し、やがて徴兵制に移行せざるを得なくなる」などと、国民の不安を煽る政治家まで出る始末です。

 しかし、第一に、いま議論されている集団的自衛権は、あくまで「日本の安全に重大な影響を及ぼす場合」に限定した「自衛」権です。第二に、領域国の同意なく他国の領域には入らないということも行使の要件として挙げていますから、他国の主権を侵害したり、他国の領域内で武力行使をしたりする可能性はあらかじめ排除されています。第三に、徴兵制は、憲法第18条で「意に反する苦役」として禁じられているので、それこそ憲法改正をしなければ導入は無理ですから、およそ不真面目な議論といわざるを得ません。

 要は、そのような行使の「限定」を閣議決定で済まそうとする安倍政権の性急なやり方ではなく、国会において集団的自衛権の行使を限定するための安全保障基本法案の議論をすべきなのです。そのプロセスを通じて国民の理解も深まることになると思います。

(衆議院議員 長島昭久)

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